テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
中也のその後の話。
♡たくさんありがとう!嬉しいかぎりです!
✘月✘日
ある湖の近くの丘。
(中原中也) よぉ。会いに来てやったぜ。太宰。今日はロマネ・コンティの64年ものを
持ってきてやったぞ。
「静かな夜。風が木の葉を揺らす音とふくろうの鳴き声だけがあった」
(中原中也) 会いに来てやったんだからなんか言えよ。
「あれから、正月、七夕、クリスマス、節分、そして太宰の命日には太宰の墓参りに来ている中也。墓の場所を選んだのは森鴎外。」
(森鴎外) 湖に沈む月や草木に囲まれた所が良いだろう。夜は景色が綺麗だし。
「と。そのとおりで。夜は月が湖に反射して綺麗だ。」
(中原中也) また来てやる。
「いつも仕事の話し、芥川の話し、世間話をして。酒をおいてかえる。もちろんその話に答える者はいない。」
「太宰の墓に来る者は日によって変わる。その中で毎日来ている人間がいた。それは..
芥川龍之介。毎日来ては任務の功績を伝え、帰っていく。」
「ある日は敦。ある日は紅葉。ある日は乱歩。ある日は与謝野。墓は供え物がたくさん。」
「そして墓掃除は中也がやっている。お母さん気質の中也なのだからいつも墓は綺麗だ。
無駄に伸びる雑草も、墓にまとわりつく汚れ一つもない。」
(中原中也) じゃぁな。太宰。
(太宰治) あぁ。また来ておくれよ。
「その声は夜の静けさにまざり、消えた。」
マグカップ
#中原中也
コメント
5件
うわあ……最後の太宰の声、ずるいよ……。中也が毎回来てワイン置いて話しかけて、黙って掃除してる姿がもう切なくてたまらなかった。芥川も毎日来てるっていうのがまた…。静かな夜の湖と月、風の音、本当に映像が浮かぶみたいな美しい描写だよね。誰も答えないのに通い続ける執着と優しさが、この作品らしい重みと温かさを両方持ってて、心にじんわりきたよ。