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〔第五章:緑川秋斗の好きな人〕
(嫌だ、もう嫌だ)
俺は色んな人の恋愛事情を聞きすぎて、頭がヒートアップしそうになっている。
そんな感じなので、気分転換に校内散歩中だ。
(散歩もいいなぁ……ん?あそこにいるのって…)
緑川と、楢舞(ならま)さん!?
(どう言う組み合わせだよっ!?)
なぜだかドアが少し空いていて、そのせいかドアの隙間から声が聞こえる。
(な、何言ってんだ?)
ドアが少ししか空いてないせいか、聞こえづらい。
(でも何でこんなとこで?生徒会役員と風紀委員長が?生徒会の話か?)
そう考えていると、ハッキリと衝撃的な言葉が聞こえた。
(…はっ?好き……?)
告白現場だったんだ。
(おいおいおい!待て待て待て、はっ?)
これで緑川がOKすれば冬川の恋が叶う可能性が高くなるけど、四季が……
(… てかやばいっ! そんなん関係が崩れるわっ!)
何とか崩れずにいたジェンガが一気に壊れる感覚。
崩れたら何もかもが台無しだ。
(そ、それより…緑川の答えは何だ…? お前にかかってるんだ!頼む!)
変な汗をかきながら、ただただ願う。
「ごめん楢舞さん、俺好きな人いるんだ…」
(いよっしゃあああああ!楢舞さんには悪いけど、とりあえず良かったぁ…)
とりあえず、崩れなかったようだ。
そして、終わったかと思い立ち去ろうとした時、新しい内容が耳に入ってきた。
「じゃあさ、秋斗君の好きな人って誰なの??」
(秋斗の好きな人、か…)
(待てよ…蜜奇さんは緑川が好きだって言ってたけど これでまた別の人だったら…)
(もっとややこしくなるっ…)
「誰にも言わないんだったらいいよ?… うーんとね… 蜜奇さんだよ」
(おっ!!!)
(やっと両思いきたあああああああああああ!)
なぜだか心の底からの喜びが湧き上がってくる。
手伝いを頼まれたわけじゃないのに。
(恋って不思議だ…)
その後、俺はバレないようにその場を立った。
罪悪感が残りつつも…