「おっはよー!」
誰もいない自分の部屋で叫んだ。いや,吠えた。
「起きたんなら早くご飯食べなさい」
お母さんが呼んでいる。
「今行く!」と返事した後すぐリビングに向かった。朝ごはんは白米と梅干し,シャケの塩ジメと言う昭和の献立だった。
「なんで金曜日朝練サボったの?」
母の声は少し,いや大半は怒りの成分が入っていた。こう言うのはまず上下関係を示すのが正解だ。だから俺は威嚇した。
「ガルルルル」
「バカなことやってないで早く学校行きなさい」
「はーい」
体から紫外線を浴び鼻と口から大量の二酸化炭素を吐く。そして鼻と口と目と鼻から酸素を吸う。あれ?今鼻2回あった?気のせいだね。あれ?この前はこの時間になおきいたのにな?まぁいいか。少し悲しい。いつもは校門前ではるきと会い,少し待つとけんじが来る。教室に入るとなおきが挨拶してくる。そして時間ちょうどにかいと。朝練のない日はりょうが来る。そんな毎日がたった1週間前の話なのになぜか懐かしく感じる。その懐かしさの教室と言う箱の蓋を開けた。
「けんじ!おはよ!」
「あぁ,そういやなおき見てないか?」
「見てたら一緒に来てるっつーの」
「あいつ俺がついた時にまだいなかった時ないのに」
「寝坊でもしてんだろ」
「そうかな?、、」
けんじの予想は当たったのだろう。かいとが来てもなおきは来なかった。
「先生!なおきくんって?」
「あぁ、体調不良で休みだ」
「そう,ですか,、、」
「ゆうた家近かったよな。プリント届けてくれないか」
「はい了解です」
嫌な予感がした。4時間なこともあってか時間が過ぎるのがとても早く感じた。
「けんじ!かいと!一緒になおきの家にプリント届けないかないか?」
「いいぞ」
「わかった」
案外すぐ2人とも付いてきてくれるらしいので少しホッとした。そして学校が終わってすぐ3人でなおきの家に向かった。3人とも全員があの病気じゃない事を願いながら。
ピーンポーン
「なおきの友達のゆうたです。プリント届けに来ました」
30秒ほどしてもなにも何もなかった。
「なぁ,コケ探しってどうなるんだ?」
「なおきがいないんじゃ無理だろ」
「けんじは?」
「なおきによる」
「そうか,」
ガチャ、、
音の方向に3人の視線が集まった。
「ん,ゴホッゴホッ、、ごめんね,僕から言い出したのにゴホッゴホッ、、」
「安全第一だ!大丈夫!」
いやけんじ離れすぎだろ。20メートルぐらい離れている。まぁみんなもその件の理由はわかってるから誰も突っ込まないが。
「反対派の俺は正直、もういいんじゃないかと思うんだが」
「かいとくんお願い、、ゴホッゴホッ僕を助けると思って」
「俺は賛成だな。けんじは?」
そう言って片道シャトルランの距離にいるけんじを見つめた、いや睨んだ。
「わーったよ」
そう言った時けんじが少し目を逸らしたのを俺は見逃さなかった。
「この世には多数決と言う素晴らしい行事がある事をご存知で?かいとくん?」
「3人中2人が異常なんだよ。その3人で多数決したらまともな1人は勝ち目ないな」
「おい!なにしれっと俺も異常者になってんだよ」
「間違い無いだろ」
「そんなこたぁどうでもいい!やろうども!向かうべきはヨミダの森やろうども!出航ダァ!」
そう言うと「ワンっ」と言う返事のみが帰ってきた。
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