「そろそろ、雨にも飽きてきちゃったなぁ」
「そんなこと言ってると、夏は 灼熱(しゃくねつ)のような日ばかりで、雨が恋しくなるよ」
「うっ、それはイヤだな……」
放課後、 杏葉(あずは)は 空太(くうた)と一緒に傘を差しながら帰路を歩いていた。
並びながら、同じ歩調で進む。
傘で弾ける静かな雨音は、寂しさも感じられるBGM。
心の隙間に入り込むようなそれは、杏葉の心の中に 透子(とおこ)を連れてきていた。
透子とは、もう、仲良くすることなんてできないのだろうか。
「なにかあったの?」
「えっ……?」
「そんな顔してる。透子のこと?」
「杏葉には気づかれちゃうんだね」
「まぁね。というか、杏葉って呼ぶの珍しいね」
「あっ……」
指摘されて、杏葉はハッとする。
入学してから片手で数えられるくらいしか口にしていない名前。
「だいぶ、心にきてるようだけ******
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