『それじゃあお邪魔しました、お世話になりました』
「気をつけて帰れよーあともうこんなとこ来ちゃダメだからな」
『もう来ません!』
えらい!と頭を撫でられる。
こんなとこ来ちゃダメとか言うけど連れ込んだのはそっちなのに。
文字通りごろごろしてしばらくしたら忘れちゃいそうな薄っぺらい会話をして数時間過ごした。
夕方から用事があるからと言っていたのを思い出し
そろそろ帰ろうかなと家を出た。
少し進んで後ろを振り向くと
ローレンがまだこちらを見て手を振っていてそういう所だよなーと思う。
昨日はかなりの大雨だったからそこら辺に水溜まりがあるけれど
空は晴れていて丁度いいくらいの気温だった。
家までの道のりを1人で歩いていると
深夜のことは全部夢だったんじゃないかと思う。
でもあの時のローレンの声も体温も全部鮮明に覚えていて現実なんだなと気付かされた。
家に無事到着し携帯を見ると1件の新着メッセージと不在着信。
電話の相手は幼い頃からお世話になっていて
今でも定期的に会うお兄ちゃんみたいな存在の人。
急用かなと思い慌ててかけ直すとワンコールで出た。
『もしもし、叶くん?ごめんね、外出てた』
「そうかなあって思ってたから大丈夫だよ」
電話越しでも癒される優しい声。
叶くんはローレンと同じで3つ年上の優しいお兄ちゃん。みたいな存在。
用事があってもなくても暇だからとかいう理由で電話をかけてくるような人、
だけどこの時間にかかってくるのは珍しくて少し驚いた。
『なにか用あった?』
「最近どうかなーって」
『最近かあ』
最近。
うーんと色々報告できるようなことを頭の中で考えるけど
特別何かがあった訳でもなく。
強いて言うならあの人のことだけど、
でも叶くんって結構ちゃんとしてるからちゃんとしたアドバイスとかくれるかも。
『叶くんって恋愛経験豊富じゃん』
「まあ都愛に比べたらね」
『付き合う気は無いけど彼氏はできて欲しくない。って思ったことある?』
「んー……」
難しいね、と笑われる。
「なに、そうやって言われたの?」
『……ぽいことを、言われた』
「ま、拗らせてんでしょ。普通だったらそんな感情滅多に出てこないよ」
黙り込んでしまったわたしに叶くんは
「いくらでも話聞いてあげるし今週久々にご飯でも行こうよ」と優しく声を掛けてくれた。
叶くんに聞いてもらったらちょっとは考え込まずに済むかも、
そう思い3日後に約束を取り付けた。
コメント
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かなかなでて来るとは思ってなかったからなんか嬉しいw
かにゃかにゃいい男すぎんか?そらモテるよ