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プリ小説から持ってきたものです
ぺいんとside
「ねえそこのお兄さん」
俺のことだろうか、誰かを呼ぶ声がした。
人違いかもしれないので、一旦無視することにした。
「あんただよ。黄色い髪の」
黄色い髪。そう言われたら俺しかいないだろう。
いったい何なんだという気持ちで振り返ると、そこには暗い紺色の髪をした、俺と変わらぬ年頃の青年がいた。
現在は深夜の0時。
こんな時間に学生が何をやってるんだか…。
そう思ったが、考えてみると俺もだったので、とりあえず気にしないことにした。
『俺になんの用?』
警戒しながら問いかけてみる。
「最近退屈だと思わない?」「この国は平和で、争いもなくって、日常にサスペンスが足りない」
そういう彼の瞳は、月の光を反射し、青く光っている。
『確かに。多少はそう思うときがある』
嘘はついてない。本心だ。
彼は、そう言うと思った。と、言わんばかりの表情でこちらを見ている。
「じゃあそんなお兄さんにはこれ!」
そう言うとポケットからアイスをを取り出してきた。
いつ買ったやつなんだ…。と半分呆れつつ、半分興味があったので、
『それは何のアイスなんだ』と聞いてみた。
見た目はいかにもアイスの袋だったし、中身も、某◯リ◯リ君のような形状だったので、アイスで間違いないだろう。
『そうそう。これはアイスだよ。よく分かったね。』
『でも普通のアイスじゃないさ。とりあえず、食べてみてよ』
夜も遅く、腹が減っていた俺は、怪しさも感じながら、そのアイスを食べてみた。
うまい。普通にソーダの味がする。しかもラムネ入り。
特に普通のアイスと違った点は感じなかった。
『普通にうまい。』そういったとき。目の前の青年がニヤっと笑った。
「あ〜お兄さん。食べちゃったね。」
なんのことだ?と聞こうとすると、目の前の景色がグニャッと歪む。
なんだ。なんなんだこれは。うまく立てない。これは地面?空?力が入らない。妙な薬でも盛られたのか?
俺、ここで死ぬ?
心の不安がブワッと全身に広がる。指先が震え前がより見えなくなる。
だが、急に自分に自信がつくような感覚がクる。
今の俺はなんでもできそうだ。空だって飛べるんじゃないか?
馬鹿げた考えだ。おかしい。俺は今どうなっている?
疑問が疑問を呼んでいる。
地面に倒れ込む俺に、上から声が飛んでくる
「お兄さん相性いいね〜!これ食べるの初めて?覚醒剤って言うんだ〜」
『な゙、んだって…?』覚醒剤?たまったもんじゃない。薬に手を出すほど、落ちぶれたくは無かったのに。
どうしてこうなった?俺が学校行かないから?親不孝だから?クズだから?
急に涙が溢れ出てくる。自分のことが愚かに思えてきた。なんでこんなッ…
「お兄さん大丈夫〜?」「ダウンでかいね、でも安心してよ〜死にはしないよ」
『俺はなんてバカなんだ…生きる価値もないッ…』
「安心しなよ」
『どうしろってんだ…!!!』
「お兄さんには俺がいるじゃん」
そういった彼の瞳は先ほどよりもさらに輝いており、眩しいほどだ。
「らっだぁ」
『…何…?』
「俺の名前だよ。お兄さんの名前は?」
『…ぺいんと』
「よろしくぺんちゃん。そしてようこそだね。」
俺は良くないものに手を出してしまった。
もう日常には戻れないだろう。
あの平凡な日々には。
アイスは覚醒剤の隠語です
読んでくださりありがとうございました