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感動物語すぎる、涙止まりませんでした!
涙止まらん…!! 最高でした😭👏✨
兄弟パロだ … !! らゔ 🫶🫶 knさんの厳しさがその人への思いやりだと勝手に変換してます 😇 ut先が弟のciくんのことを第1に思って片目売っちゃったところで 嘘だろ … ?! ってなりました ( ciくんがut先のこと忘れちゃって 、 ut先にもダメージくると思うし忘れちゃったciくんにもダメージきちゃうから見てるこっちも苦しい …
注意事項
・この作品はwrwrd様の二次創作です。
・本人様とは関係ありません。
・検索避けに協力してください。
・兄弟パロが含まれます。
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「ut兄さんッ、どうしたのその目!!」
「なんや、ちょっと怪我してもうてさ。」
片目を包帯でグルグル巻きにしている彼の名はut。
そして、そんなutに駆け寄ったのはci。
彼らは兄弟だ。
幼くして、両親を亡くしてしまい貧しい生活をしている。
食が買えなくなってきたので、utは片目を売ってきたのだ。
「な、治るのッ、??ほんまに大丈夫っ、??」
「痛ないよ〜。それより、今日はご馳走やで。」
utは鞄から沢山のパンを取り出し机に並べた。
「わあ!!パンや!!やったあ!!」
「たまたま安くてさ。食え食え!!」
「ut兄さん、ありがとう!!」
そんな可愛らしい笑顔を見れば、自然とutの片目の痛みは収まった。
昼間は、街に行って金を稼いでいる。
所謂詐欺の方法で。
「お姉さん、リュックのボタンが解れてますよ。少し待ってください。直せますから、僕。」
そう声をかけ、解れていないボタンを適当にイジる。
…と、同時に財布から札束を抜き取る。
「出来ました。気を付けてくださいね。では、いい日を。」
札束を鞄に隠し、その場を去る。
頬をぽっと赤くした女を見て、満足そうに笑みを浮かべた。
さて、1…2…3…。
5000円か。まだまだだな。
utは札束を数え、ふうと息をついた。
ちらりと周りを見渡す。
金髪で水色のマントを羽織った以下にも金持ちの男を見つけた。
ぎゅと手を握りしめ、駆け寄る。
「すみません、これ落としましたよ。」
utは自身のハンカチを男に差し出す。
「うん?これは俺のちゃうで。」
「えっ、そうでしたか。じゃあ…誰の。」
わざとらしく周りを見る。
男はうーんと考えて指さした。
「交番届けよか。そしたら見つかると思うで。」
「交番って何処にあるんでしょうか…。」
「こっちや。着いてきぃ。」
そして、utの前を歩き出した男。
後ろポケットからはみ出ている札束。
1万円札だ。
utは躓いて、男の尻に倒れた。
「おっと、大丈夫か。」
「すみません…足が少し悪くて。」
もう片手には札束が握られている。
にやりと上がりそうになる口角を抑える。
「お前、片目も使えんらしいもんなあ。それで、よぉやるわ。」
「いえいえ……っ、え?」
「捕まえたで。もう逃がさんよ。」
ガシリと拘束される。
しまった。しくじった。
utは慌てて抵抗するが、完全に拘束されてしまった。
「おおっと、逃げちゃダメやで〜。君、うちの幹部に手ぇ出したやろ。んもうその友達がぷんぷん怒ってんねん。すまんなあ。」
「離せッ…くそっ、!!」
「足悪いんは嘘やね。でも、目はほんまや。なんでこんなことしたんよ。襲われたんか。」
「売ったんや…!!見ての通り金が無いからな!!」
「ほんなら、俺に着いてきぃや。きっともう幸せなれるで。」
「…ほんまかよ。」
「ほんまほんま。」
knはutを背中に背負い、歩き出した。
はあとため息を着く。
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「emさーん!!zmぅ!!例の泥棒捕まえたで!!」
眠くて目を閉じていると大声によって起こされた。
そこはどこかの建物内だった。
豪華な物が並んでいる。
けっ、ずる。
「ええっ、ほんまに捕まえてきたのお!?」
「ナイスやkn!!」
「へへんっ。」
真ん中の椅子に座らされ、縛られる。
全方向から見られている。
逃げるのは不可能だ。
「君、私のお金は…。」
「もう使ったわ!!」
「えッ、はやいこと…。」
「なんでんなことするんよ〜。まあ、間抜けなemさんも悪いけどなっ、ひひっ。」
「zmさんまでそんなこと言う!!」
