テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
第2話のあれだけじゃだいぶ物足りないと思うので3話目も出します。
第 3話【瘴気の山】
それならこの2つの疑問点の辻褄は合う。それにこの身体の持ち主は悪どい性格だ。もし門派の戦状況が悪くなっていたのを不安に感じ、裏切ったりしたのなら、、、可能性は充分にある。
「はぁ、、、なんて身体に生まれ変わったんだか、、」
あまりの事態に頭を痛めて居るとふと隣の椅子に座って飲み交わしている2人の男性の声が耳に入る。
「なぁ、聞いたか?ここの少し向こうの楼真山の話」
「あぁ、聞いてるぜ、近くの門派の間で懸賞金をかけられているらしいな」
その話を聞いた烨霖はその卓の元に直ぐさま寄り、愛想良く話しかける。
「あの〜、、、その話、私にも教えて貰えませんか?」
「おっ!お前も気になるか?」
「来い来い!」
先程までの村とは全く違う待遇の差に感激しながら、その卓に混ざり、話を聞く。
「実はな、あの神仙様が住んでいると噂される程美しかった楼真山が今はその名声とは全く似ても似つかない姿になっているんだ。」
「はぁ、それは何故でしょうか?」
「それがな、原因はまだ分かってないんだよ」
「何故分からないんですか?」
「その山は今強い瘴気に包まれてるっつう話でな」
「色んな門派が送った門弟や興味本位で言った奴らが皆死んじまって今は死体の山のようになっているんだとよ」
「はぁ、だから懸賞金を?」
「あぁ、そうだ」
「なるほど、、、」
この話を聞いた烨霖は軽く会釈をし、その場から離れ、即座に楼真山の元へと向かった。目の前の楼真山はあの者達の話通りに変わり果てた姿となっており、楼真山と分かる目印は天まで届きそうな山の高さだけだった。
山の草木は燃えた灰のような色になっていたが黒い霧のようなものが思いの外濃く、しっかりとは見えなかった。そして山を包む瘴気は外からでも感じる程に強い。これ以上強くなれば近隣の村にも影響が出る可能性もある。
「これは門派も懸賞金を出すな、、、」
この楼真山を元に戻す事が出来ればなるべく良い形で門派との関係を持てるかもしれない。それに、あの金河派以外の門派ならその戦で誰が死んだのか、なんてのは知りえないだろう。だが 昔の自分ならこの山全体の気を綺麗にし、元凶を見つけて倒せば済んだが今の身体ではそうは行かない、この毒で出来たような淀んだ気を浄化して元凶を探せる身体も気も持ち合わせていない。その為、わざわざ気を身体に防護服のように纏わせなるべく空気を吸わぬように元凶を探さねばいけない。
「私程の者でなければ解決は難しいな、、、門弟を送った門派は皆考えなしなのだろうか?」
これを解決するには確実に命の危険が伴う。それに死ぬ確率の方が高いときた。なのに門弟を送るなんて、今の門派の門主はどうなっているんだ?
「いや、今はそんな事よりも、、、」
それよりも、烨霖が心配していたのは元凶の方だった。元凶を見つける事は出来ても今の身体では倒せる事は出来ないため、交渉か話し合いをしなければならない。これ程の瘴気を出す邪の者がそれで帰ってくれる可能性は限りなく低いだろう。
「あそこまで行くのは死にに行くようなものだな、、気を纏っていても帰ったら寝込んでしまうだろうな、、、 」
2,848
対策をしているとしても烨霖自身もまだこの身体の力量をまだ理解していないため、あそこまで慎重に行かなければいけない。
「だがこれを解決すれば門派からの信頼も得られる、、、よし!!さっそく登──」
「お前!!!やっと見つけたぞ!!こんな所で何しているんだ!?!?」
登ろうと1歩踏み出した瞬間、聞き覚えのある声に引っ張られ、また一歩と逆戻りする。振り向けばそこには絶対に会いたくなかった者の怒りに染まった姿がそこにあった。それに加えて今回は他の門弟も連れているときた。ここへ来たのは恐らく同じ理由だろう。若君が怒っている理由を理解していなかった者も烨霖を見た途端状況を即座に理解し、剣を構える。
「若君が殺した筈なのに何故生きている!?」
「まさか死んで鬼になったのか、、、?」
「いやいや、だとしたら見分けがつくだろう。」
門弟達は剣を構えたままヒソヒソと話をする。それを遮るように若君は怒鳴り声をあげる。
「おい!!聞いているのか!?」
若君が怒鳴り声に応えるかのように、突然大地が揺れ始める。その場に立っているのも危うくなる程の大きな揺れに驚いた鳥が鳴き声を上げながら飛び立ち、空の色が悪くなる。この揺れはまるで悪い予兆を知らせているようだった。そんな揺れの中、1人の門弟が震えた声をあげる
「み、見てください、、!!山が、、、!!」
山の方を確認すれば先程よりも1層空気が曇っており、まだ生き残っていた草花は徐々に少なくなっていく。
「若君!!もう時間はありません、、、!!」
若君の顔は心配になる程に真っ青になっていた。
