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ユーカ
201
地下深く――。
重厚な鉄扉の先にある会議室は、静寂に包まれていた。
壁に並ぶ無数のモニター。
その中央の大型スクリーンには、三人の顔写真が映し出されている。
公太。
唯我。
一祟。
ORVASの主力メンバーたちだった。
冷たい光が会議室を照らし出し、その前には四人の男女が立っている。
アスガルト幹部――
ダリウス。
セリーナ。
レオン。
カイン。
誰も口を開かない。
ただ静かに、標的たちの顔を見つめていた。
やがて――。
ダリウスが腕を組みながら笑った。
「……どいつも面白そうじゃねぇか」
「久々に歯ごたえのありそうな獲物だ」
「じっくり噛み砕いてやりたくなるな」
獰猛な獣のような笑み。
その瞳には危険な光が宿っていた。
セリーナは冷静だった。
腕を組み、鋭い視線をモニターへ向ける。
「感情的にならないで」
「今回の目的は遊びじゃない」
「確実に仕留めること」
「無駄なリスクは許されないわ」
凛とした声。
その言葉だけで空気が引き締まる。
レオンは退屈そうに首を鳴らした。
「はぁ……」
「俺はもっと熱い戦いが好きなんだけどな」
拳を握り締める。
骨が鳴る音が響いた。
「まあ、命令には従うさ」
「つまらねぇけどな」
その目だけは獲物を求める猛獣のようだった。
一方、カインは表情一つ変えない。
「私が動くのは」
「全てが最も効率的に機能する時だけだ」
「無駄な感情は不要」
「完璧な勝利のみが価値を持つ」
冷たく機械的な声。
そこに迷いも情熱も存在しない。
数秒の沈黙。
そして――。
いつものように口論が始まった。
ダリウスがニヤリと笑う。
「で?」
「最初に遊ぶのは誰だ?」
「まさか怖気づいてるわけじゃねぇよな、カイン?」
挑発的な視線。
しかしカインは微動だにしない。
「感情論は無意味だ」
「最適なタイミングで動くだけだ」
「君とは思考回路が違う」
ダリウスの額に青筋が浮かぶ。
「言ってくれるじゃねぇか」
その様子を見ていたレオンが笑った。
「また始まったな」
「戦術バカと猪突猛進男のケンカが」
「見飽きねぇけどな」
するとセリーナがため息をついた。
「いい加減にしなさい」
静かな声だった。
しかし、それだけで場の空気が変わる。
「無駄話は終わり」
「次からは私の許可を得てからにして」
レオンが苦笑する。
ダリウスは肩をすくめた。
「へぇ」
「今日は月が綺麗だから機嫌がいいのか?」
皮肉交じりの言葉。
しかしセリーナは動じない。
わずかに目を細める。
「ええ」
「満ちているわ」
「つまり――今の私はとても冷静ということ」
その一言でダリウスが黙り込む。
レオンは吹き出しそうになるのを堪えていた。
カインは再びモニターへ視線を向けた。
そこには公太、唯我、一祟の顔が映っている。
「なら決まりだ」
「最初の標的は――」
言葉の続きを聞く前に、レオンが笑った。
「誰だろうが関係ねぇ」
「俺たちは潰すだけだ」
その言葉にダリウスが大きく笑う。
「ハハッ!」
「それでこそアスガルトだ!」
会議室の空気が重く沈む。
モニターに映る三人の写真。
それを見つめる四人の幹部。
獲物を見定めるような視線。
静かな殺意。
そして――。
避けられない戦いの予感。
アスガルトは動き出した。
ORVASの戦士たちがまだ知らない場所で、
新たな脅威が、その牙を研いでいた。
コメント
3件
ああ、43話読んだよ!アスガルトの幹部陣が一堂に会すシーン、すごく緊張感があってよかった。特にセリーナの仕切りっぷりが好き。「満ちているわ」でダリウス黙らせるの、めっちゃカッコよかった。性格バラバラなのに獲物を見定める目は揃ってるのが、逆に怖いな…。ORVASが知らないとこで牙研がれてる展開、次が気になるよ。たけっちさんのキャラクター立ちのセンス、毎回光ってるね!