前回のあらすじ
クレープ屋に着いた詩葉と彗。注文のスタッフに声をかけられた彗だが果たしてその正体とは…
~第三話 意外な変質者 ~
「む、彗ではないか。どうしたんだい?」
店員に唐突に声をかけられた。驚いて顔を上げるとそこにはかつての親友、寺魔津虎狛がいた。ちなみに俺の記憶上は厨二病。あと、詩葉と同じ大学らしい。卒業して徐々に疎遠になってしまっていたけれど久しぶりの再会だ。
「虎狛じゃん、久しぶり。厨二病は続けてるか?」
少しいじりながら返答すると虎狛は手で顔を隠しながら
「もちろんさ。いまだにこの魔の左手は解き放たれないがな。」
厨二病は健在だったらしい。そういや詩葉、大学は虎狛について行ったとか聞いたけど‥
「私を忘れないでよ、虎狛君。」
不満そうな顔をしながらでも平気そうに話しかけるな…てかこいつだれにでもこの顔してる。意外と魔性だったりして…詩葉に話しかけられた虎狛はというと
「忘れるわけなかろう、詩葉さん。ただあなたに話しかけるには少し準備が必要になるだけですよ。」
とか涼しい顔で言ってます…どうなってんだこいつら…
「さて、注文が遅れてしまい後ろの方からラブコールが来ているので早く注文をいってくれたまえ。」
なんかもう厨二病なのか行き過ぎたナルシストなんかわからん。ホストでもやってんのか?
とはいえ、注文派は早くしなければならない。詩葉はもう決まっていたようで
「スペシャルストロベリークレープください。」
と注文した。俺は決めていなかったから
「じゃあ、おんなじのください」
と伝えた。虎狛は営業スマイルをしながら
「分かりました。光速で作って参ります!」
と厨房へ消えていった。瞬きをする間に虎狛は戻ってきていて両手には二つのクレープ。
「お待たせしました。代金は二千円になります。」
と店員らしく振る舞った。男としてはここで奢りたいところ。虎狛の光速に負けない速さで料金を払いクレープを受け取った。列から抜けて休憩スペースへ向かい詩葉にクレープを渡す。
「ありがと、お金。」
詩葉は嬉しそうにいった。まあ、今日のためにバイトしましたし?でもそんなこと言えるわけもなく
「お金の使い道なかったからちょうどよかったわ。」
と反応した。
そのまま休憩スペースでクレープを食べ少し詩葉と話をしていると詩葉の携帯が鳴り出した。
「ごめん、ちょっと出てくる。」
と、詩葉は席を外した。その直後タイミングを見計らったように虎狛がやってきた。
「彗よ、今度話したいことがあるから共に飲もうや。」
急に酒に誘ってきたから
「おい、俺らまだ十九だろ。ジュースぐらいなら付き合ってやるよ。」
と伝えた。すると虎狛は
「休憩時間終わりそうだから行くな。」
と自分の持ち場へと戻っていった。
虎狛が行ってしばらくすると詩葉が慌てて戻って来た。そして
「親が帰ってこいって言ってたから私帰る。」
と言った。俺は
「わかった。気をつけて帰れよ?」
と詩葉を見送った。見えなくなったあと、LINEを開いて虎狛を開く。
『バイト終わったら時間あるか?』
返信はすぐに帰って来た。
『時間あるぜ。飲みに行くぞ。5時半に駅前集合で』
時計を見ると五時だった。少し早めだが行こう。
俺は駅前へと歩き出した。
つづく…
あとがき
さあ、連載が開始されました!わーい\(^o^)/実は二話を出してからすぐゆゆ氏と白司が読んでくれましてハート連打してくれました。いやー毎日連載になるとここまで辛いのか…昨日一気に三話も更新してしまってもうクソ眠い状態で今あとがき書いてます。あと皆様に悲しいお知らせです。「第四回テノコン」ですが、僕が応募要項を読まずに応募してしまい、「文字数2000文字以上」という条件があることを知りませんでした。というわけでゆゆ氏が「ドラマ化しないかな…」という夢は僕のミスによりあっけなく砕け散ったわけです。笑えるね。まあ、テノコンがなくなったからって連載を辞めるつもりなんてミジンコのかけらほどもありませんので更新を皆様首を長くして待っていてください。
コメント
2件
一気見させてもらいましたー!! こういう系の話はそんなに読んだことなかったので、興味深いです!! 続き楽しみにしてます〜! 投稿お疲れ様です!🍵