〜〜〜ゴロンシティ〜〜〜
「熱…………」
地獄の様な熱さだった。これが…ゴロン族以外は耐えられないと有名な場所だ……
馬宿の店主に燃えず薬を貰わなければ今頃、僕たちは焼き鳥と焼き魚になっていただろう…。
「ただの熱い場所だけだと思っていたけど、結構栄えているんだね。」
「うん!凄いね…!奥の方の大っきい建物は族長さんの家かな?」
ミファーは興味津々でゴロン族に話を聞いている僕から離れた。
「ありがとうございます。また分からないところがあったら聞きにくるよ。」
「はい!いつでもどうぞ!!英傑様には感謝しかありません!」
「はいはい…」
「…あれ?そういえばミファー様は何処に行かれたのですか?」
「え…?ミファーは僕と一緒に……あれ?」
「まだそんなに遠くに行ってないと思います。」
「そうだよね………。それじゃあね!」
「はい!!」
僕は素早く飛び上がろう………と思ったけどこの熱さだと羽が燃えるから仕方なく、走って探すか…
「はぁ……はぁ……ミファー、何処だい!」
リト族は「空と生きる」と言われている程、飛んでいるんだ。だから、「走る」という動作をする時は、どうしても飛べない時か怪我した時のどっちかだ。
「はぁ……はぁ……はぁ……」
しかも、普段ずっと飛んでいるから、走った時は他の種族よりも倍、疲れる。
「はぁ………はぁ………」
体がとても熱く感じる。鼓動が全身に鳴り響いて、うるさい。
ここが尋常じゃなく熱いし、自分の体も熱いから、倒れそうだ。でもここで倒れたら地面が熱い為、僕は焼き鳥になってしまう。持ってきた水も熱くて蒸発し、お湯になっていた。
「クソ……これじゃあ……死ぬ……」
ここで死ぬわけにはいかない。ミファーを見つけなきゃ…。
「何処だよ……!!」
君は今、泣いているかい?一人が寂しくて、不安で焦りで泣いているかい?ここが何処かも分からなくて、帰り方も分からなくて、もうここで死ぬかもって思っちゃったりして、泣いているのかい?大丈夫。僕が見つけてあげるからさ、だからそこで待っててよ。
「ミファー!!!」
「……!?リーバルさん!!」
「なんでこんな所にいるんだい!?探したんだぞ!!」
「ごめんなさい。綺麗な場所があるって、ゴロンシティの子供達に言われて…」
全く、このお姫様は……
「あのねぇ、旅行をしに来たんじゃないんだよ!分かってる??」
「それは……分かってるけど……」
「君は目を離したらすぐ何処か行くよね!単独行動はダメって皆に言われたでしょ!!」
「言われたけど………、折角来たから探険したいな〜って……」
「それは後でね!!全く君は……もう!僕から離れないでよ!!」
「………う、うん…分かった……!///」
ん?なんで照れているんだ……?僕、何か変な事言ったっけ……?まぁ、いいか…
「ほら、早く行くよ。」
「は、は〜い」
〜〜〜〜ゴロンシティ・族長の間〜〜〜〜
「おお…!!!英傑様…!!こんな熱い場所へよくお越しくださいました……誠に感謝申し上げます。」
「堅苦しいな……。綺麗な言葉使わないで喋って。」
「ですが……」
「いいから」
「分かりました。」
「では……こちらにお座り下さい。」
「分かったよ」
「今回は、どのような要件が……?」
「……ダルケルの話さ。」
「ダルケルですか…??そういえば、ここ最近、見てないですね。まだ帰ってきてないのでしょうか……。」
「それが……ダルケルはガノンとの戦いで亡くなってしまったんだ…。」
「え………??」
「英傑様……本当ですか…?」
「こんな話に嘘をつけるわけないだろ…」
「そんな……。」
「……どのように亡くなってしまったのですか?」
「僕は、意識を失っていたから……。ミファー、説明してあげな。」
「う、うん………」
「あの時はね、私…体の限界を越えてて立てなくなったの。それでガノンは私に攻撃をして…私、死んだんだな……って思ったら、ダルケルさんが助けてくれたの…。でもね、ダルケルさんの誰にも破れない護りの力をガノンが…破って……それで…ダルケルさんのお腹を……」
「……ミファー…。大丈夫……?」
「……気持ち悪いかも……。」
「じゃあ、僕に寄りかかりなよ。」
「ありがとう……」
「今の話…よく分かりました。ありがとうございます。話を聞く限り、あのお方は最後まで勇敢だったのですね。」
「………あ、そうだ……。これ…良かったら、受け取ってよ。」
「これは……!!ルーダニアのスカーフですか…?」
「うん……。ダルケルが身につけていたものだよ。」
「っ…………!ありがとうございます……!本当に、ありがとうございます……!!」
「オメェさんも、素直になったんだなぁ。」
「「!?」」
「驚かせてすまんな。」
「族長さんよぉ。今までありがとな。おまえさんのお陰でオレはここまで強くなれた。産まれたときから、親がいねぇオレを大事に育ててくれたオメェには感謝しかねーよ。」
「全く……!帰ってくるのが……遅いぞ……!」
「………っ。すまん……なぁ……。」
「リーバルよぉ。」
「……何?」
「……怒ってんのか??」
「当たり前だろ。」
「僕にさよならもせずに勝手に死んだから、怒ってるんだよ。」
「それはすまねぇな。……ミファー、元気でな。お前ら二人、協力し合って生きていけよ。」
「何それ…僕とミファーに付き合えって言うのかい!?」
「まぁまぁ、両思…………おっと…好きなら告白すればいいだろぉ。」
「何か言ったかい…?」
「………別に……?」
「それじゃあな…!!」
「あ、あぁ、じゃあね。」
「またこっちに来た時は、特上ロース岩を食おうぜ!!」
「それは、遠慮しとくよ……」
「ハッハッハッー!!!お前らしいな!!」