タンタンとココロ。どちらも、かわいい水玉模様のと
んがり帽子と、同じ模様のワンピースを着ています。
二人はとっても仲のいい友達です。背中に透明な美し
い翼の生えた二人は、いろいろな所に飛んで遊びに行
きます。
今日は、ひまわりのところに行きました。ひまわり
は、とっても笑顔が素敵です。タンタンとココロはひ
まわりの笑顔を見ると、なんだかうきうきして、ワン
ピースと帽子が明るい黄色に光ります。ワンピースと帽子の黄色に反射して、顔も光ったようになります。タンタンは、ひまわりの笑顔も大好きですが、隣で笑っているココロの笑顔も大好きなのです。ココロの笑顔を見ていると、タンタンは余計に黄色くなるのでした。
次の日は、二人でチーターのところに遊びに行きました。チーターはとても足が速く、二人はいつも追いかけっこをお願いして遊びます。チーターは優しい所があり、二人が何とか追いつけないように、そして離れすぎないように足の速さを変えます。タンタンはあまり足が速くないのですが、追いかけっこをしているととても楽しくなります。チーターと、チーターを追いかけるココロの二人を追いかけます。走っている二人は、また黄色に光っています。
その日の帰り、二人でおうちに向かって飛んでいると、タンタンが言いました。
「今日も楽しかったね、ココロ。」
ココロは答えます。
「そうだね、タンタン。」
「今日のご飯は何かなあ、僕はシチューがいいな。」「シチュー。いいなあ、シチュー。でも、私はオムライスもいいな。」
「オムライスでもいいねえ。」
楽しいおしゃべりです。二人のその日の夕飯は、二人だけが知っています。
次の日、二人はペリカンのところに遊びに行きました。ペリカンはお話がとても上手で、二人が遊びに行くといつも違う話を聞かせてくれるのでした。その日、ペリカンは珍しく自分の話をしました。ペリカンが、友達と喧嘩をしてしまった話でした。まだ、仲直りできていないようです。ペリカンのお話はやはり上手で、引き込まれますが、寂しい顔をして話をするペリカンの顔を見て、二人の帽子とワンピースは青色に光るのでした。二人はペリカンの話を聞き終えると、ペリカンを励まし、仲直りをするように言いました。ペリカンは二人に「ありがとう」と言い、喧嘩をしてしまった友達のところに飛んでいきました。二人は少し、黄色になるのでした。
その日の夜、二人はそれぞれのおうちの二階にある自分の部屋にいました。どちらのおうちも大きなキノコのような形をしています。夜は地面からライトに照らされて、とても素敵な雰囲気になります。少し離れてはいますが、隣の家に住んでいます。タンタンもココロも、二階に部屋があります。その日、パジャマに着替えてベッドに入ったタンタンは、なんだか眠れなくって、部屋の窓を開けました。ココロのおうちを見ると、ココロの部屋にまだ明かりが点いているのがわかりました。タンタンは、ココロとお話をしたくなりました。タンタンは部屋の机に置いてある、木の枝の先が光るライトを取り出すと、ココロの部屋に向けてライトを光らせました。このライトは、周りを明るくするだけでなく、真っすぐに光を飛ばすこともできます。タンタンはココロの部屋に向け、光を飛ばすのでした。すると、ココロが窓を開けました。
「ココロ、お話をしようよ。」
タンタンはワクワクして話かけました。すると、
「もう」
ココロのパジャマと寝帽子がみるみる赤く光り出しました。そんなことを言われると思わなかったタンタンのパジャマと寝帽子も、一瞬赤く光りましたが、すぐに青く光りました。なぜ、ココロが怒ったのか、タンタンにはわかりませんでした。機嫌が悪かったのかもしれません。
「ごめんね、ココロ。」
そういうと、タンタンは窓を閉めました。閉まりかかっている窓の隙間から、ココロの後ろに鏡があるのがわかりました。ココロはこちらを見つめたままでした。
次の日、タンタンはココロに謝りました。ココロは、
「私もごめんね。一緒が良いよ、タンタン。」
と言って許してくれました。タンタンは、「ココロは優しいな」と思いました。喧嘩はたまにしますが、どちらかが謝ればいつもすぐに仲直りします。この前は、ココロがタンタンに謝りました。二人はまた、遊びにいきました。今日は、二人で花畑に行きます。 着いた花畑はとても美しく、タンタンは思わず「綺麗だなあ。」とつぶやきました。二人はかけっこをしたり、歌ったりして遊びました。タンタンが座って花を見ている間、ココロは、器用に花を摘んで冠を作っていました。ココロのワンピースと帽子はピンク色に光っていました。タンタンも、ピンク色に光っていました。タンタンはココロより先に作った花の冠を空に向かって投げました。投げた花の輪は、風に乗って遠くへ飛んでいきました。ココロは、一生懸命、花の冠を作りました。
もう遊び疲れた二人は、おうちに帰ることにしました。二人ともとても楽しそうでした。おうちに帰ると、夜になっていました。ベッドに入ったタンタンは、ぐっすりと眠ることができました。
次の日は雨でした。雨の日は二人とも自分の家にいることが多いです。この日、タンタンはココロの家に行こうと思いました。窓からココロの部屋の明かりが見えたので、ココロはおうちにいるようです。お気に入りのお菓子を持ち、傘を差してココロのおうちに向かいました。
ココロのおうちに着き、扉の前であいさつをしましたが、返事がありません。タンタンは、扉に手を掛けました。すると、扉があきました。ココロは何をしているのだろうかと、ココロの部屋がある二階に行きました。部屋の扉が開いているのでタンタンは、「遊ぼう、ココロ」と言って中を覗きました。すると、ココロは鏡の前で座っていました。二人は目があいました。ココロは言いました。
「今、こんな色なの。だから遊べないの。ごめんね、タンタン。」
タンタンは答えました。雨雲のような、重い色をしているのでした。
「どうして?」
タンタンは、そんな色を今まで見たことがありませんでした。だから、なぜココロが遊べないのかわからないのでした。その答えを聞いた時、ココロは驚いた顔をして、服も顔も全部、真っ黒になって、それからずっと、動かなくなってしまいました。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!