「ーーーっ、、、!!お前!!後で絶対調べてやるからな!!」
そう言うと若君は門弟を連れて山の方へと走り出す。それを見た烨霖は慌てて前まで走り、行く手を遮る。
「まさか、登るのか?」
「お前、、、邪魔をする気か!?」
若君は考える間もなく剣を抜き構える。
「君たちがここに入れば、間違いなくこの瘴気に蝕まれて死ぬぞ」
「そんなの!勿論対策をしている!」
随分と自信のあるその言い方はこの若君だと逆に不安を感じてしまう。
「へぇ、、、?ではそれは一体どんな?」
「なんで態々お前になんかに言わなくちゃいけないんだ!?」
再度言い合いになってしまいそうな雰囲気を見かねた門弟が隣で囁く。
「若君、言い争ってる場合ではありません、さっさと見せて行きましょう。」
その事に不満を感じつつも納得したのか軽く舌打ちをし、こちらにとある物を投げる。見た目からして飴玉のようなものだった。
「これは、、、」
「丹魂信だ」
丹魂信、それは飲めば瘴気に耐性を付ける事のできる飴玉だ。だがこれには少しばかり皆に勘違いされている事がある。この飴玉で耐性が付く理由は体内の霊気が増幅して身体の周りに霊気が溢れ出るからであり、その霊気がなくなれば瘴気には耐えられなくなる。それにその場で霊気を一気に増幅させた後遺症が残り、身体に極度の疲れが出る上に人によって効果時間に差がある。こんな飴玉、ただの付け焼き刃だ。この山を登るのに頼るのは危険すぎる。
「これだけでは危険過ぎます、」
「危険だと?お前に指図されるいわれはない!!」
若君は荒々しく烨霖の肩を押し退け、先程よりも早く山へと走り出す。このままではこの者たちは目的を達成する前に死んでしまう可能性が高い。
止めることが出来ないと悟った烨霖はその場で護符を生成し、門弟達の服の中にそれぞれ忍ばせる。
前世の頃から烨霖は無から物を生成する事が出来た。その技術は烨霖自身が独自で生み出したものであり、烨霖は悪用される事を恐れて必要最低限の時でしか使用することはなかった。
「(これで瘴気を吸った瞬間に転送されるだろう、、、)」
嵐のように去っていく門弟達に続いて烨霖も風のように山の中へと入っていった。
中の瘴気は思っていたよりも濃く、霧がかかっている様だった。
門弟達に追い付いた烨霖は気配を消して後をつける。すると言い合いをしている声が聞こえてきた。
「若君、、、!!待ってください!!」
「早くしなければいけないとお前らも分かってるだろ!!」
「ですが、、、!!!」
門弟のひとりが若君を止めようと肩を掴む手を荒々しく振り落とす。
「やめろ!!早くしないと母上が、、、!!」
「(母上、、、?何故母上の名前が、、、?)」
「落ち着いて行動しないと!!それに、今回のこの件は魔教が関わっています!!」
【魔教】その言葉を聞いた烨霖は自分でも分からないほどに手が震え始め、過去の死に際の情景が脳裏を過ぎる
「お前はやはり悪鬼の子だ!!!」
悪鬼の子、、、私はの生まれは、、魔教と関係があるのか、、、?でなければ何故私が悪鬼の子だと言われたのだ?この手の震えや魂にまで刻まれたであろう恐怖にどう説明をつけろというのだろうか?
恐怖に震え、呆気に取られていた烨霖を呼び戻したのは獣の遠吠えだった。
「若君!!前方に狼の群れが!!」
「そのくらいどうとでもなる!!」
狼が出たということに違和感を抱いた烨霖は狼をじっくりと観察する。すると普通の狼とは違い、目が赤く染っており、口の中に何やら紋様がある事に気づく。これは普通の狼ではない、そもそもこんな瘴気の中生きていられる獣がいる訳がない!恐らくこの瘴気の元凶の者が作った護衛のための狼だ!!
烨霖は考える間もなく門弟達の前に出る。
「お前!!!なんでここに!?」
「待て!!この狼は普通ではない!!無闇に切るのは避けるべきだ!」
「なんだ!?赤い目の狼なんて!居る時は居るだろう!」
烨霖の警告に聞く耳を持たない門弟達は次々に狼を切り倒し始め、狼からは大量の血が吹き出す。
「はっ!!ほら!何もないじゃないか!」
調子に乗った門弟は意気揚々と剣を下ろす。
だが、その剣が振り落とした先にあったのは狼ではなく仲間の肩だった。
第3話はこれで終わりです。
ここまで見て下さりありがとうございました。何か至らない点があれば教えて欲しいです。 そして、作品の末路をこれからも見守ってください。よろしくお願いします🙇♀️
コメント
1件
うわああ第3話も激アツすぎた!!😭🔥 烨霖、前世のトラウマと今世の身体のギャップに悩みつつも、ちゃんと門弟たちを守ろうとする姿勢が沁みる…。若君との空気の悪さも緊張感あって、山の中の異常な瘴気とか赤い目した狼の描写がめちゃくちゃ引き込まれた! 最後の門弟が仲間の肩を斬っちゃうとこ、絶句した…どゆこと!?💦 護符の伏線とか魔教の話題とか、続きが気になりすぎるよ〜!枝豆さんエモい展開ありがとう🌸✨