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靴箱前のちょっとした階段に座って、足先に力を入れて少し伸ばしていると、正門からコツコツと一定のリズムで鳴るローファーの音が近付いた。
「ぁ・・」
それは息なのか、声なのかどちらとも微妙なラインで呟いた。
正門から歩いてくる人が見えるように、身体を少し前のめりにさせると、少し寝癖がピョンと立っていて、眠たそうな大きな欠伸をするDDがスタスタと歩いていた。
地面に置いていた鞄を持つと、俺に気が付いたDDは少し驚いた顔をしたが、瞬きをすると、そこには笑顔で手をブンブンと振りながら駆け足で階段を登って俺に近付いてきた。
「おはよ、うみにゃ。今日は早いんだね」
微笑みながらそう言ったDDは、いつの間にか俺の一歩、二歩先を歩いていて、俺はそのDDの後ろ姿や行動を、ただただ無我夢中に追い掛けていた。
*
スタスタと早歩きで歩くDDに、俺は駆け足でDDに必死で追い付こうとしたが、DDは後ろを振り返ることもせずに、ただ前を向き続けていた。
階段の急カーブを手すりに沿ってスルッと華麗に登って行く姿に俺が見蕩れていると、気付くとDDはどこにも居らず、俺は辺りをキョロキョロと見渡した。
すると、上からクスクスと笑うDDがヒョコッと顔を出していて、俺と目が合うと更に笑っていて、俺は急いで階段を登って踊り場まで着いて、下を向いてふぅっと息を吐いた。
顔を上げると、そこには朝日にキラキラと照らされているDDが立っていて、DDはまた俺に微笑むと、更に上へ上へと上がっていっていき、俺は無言でその背中を追うことしかできなかった。
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to be contents .