「くひひっ。」
顔を見て思い出す。
emと言う男は、阿呆ヅラで、街の女性を眺めていた変人だ。
眺めるのに夢中だったので、財布ごと盗むのは案外楽勝だった。
だが、全然中身は入っていなかった。
変人だから仕方ない。
「なぁ、あんさん。なんでそんな方法で集めるんよ。んなのどっちにしろ辛い目に合うで。」
「知らん。そうでもせんと、こっちは失ってまうんや。」
「なにを??」
「…大切な、1人の弟がおんねん。」
utは諦めた様子で俯いた。
「可愛くて、弱っちくて、怖がりで、寂しがり屋のな。あいつは元々身体も小さいから少しでもいい暮らしさせたかってん。両親は居ない。死んだ。」
「…もしかして、片目は。」
「ああ、金がなくて売った。それでな、パンを買ってやったよ。凄い喜んでてさ。」
「…少し失礼するゾ。」
黒いコートを着た怖い男がしゃがんで、utの服をめくった。
骨が浮き上がっていて、以下にも不健康な身体が顕になる。
「なるほど。君は何も食べてないのか??」
「少しは食っとる。ほとんどは弟に渡しとるよ。」
「うう…可哀想な身体めう。」
「なあ、この子うちに入れようよ。」
「htがそういうか。珍しいもんだゾ。」
「なに、さも俺が人の心ないみたいな。」
「ないのは、knやん。」
「あるわッ!!」
utはそんな会話をぼーっと聞き流していると、女のような見た目の男がクッキーを持ってきた。
「これ食べぇや。美味しいめう。」
「…じゃ、あ。」
サクッ。
凄く美味しかった。ciにも食べさせてやりたい。
そう思った。ただ、そう思っただけ。
「…名前はut。詐欺師やってた。よろしく。」
「!!」
「grと言うゾ。君を我が幹部に歓迎しよう。」
───────────
それからは早かった。
utは思ったよりも馴染むのが早く、楽しい生活を過ごしていた。
後輩も出来て、utは余計満足していた。
そんな、とある夜だった。
雷の音でutは目を覚ました。
「…!!かみなり、!!」
咄嗟に布団から出て、廊下に飛び出す。
「わっ、ut先生。どうしたんすか。」
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ゴロゴロゴロッ
「utにいさんっ、utにいさぁんっ、」
ゆさゆさと揺らされて目が覚める。
「んん…どぉしたんよ、ci。」
「か、かみなりっ、かみっ、かみなッ、」
「…ほぉら、おいで。」
utが腕を広げると、そこに寝転がった。
ぎゅっと抱き締めてやる。
「んー。怖ないよ怖ない。俺がおるやろ。」
「もっとぎゅっして…。よしよしもっ、」
「んん…ほら、怖ないやろ、??」
よしよし撫でてやると、ciは丸まった。
「んへへ…、ぽかぽかしてきた。」
「せやなぁ。んしょ、カーテン閉めよか。」
カーテンを閉めると、一気に部屋が暗くなる。
ciがビクンと跳ねたので、ランプを付ける。
「すまん、暗なってもうたな。」
「んん、utにいさんがいたから、大丈夫。」
「そうか。今日はもうランプつけたままにしよか。」
「うんっ!!」
ciは雷や大きな音、暗闇が苦手な男の子だった。
utが傍に居てやらないとパニックになって呼吸も乱れてしまうほどに。
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「…し、しまった、!!」
さぁっと顔が青くなり、走り出す。
後ろからshpの大きな声が飛んだ。
「すまんっ、すまん…ッ、ciッ、、」
階段を駆け下り、門を飛び出す。
雨が身体をうち付けようと足を止めない。
「ciっ、ci…!!」
弟を救うつもりでここで過ごしていたのに、なんで自分が救われているんだよ。
目の前はじんわりと滲んだ。
────────────
「ci!!」
扉を開けて入る。
靴を脱ぐのを忘れたまま走って探す。
彼の姿は無かった。
ぐちゃぐちゃに荒れた室内、机の角に着いた血痕。
何があったのか、嫌という程に分からされる。
ピピッ。
『ut??どうしたん??shpが慌ててたで。』
「…rb。僕、rbに弟の話したことあったやん。」
『…ああそういえば。』
「…弟が居なくなってんねん。部屋はぐちゃぐちゃに荒らされてて血痕もある。お前のスキルで探し出すのは無理か…??」
『…はあ、しゃあないな。任せろ。』
「名前はci。水色の癖毛で、小柄な男。それしか、今の俺は知らん。」
『了解。とりあえず帰ってこい。こっから雨もっと降るらしいで。』
「うん。」
utは床に倒れている傘を開いた。
