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地下深く――。
重厚な鉄扉の先にある会議室は、静寂に包まれていた。
壁に並ぶ無数のモニター。
その中央の大型スクリーンには、三人の顔写真が映し出されている。
公太。
唯我。
一祟。
ORVASの主力メンバーたちだった。
冷たい光が会議室を照らし出し、その前には四人の男女が立っている。
アスガルト幹部――
ダリウス。
セリーナ。
レオン。
カイン。
誰も口を開かない。
ただ静かに、標的たちの顔を見つめていた。
やがて――。
ダリウスが腕を組みながら笑った。
「……どいつも面白そうじゃねぇか」
「久々に歯ごたえのありそうな獲物だ」
「じっくり噛み砕いてやりたくなるな」
獰猛な獣のような笑み。
その瞳には危険な光が宿っていた。
セリーナは冷静だった。
腕を組み、鋭い視線をモニターへ向ける。
「感情的にならないで」
「今回の目的は遊びじゃない」
「確実に仕留めること」
「無駄なリスクは許されないわ」
凛とした声。
その言葉だけで空気が引き締まる。
レオンは退屈そうに首を鳴らした。
「はぁ……」
「俺はもっと熱い戦いが好きなんだけどな」
拳を握り締める。
骨が鳴る音が響いた。
「まあ、命令には従うさ」
「つまらねぇけどな」
その目だけは獲物を求める猛獣のようだった。
一方、カインは表情一つ変えない。
「私が動くのは」
「全てが最も効率的に機能する時だけだ」
「無駄な感情は不要」
「完璧な勝利のみが価値を持つ」
冷たく機械的な声。
そこに迷いも情熱も存在しない。
数秒の沈黙。
そして――。
いつものように口論が始まった。
ダリウスがニヤリと笑う。
「で?」
「最初に遊ぶのは誰だ?」
「まさか怖気づいてるわけじゃねぇよな、カイン?」
挑発的な視線。
しかしカインは微動だにしない。
「感情論は無意味だ」
「最適なタイミングで動くだけだ」
「君とは思考回路が違う」
ダリウスの額に青筋が浮かぶ。
「言ってくれるじゃねぇか」
その様子を見ていたレオンが笑った。
「また始まったな」
「戦術バカと猪突猛進男のケンカが」
「見飽きねぇけどな」
するとセリーナがため息をついた。
「いい加減にしなさい」
静かな声だった。
しかし、それだけで場の空気が変わる。
「無駄話は終わり」
「次からは私の許可を得てからにして」
レオンが苦笑する。
ダリウスは肩をすくめた。
「へぇ」
「今日は月が綺麗だから機嫌がいいのか?」
皮肉交じりの言葉。
しかしセリーナは動じない。
わずかに目を細める。
「ええ」
「満ちているわ」
「つまり――今の私はとても冷静ということ」
その一言でダリウスが黙り込む。
レオンは吹き出しそうになるのを堪えていた。
カインは再びモニターへ視線を向けた。
そこには公太、唯我、一祟の顔が映っている。
「なら決まりだ」
「最初の標的は――」
言葉の続きを聞く前に、レオンが笑った。
「誰だろうが関係ねぇ」
「俺たちは潰すだけだ」
その言葉にダリウスが大きく笑う。
「ハハッ!」
「それでこそアスガルトだ!」
会議室の空気が重く沈む。
モニターに映る三人の写真。
それを見つめる四人の幹部。
獲物を見定めるような視線。
静かな殺意。
そして――。
避けられない戦いの予感。
アスガルトは動き出した。
ORVASの戦士たちがまだ知らない場所で、
新たな脅威が、その牙を研いでいた。
コメント
3件
ああ、43話読んだよ!アスガルトの幹部陣が一堂に会すシーン、すごく緊張感があってよかった。特にセリーナの仕切りっぷりが好き。「満ちているわ」でダリウス黙らせるの、めっちゃカッコよかった。性格バラバラなのに獲物を見定める目は揃ってるのが、逆に怖いな…。ORVASが知らないとこで牙研がれてる展開、次が気になるよ。たけっちさんのキャラクター立ちのセンス、毎回光ってるね!