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歩き続けても、景色は変わらない。白い壁、均等に並んだ蛍光灯、無機質すぎる空間。出口など存在しないのではないか――そう思わせるほど、すべてが同じだった。
🇷🇺「……まるで、迷路だな」
ロシアが低く呟いた。
🇨🇳「違うアル」
中国が立ち止まり、周囲を睨む。
🇨🇳「これは“迷わせる”ためじゃない。……“選別する”ための造りアル」
意味深な言葉に、北朝鮮が震え声で問い返す。
🇰🇵「せ、選別って……な、何を?」
中国は答えない。代わりにロシアが肩をすくめた。
🇷🇺「決まってんだろ。誰を生かして、誰を殺すか」
その言葉に空気が凍りつく。
誰も笑えなかった。
***
さらに進んだ先、ようやく“それ”を見つけた。
広い部屋。壁際には古びた椅子が五脚並んでいる。
だが、それよりも異様だったのは中央に置かれたテーブルだった。
無機質な金属製のテーブルの上に――
整然と並べられたのは、ナイフ、拳銃、鈍器。どれも本物にしか見えない。
🇰🇵「……っ!」
北朝鮮が息を呑む。
🇰🇵「こ、これ……」
指を指したそこには、張り紙があった。
【武器をどう使うかは、貴方たちにお任せします】
フランスが近寄り、一本のナイフを手に取った。
金属が蛍光灯の光を反射して冷たく輝く。
🇫🇷「へぇ……ずいぶん親切なもんだね。僕らに“遊べ”ってことか」
冗談めかした口ぶり。しかしその笑みの裏に、明らかな緊張が走っていた。
ロシアは黙って拳銃を手に取る。重い。弾倉は満たされている。
🇷🇺「……マスターの野郎。用意がいいじゃねぇか」
中国は腕を組み、鋭い視線を向ける。
🇨🇳「要は――互いに疑心暗鬼になれ、ということアルか」
部屋に沈黙が落ちる。
その沈黙を破ったのは、フランスだった。
🇫🇷「ま、でも……武器があるってことはさ。誰かが持ってれば、逆に抑止力になるんじゃない?」
そう言って、彼はちらりとイギリスの方を見やった。
イギリスは視線を受け止め、何も言わずに少しだけ口元を歪めた。
その一瞬のやり取りを、他の三人は気づかない。
***
全員が武器を手にした後も、すぐには動き出せなかった。
誰もが、他の誰かの出方を探っている。
少しでも背を向ければ、何が起こるかわからない。
北朝鮮が堪えきれず叫ぶ。
🇰🇵「なぁっ!こんなの……ぜ、絶対おかしいだろ!?俺たちを殺し合いさせたいだけじゃねぇか!」
🇨🇳「……そうみたいアル」
中国が静かに答える。
🇨🇳「だからこそ、冷静に考える必要がある。誰かが焦れば、それこそ“マスター”の思う壺アル」
その言葉に従うように、皆が再び黙り込む。
だが、その沈黙の中で――フランスはナイフを弄びながら、イギリスの横顔を見つめていた。
ほんの一瞬、唇が動く。
(……好き、だなんて言えないな)
囁くような声は、誰にも届かない。
次の瞬間、彼はいつもの軽い調子に戻った。
🇫🇷「ま、いいや。とにかく探索は続けようか。……ねぇ、イギリス?」
イギリスは無表情のまま、短く頷いた。
***
部屋を後にした全員の足音が、白い廊下に響いていく。
だが背後に残された武器の並ぶ光景は――確かに、これがただの“迷路”だったなら良かった。
皆はまだ知らない。
その部屋こそが、最初の分岐点であることを。
そして、次に帰ってくる時には――必ず誰かが欠けていることを。
アメデジ6見てたら、思い浮かんだ。
ではまた!