昔、ciと2人で使っていた唯一の傘だ。
───────────
「utの弟の居場所が判明した。」
rbの静かな声がつんと耳を着いた。
utはちらりとrbを見つめた。
「utがW国軍になってから3週間後ほどに、人身売買組織に誘拐される。その後、A国に買われたらしい。」
「A国言うたら…。」
「そう。今は生死不明。A国は奴隷制度がある国や。…正直、一般人は生きていけないだろう。」
utは立ち上がった。
「全部俺のせいや。だから、俺はciが死んでようとそこにいく。せめてあいつに伝えなきゃいけないことがあんねん。魂だけでも拾ってかな。」
「…俺も着いていくわ。」
「…kn。」
knが次に立ち上がった。
その隣でshpは目を見開いていた。
「utを連れてきたんは俺や。責任は俺にもある。」
「…部長にとって、他人じゃないすか。」
「…なにを。国民で、相棒の大切な弟や。それを俺は奪ったんやぞ。手を貸す他ないやろ。」
shpが、隣に座っているzmの手を引っ張って立ち上がった。
「ワイも行きます。ついでにzmさんも。ペア組んで敵は抑えます。」
「よっしゃ!!任せろshp!!」
「助太刀するぜzmぅ!!」
「ht行くしかないめう。」
「そうだな。」
皆が続々と立ち上がる。
総統はにやりと微笑んだ。
「宣戦布告と行こうではないか。」
空気がビリビリと騒ぎ出した。
─────────────
「えーと。名前はci、髪色は水色、目は橙色…だったっけ。そいつ見つけたら保護すればいいんですよね。」
「そうやな。」
tnとemはこっそりとA国軍基地内の建物に侵入していた。
もう外では戦いが繰り広げられている。
そのためもあって、敵は全然見られなかった。
「うわ、ここの地下室血の匂いやば。」
「ですね…。行きますか。」
重苦しい地下室に降りて行く。
コンクリートの床に靴が触れた時。
「…!!おい。」
「…ですね。」
そこには水色髪の男がいた。
「…お前大丈夫か。おい、意識あるか??」
近寄り肩に触れながら声をかける。
男は壁に括り付けられており、足は見れないほどに傷だらけだ。
1部肉がえぐれて、骨が見えてしまっている。
黒い布を1枚だけ着ており、ちらちら見える腹は骨が浮き上がっていた。
口にロープが巻きついていたので、tnは咄嗟に解いてやった。
ちらりと橙色の瞳がemに向いた。
「君、名前は??」
「…?、どれ、い。」
「ちゃう。お前の名前や。」
「…ど、れい。」
「…ダメだこいつ。」
emは男を縛っている紐をナイフでなんとか切った。
男はふらりと倒れたので、tnが背中に抱えた。
子供を背負ったかのような感覚だ。
ぞわりと首筋が震えた。
「よっしゃ、お前の兄さんに会わせたろう。」
「行きますか。」
「…、?」
────────────
「…ut。」
名を呼ばれ振り返る。
tnの肩に、懐かしい水色が見えた。
utは駆け寄り、頬に両手を当てて顔を持ち上げてみた。
目は閉ざされていて、荒い息を吐いていた。
「衰弱しとるわ。このままじゃ死ぬ。お前の弟はこいつであっとるよな。」
「…ああ、ciや。…、ci、やぁ、。」
痩けている頬を指先で撫でる。
反応は無い。ぷらんと垂れた腕は棒のように力もなく細くなっていた。
「俺に背負わせてくれ。」
「ああ、ええよ。」
tnはutの背中に男を乗せた。
utは揺れないようにゆっくりとした速さでその場を離れた。
─────────────
「…ん”、ぅ。」
「…。」
目の前に白い天井が広がった。
手に感覚が戻ってきて、ぱっと横を向く。
誰かがぐっすりと寝ていた。
身体は縛られてなく、痛みも少し引いた。
「…、」
「…ん、っ、!!ci、??」
誰かがこちらを向く。
何をされるのだろうか。
痛いこと?だったら嫌だな。
ciはぼんやりと考えていた。
「大丈夫か、痛みは…??ええと、俺ん事、分かる??」
「…、」
首を振る。
すると、誰かは悲しそうな顔をした。
「そうか。俺はut。お前の…いや、なんでもない。」
「…ut、さん。」
「…ッ、、そ、そうや。えっと…せやな。sn呼んでくるから、そこで待ってて。」
utはカーテンの奥へ消えていった。
ciは自分の手首をちらりと見る。
縛られていない。なんでだろうか。
「はーい。初めまして、snやで。ちょっと、見せてね。」
「…はい。」
snに身体を見られている間、隣にまたutがやってきた。
ciは片手でutの前髪を払った。
「…ぁっ、」
「……目、どうしたんですか。」
「…ふふ、大切な人ん為に渡したんよ。」
