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朝の空気は、少し冷たかった。
廊下に響くのは、足音と衣擦れの音だけ。
僕は袖口を整え、深く息を吸った。
特別な準備は必要ない。ただ、いつも通りに整えるだけだ。
淀川「陸羽、準備はどうだ」
少し前を歩く淀川が、振り返らずに声をかけてくる。
いゔ「問題ありません。いつでも出られます。」
淀川「了解」
それだけ言って、淀川は歩みを止めない。
簡潔で、無駄のないやり取り。
淀川「馨、ルートの最終確認は?」
並木「終わってます。今日も静かそうですね」
後ろから返ってきた馨の声は落ち着いていた。
“静か”__それは、いい意味にも、悪い意味にもなる言葉だ。
僕は二人のやり取りを聞きながら、自然と決まった位置に立つ。
前に出すぎず、遅れすぎない。
それが。今の僕の居場所だった。
淀川「じゃぁ、予定通り巡回だ」
淀川の一言で、僕たちは歩き出す。
特別なことは何もない。
いつも通り任務、いつも通りの朝。
___少なくとも、この時の僕は、そう信じていた。
このお話は、僕が戦闘部隊から偵察部隊ヘ派遣された頃から始まる。
とても素敵で、とても残酷で、善と悪がはっきりと存在する。
鬼の物語だ。
あの日のことは、今でもはっきり覚えている。
戦闘部隊の詰所から呼び出され、案内された先は、驚くほど静かな場所だった。
人の気配はあるのに、音が少ない。
前線とは、まるで別の空気だった。
淀川「陸羽いゔ」
最初に名前を呼んだのは、見知らぬ男だった。
淀川「今日から偵察部隊を率いる、淀川真澄だ。」
短い自己紹介。
視線は鋭いが、敵意は感じない。
淀川「戦闘部隊からの派遣だな」
いゔ「はい」
淀川「ここでは、勝つことよりも、情報を持ち帰る事を優先する。前に出る判断は、基本的に不要だ、」
いゔ「...了解しました。」
淀川「戦い慣れている者ほど、最初は戸惑う。分からないことは、判断する前に聞け」
命令というより、忠告だった。
淀川「無理はするな。ここで一番評価されるのは、”全員が戻ってくること”だ」
その言葉に、思わず瞬きをした。
いゔ「...帰ってくる、ことですか、」
淀川「そうだ」
それだけいって、真澄は視線を外した。
余計な説明はしてない人らしい。
その横から、少し抜けた声がした。
並木「ずいぶん優しいこと言うじゃないですか、真澄隊長。」
淀川「必要なことを言っているだけだ」
並木「はいはい」
そう返してから、声の主は僕の方を見る。
並木「...もしかして、いゔ?」
一瞬、理解が追いつかなかった
いゔ「...馨?」
並木「やっぱり!顔見た瞬間、まさかって思ったんだよ」
いゔ「なんでここにいるの?」
並木「それはこっちの台詞。戦闘部隊に行ったって聞いてたし」
懐かしい言い方。
羅刹学園時代と、まるで変わっていなかった。
いゔ「..久しぶり!」
並木「何年ぶりだっけ。相変わらず可愛い顔してるね」
いゔ「馨こそ、変わってないね」
並木「それ、褒めてる?」
軽く笑い合う。
それだけで、胸の奥の緊張がほどけた。
淀川「知り合いか?」
並木「はい。学園時代の同級生です」
いゔ「世間、狭いなぁ」
淀川「私語は問題ない、ただ任務中は切り替えろ」
並木「はい」
馨が即答する
淀川「陸羽、ここは戦闘部隊とは違う」
少しトーンが下がる
淀川「見たものを見たまま伝える。余計な推測は、帰ってからでいい」
馨は、少し言いづらそうに視線を外した。
並木「それと無理して前に出ないで。いゔは昔から、そういうとこあるから」
いゔ「...分かってる」
並木「ほんとに?」
いゔ「多分...」
並木「じゃぁ、僕が止めるから」
軽い口調だったが、冗談ではないと分かった。
こうして僕は、偵察部隊に配属された
初対面の隊長と、昔から知っている仲間。
静かで、緊張感があって、でも不思議と落ち着く場所。
_この部隊で過ごす時間が、
僕にとってかけがえのないものになると、その時は、まだ知らなかった。
名前︙陸羽いゔ_りくういゔ
性格︙明るくて少しおっとりした雰囲気があるが、普段は大雑把でめんどくさがり屋な一面があり、偵察以外の雑務にはあまり熱心じゃない。
だが、桃太郎関連の任務、特に桃太郎の偵察となると、神楽の性格は一変する。普段のふわっとした雰囲気は消え、冷徹で真剣な目つきに変わる。
メモ
無蛇野とは戦闘部隊の時の先輩だった。
能力面では、偵察と戦闘の両方をこなせる。
血色解放「紅空律界」(こうくうりっかい)を使う。