らだぺん
過激なし
口兄👹 猿山 × 天乃
同棲パロ
モブあり
地雷回れ右
そのうちフォロワー限定にします
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『今日から○○辺りに台風が直撃するでしょう。強い雷雨と風に襲われる予報です。○○付近にお住まいの方は自分の命を優先して行動してください。』
( ぴっ )
煩い程窓にうちつける雨、窓を閉めていても聞こえる風の音、今日はどの情報番組でも台風台風と騒いでいる。それも煩くてテレビを消した。
「よいしょっ、」
玄関の方から同棲人、天乃の小さな声が聞こえた。もう行くのか、と俺も重い腰を上げて玄関へ向かう。
「天乃」
「っ!?びっくりした〜…寝てると思ってた」
「まじで気をつけて行けよ」
「わかってるわかってる!いってきます!」
「いってらっしゃい」
( がちゃん )
色んな仕事が休みになるほど酷い台風の中、刑事である彼奴は朝の五時に当たり前のように出ていった。
「さてと…、」
数年教師をやっているが、台風で休校になった時に教師も休みになるのは初めて。生徒の安全を守るために休校になっている訳であって、教師の安全なんか気にせず、今までは休校でも俺ら教師は学校へ向かっていたのだ。
「彼奴、大丈夫か?」
「ずぶ濡れで帰ってきたらどうしよ」
「薄着すぎだったよなあれ」
今回は教師も休み。というか自宅で各自の仕事を終えろとのことだから、テスト採点とかノート点検とかプリント制作とか、やることはめっちゃあって今日中に終わらせなきゃいけないのに、ついつい天乃のことばかり考えて作業が一向に進みやしない。
「…早く帰ってこないかなー」
なんて思いながらプリント制作を進める。すると、大きな雷の音と共に着信音が部屋に鳴り響く。横目で携帯の画面を確認するとそこには見慣れた名前が映されていて素早く手に取った。
「もしもし?」
『あ、もしもし!天乃先輩のお友達さんですか?』
天乃からの着信のはずなのに知らない声が聞こえ眉間にしわを寄せる。友達なんてそんなうっすい関係じゃないんですけど。てか誰だよ。
「…まあそんなところです。誰です?天乃がどうかしました?」
『実は天乃先輩ちょっと風邪ひいてて署の休憩所で寝込んでたので僕の家に連れてきてるんですけど、』
「どこですか?あなたの家。」
天乃が俺の知らないやつの家で寝てる?そんなこと有り得ちゃだめだろ。一気に怒りが湧いてくる。可愛い寝顔を他の男に見せないでほしい。
『いや、僕が天乃先輩を其方まで送ろうと思ってるんです。住所聞いても大丈夫ですか?』
「……××××××××です。」
『わかりました!車ですぐ向かいます!天乃先輩!行きましょう!』
「天乃をよろしくお願いします。」
『いえいえ!僕も天乃先輩とは付き合い長いですし!浅い関係じゃないですよ!』
「…へえ。まあお願いします。」
( ぷつ )
なにが浅い関係じゃない、だよ。心配と怒りがごっちゃになってとてもイライラしてしまう。はやく、はやくはやくはやく。俺の天乃を返せよ。
( ぴんぽん )
インターホンがなる。俺は玄関に向かい扉を開けた。
( がちゃ )
「あ、こん…」
「天乃…!」
「んん…さるやま、?」
扉を開けると、後輩らしき男におぶられた天乃の姿が見える。何か言いかけていたがお構い無しにその後輩から天乃をあずかり寝室へ小走り。そっとベッドに降ろすとすぐにまた眠った。
「よかった、」
そう言葉を零してまた玄関へ戻る。
「すいません、ありがとうございました。」
「そんな、とんでもない!!天乃先輩にはほんとにいつもお世話になっていて!大好きなんです…!」
「ふーん…」
「?、なんですか?」
「ちなみに俺と天乃はただの友達じゃないんで」
「え?」
ぽかんと口を開けて少し悲しそうな表情を浮かべるこの後輩に、くすっと笑ってしまった。そうだよ、天乃は俺の恋人、だから変な意味で擦り寄らないでね、後輩。
「てことだから、じゃあ。ほんとにありがとうございました。」
「あ、まって、!少しだけ先輩の顔、見て帰っちゃだめですか?」
「…んー、だめ。またね。」
( がちゃん )
しっかり鍵まで閉めて寝室に戻る。ばいばい、もう二度と来ないでね。
「あーまの、」
「さるやま…」
「きつい?」
「ん、ちょっとマシかも。やっぱこの家落ち着く、」
そんな天乃の言葉を聞いて一気に嫌なイライラが消えた気がした。俺は何をこんなにイライラしていたんだろう。自分でも分からない、いや、そんなのどうでもよくなるほど今は目の前の天乃に夢中だった。熱もあってあったかい天乃を力いっぱい抱きしめる。
「っ、猿山、いたいよ…」
「うん。ごめん。」
「…俺が居なくてさみしかった?」
「うん。」
「心配だった?」
「うん…。」
優しい天乃の声が耳元にこもって心地いい。こんなこと本人に直接言ったら きもい って言われるだろうな。ずーっとこうしてたい。たとえ仕事が終わらなくて明日怒られても。天乃が俺の傍に居てくれるなら屁でもないね。
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