テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
俺は車が揺れるたびに痛む体を自分で抱きしめて痛みに耐えた
家に帰るまでローレンさんは口を開かなかった
俺がそれどころじゃないのをわかっていたから
ローレンさんの家に着くとまた俺を抱き抱えて部屋まで連れて行ってくれた
そしてベッドに下ろされると色々と準備を始め、体を拭いてくれる
「‥‥ロレさん、俺風呂くらい入れます」
「嘘つけ、まだ足震えてる」
「‥‥‥‥」
「ごめんな、もっと早く行けたら良かったのに」
「いえ、来てくれて‥‥嬉しかった」
こんなことになったのは俺にだって悪い所はあった
葛葉さんもだし、ローレンさんも‥‥
みんなが都合の良い所ばかり見て不都合には目を閉じていた
だから早く俺も葛葉さんに言わなきゃならない
葛葉さんとの関係もローレンさんとの関係も‥‥
「俺明日葛葉さんと話してきます」
「葛葉と?葛葉と小柳の事ならさっき話してきたよ。もう誘われる事はないから」
「えっ?」
「俺達の事も話してきた。だからもう心配は要らないよ。小柳はゆっくり休んだ方が良い」
「本当ですか⁈俺もう‥‥」
「叶さんに間に入ってもらって話はつけてきた。だからもしも話すんなら叶さんにお礼言っときな」
「‥‥みんなに迷惑かけてますね、俺」
「俺達3人が、だろ?でもこれで済んだ話になったから小柳ももう忘れて」
「‥‥はい」
忘れるには強烈な出来事だったけれど
でもローレンさんの言うとおり、これからは前を見て行こう
体を綺麗に拭かれ、ローレンさんが俺に布団を被せてくれる
「ゆっくり休みな。俺はあっちで寝るから」
「なんで‥‥ここで一緒じゃダメなんですか?」
「今日くらい一人でゆっくり休みたいだろ」
「‥‥‥‥このままじゃ眠れないです」
「えっ⁈なに、もしかして具合悪いとこあんのか?」
「俺昨日から何も食べてなくて‥‥」
「へ?昨日から⁈」
「お腹空きました」
「通りでさっき担ぎ上げた時軽く感じた訳だ」
「俺達あんまり体格変わらないですよね?」
「言っとくけど小柳よりは筋肉付いてるよ、俺は」
「ローレンさん‥‥言い返したいとこなんですけど、俺本当にお腹減ってて‥‥」
「あぁ、そうだったな。今なんか食べれる物探してくるわ」
ローレンさんの部屋に来てホッとしたと同時に急にお腹が減り始めた
安心できる場所に戻ってきた実感が湧いたのかもしれない
前にローレンさんの部屋に来た時は罪悪感を抱きながら来ていたはずなのに、俺も現金な奴だ
.
珈琲
336
3,697
コメント
4件
第14話読み終わった……しんどかったね、でも最後はじんわり温かくなった。 まず序盤の、車の揺れで痛む体を自分で抱きしめて耐えてる描写がすごくリアルで、胸がぎゅっとなった。ローレンさんが何も言わずに抱きかかえて連れて帰ってくれたところ、それだけで“大丈夫な場所に戻った”安心感が伝わってきた。 「風呂くらい入れます」→「足まだ震えてる」の軽い掛け合い、ここ好き。重くなりすぎないで、でも確かに助けられてる空気。 そして「何も食べてなくて」「お腹空きました」のくだりで急にホッとした。空腹をちゃんと訴えられるって、心が戻ってきた証拠だよね。ローレンが「筋肉付いてるよ」って言い返すところも何か可愛かった。 葛葉さんとの問題も叶さん経由で片がついたっていうのは、語られてない部分が多いからこそ余韻がある。“3人の迷惑”って表現に、この関係の重さが詰まってた。 いい話だった。読んでよかった😌