大森side
若井「ありがとうございました」
大森「なんで若井まで降りてんの?」
若井「え?なんでって、なんで当たり前の事聞くの?」
大森「え、当たり前って……」
若井「だって退院の付き添いなんだから家まで行くでしょ、それに荷物俺が持ってんのに」
大森「あ」
てっきり俺はタクシーで若井と離れると思っていた。
若井はそのままスタジオに行くものだと
若井「ほら、行くよ」
そう言って家主の俺より先にマンションのエントランスへとスタスタと歩く若井
これが当たり前の様だと言わんばかりの若井の行動に思わず笑みがこぼれ、前を歩く若井に小走りで追いつきながら
大森「お前だけだとコンシェルジュが通してくんないよ」
若井「え、マジ?!俺でもダメなの?」
大森「俺が許可してない限りは」
若井「じゃあ許可出しといて」
大森「やだよ」
若井「嫌って言うな」
───
──
大森「あー俺ん家だー」
たった1日しか留守にしていないのに懐かしく感じる。
ライブの遠征で数日間空けることがあるのに懐かしく感じるのは多分、病院と言う特殊な空間と消毒液の匂いが非日常な空間すぎて懐かしく思ったのかもしれない。
若井「今日1日ベッドで寝てろ……とまでは言わないけどゆっくり過ごす様に」
大森「わかってるって、逆に若井は俺が居ないからってサボるなよ。次の曲のAメロの所、明日までに仕上げといて」
若井「アレを明日までとか鬼か」
大森「若井なら出来るって知ってるから」
若井「うぐっ、……そう言えば何とかなると思ってんだろ」
大森「ソンナコトナイヨ」
若井「おい、カタコト喋りになってんぞ」
大森「ぷ、」
若井「ふ、」
大森「あはは」
若井「あはは」
若井「じゃあ、行ってくる」
大森「あ、うん。行ってらっしゃい」
行ってらっしゃい
そう返事した俺の頭をポンっとしてヘラっと笑いながら若井は俺の家を後にした。
玄関の閉まる音と共に静寂が訪れた。
ゆっくり過ごす様に、か、
と言われてもどう過ごせば良いのか正直わからないのが本音。
忙しい日々が当たり前になっていてココ最近まともな休みなんてなかった。
だからこそゆっくり過ごすが分からなすぎて、結局俺はパソコンを開き、一日見ないだけで溜まってるメールに目を通し、これまた溜まっていた洗濯をしたり、掃除をするなどと何かとやる事を探した。
忙しさをいい訳に後回しになって事をしていたらあっという間に外が暗くなり始めていた。
ゆっくり過ごすとは違ったかもしれないが、俺的には充実した一日だった。
晩飯をどうするかなと思い、何かあったかなとキッチンを漁っていると携帯が鳴った。
♪♫♫〜
大森「はい」
藤澤「元貴ぃ〜、今何してる〜?」
大森「キッチン漁ってる」
藤澤「もしかしてご飯食べようとしてる?」
大森「それ以外でキッチン漁らないでしょ」
藤澤「だはぁっ、たしかに〜」
大森「それで、わざわざ電話かけてきた理由はなんなの?」
藤澤「ふ、ふ、ふ、」
涼ちゃんが携帯越しに変な笑いをしたと思ったら、突然エントランスのインターホンが鳴った
♩♩♩〜
大森「あ、涼ちゃんちょっとだけ待っ………………って、おい」
インターホンに映るのは、ドアップの若井と涼ちゃんだった
藤澤「へへ、サプラーイズっ」
楽しそうな涼ちゃんの声が携帯と目の前のインターホンから同時に聞こえた
若井・藤澤「おじゃましまーす」
大森「何で来たの……ゆっくり出来ないじゃん」
藤澤「またまたぁー」
若井「どうせゆっくりせずにずっと何かしてたに決まってる」
大森「……」
若井「ビンゴだな」
藤澤「まあまあ、元貴をいじめるのはその辺にして、はいっ、元貴!」
涼ちゃんから差し出されたのは紙袋
受け取ると、それなりの重さがあった。
大森「重っ、何コレ??」
藤澤「晩ご飯だよ」
大森「量多くない?…………まさか」
若井「俺たちの分も入ってる」
やっぱりか
藤澤「ちゃんと食べるか見守るのが僕たちの使命だから」
大森「俺は子供か」
若井「んな事言って〜、ひとりより皆でメシは食った方が美味いんだから」
有無を言う間もなく、ほらここに座ってと涼ちゃんに促され、せっせと皿とグラスを用意する若井。
……ここ、俺ん家のはずなんだけど
若井「はいっ、手を合わせましょう!」
「「「いただきます」」」
大森「……うっま」
藤澤「これもおいしぃ〜」
若井「あ、それ俺も食べたいっ」
大森「だめ〜」
藤澤「元貴、僕にはくれるよね?」
大森「ほい、涼ちゃん」
若井「なーんで俺はダメなんだよっ」
大森「あはは」
この何気ない時間が好きだ
domもsubもSwitchも関係ない
ただただ3人の時間。
藤澤「はぁ〜美味しかったぁ〜」
若井「……マジ、腹パン」
満足気なふたりはダイニングで椅子にもたれかかったまま、お腹を摩っていた。
涼ちゃんは普段から多く食べるけど、若井も今日はいつもより沢山食べていた。
ふたりがどちらの腹の方が出てるかの勝負をしているのを横目に俺は食器をキッチンへと運ぶのに席を立った。
若井「あ、手伝うよ」
大森「いいよ、色々してもらったし、片付けは俺がやる」
集められた食器をシンクに置いて、貰って帰った薬を取り出す。
持続時間を長くする為に、と薬を朝晩にされた為に飲まなければならない。
極力音を出さない様に薬を出して口の中に放り込んで水で流したけど飲む時に若井と目が合った気がした。
気のせいだ
そう思って残りの水を一気に飲んだ。
大森「今日はありがと」
藤澤「明日はスタジオだけどまだ無理はダメだからね!」
大森「わかってるって」
若井「じゃあ、おやすみ」
藤澤「元貴、おやすみ」
大森「おやすみ」
さて
また明日から忙しい日々が始まる。
コメント
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まかさ、、、

目があったの気になる🫣 次の話も楽しみです!
ふふふふふへへへへへ さて、興奮が止まらないということで一句、読ませていただきます(?) 「目があった Love soo sweet流しましょ」🍏あおりんご商会 どうですか!!!へへ、私のデビュー作はこれで決定ですね✨