「…優しいんですね。」
「救えなかったのに?」
うん、とciは頷いた。
utは困ったように笑った。
snが身体を見終わり、口の中を見始める。
「あーってしてて。…わぁ、傷だらけ。」
「…?ci、その目は?」
片目だけ橙色の瞳に血のような赤色が滲んでいた。
「これですか?これは怒らせちゃった時に切られました。見ることもできません。」
「…ッ、」
「utさんと同じですね。でも、僕は優しくないです。」
「…、ッ、ぐすッ…ぅ、」
「…ut、さん??」
丸まっていくutの背中をsnが摩る。
ciはぽかんと見ていた。
「辛かったな…ッ、ciッ、ぐすっ。」
「なんで、泣くんですか。どうして??」
「守れなかったからや…ッ。」
「なんで貴方が守るんですか、??」
「大切な人やから…ッ、」
「なんで、他人を大切だと言えるんですか、??」
「…俺らはっ、、、」
兄弟だったんだ。
utの静かなカミングアウトはciを突き抜けた。
snは口を閉めたまま、utとciを見ていた。
「デタラメや。デタラメな嘘着いてるんや…。だって、僕はこう教わった!!ご主人様に尽くす奴隷として一生涯を終えるのだと!!」
「やめてやッ、そんなの馬鹿げてる!!」
「お前が馬鹿げてるやろ!!いつだって信じられるのは自分ただ1人。なのにお前は何故他人のために自分を犠牲にできる!!片目だって、失わないはずだ!!」
「…ッ、ci、」
「なんども言わせるな!!僕は奴隷だ!!ご主人様に会わせろ!!また怒られるのは僕なんだぞ!!」
パチンッ。
ciがベットから落ちる。
knが見てわかるほどに怒っていた。
utの背中にぽんと手を置いて、ciを睨む。
「だったら自分で考えてみろや。お前のご主人はもういない。俺もお前が嫌い。utはお前を助けようとしてる。お前が行くべきはどこや。」
「…、どこも、いかない。ご主人様が居ないのなら。僕は、動かない。」
「そうか。じゃあ、1人で頭冷やせばええ。」
「ちょ、ちょっとkn!!」
snが慌てて追いかけるが、無視してknはciを持ち上げて、倉庫付近の個室に入れた。
鍵を閉めて、ドア越しにそっと伝える。
「お前は混乱してるんや。今のお前は正気ちゃう。」
個室の中からガタンと音がした。
knは去っていった。
─────────────
「utにいさんッ、にいさんッ、にいさんってばぁぁ!!!!」
雨の中、街を走り回る。
雷が鳴りそうな空を見て、青ざめるがそれでも足は止まらなかった。
「utにいさんッ、返事してよ…。」
ぺたんと水溜まりに座り込む。
ここ、どこだろう。家は、どっちだっけ。
思い出す。
昔、utにいさんとお買い物した時に通った道を。
「…ぐすッ、ぅ"ッ、utにいさんッ、」
雨に打ち付けられ、孤独を感じながらなんとか歩く。
すると、後ろから声をかけられた。
「今、utと言ったか。」
「知ってるの…??、utにいさん…ッ」
ドカッ。
腹に拳がめり込んできた。
ciは飛んで壁に打ち付けられた。
「ぁぐ"ぇッ…!!」
「俺から金を取りやがって…。許さねえ。」
拳をパキパキと鳴らしながら近寄る男を見て、ciは慌てて走り出した。
勿論、男も追ってくる。
山を登り、家に流れるように入った。
…が、扉を閉める前に足に発砲されてしまう。
バタンッと、扉の前で倒れ、必死にドアノブに手を伸ばすが、開けられてしまった。
「ここがボクの家か。なるほど。縛れ。」
周りにいた男らに囲まれ、紐で縛られる。
ciは抵抗したが、その度に殴られたので次第に大人しくなった。
「utはいないぞ。仕方ないこいつ連れてけ。」
「utにいさんは…??」
「知るか。お前は捨てられたんだろ。可哀想に、知ってるか??あいつ、裏でお前のこと嫌ってたんだぜ。」
今では、だいぶデタラメな嘘をつかれたなと思う。
でも、その時はパニックになっていたのでそれをすんなりと信じてしまった。
精神が崩れるような感覚がした。
次の瞬間には、もう我を失った。
ただ、それだけ。
ちっぽけな、僕だから。
────────────
ゴロゴロゴロッ。
「ヒュッ…ぅ"、ひぃッ…。」
小屋には窓がなく暗闇で、雷の音がよく聞こえる。
ciは全身で全身を包み、丸まっていた。
「やだッ…ぃ、やだぁッ…ぅ…う"ぐッ、ぇ」
首を絞める。早く意識を無くさねば。
それなのに、震えるせいか力が入らない。
「かはッ…ぁ"、はや、くッ…はや、く”ぅッ。」
きぃ…と扉が開いた。
それを見る余裕もなく、ドタッとその場に倒れる。
「よしよし。怖ないぞ。」
「…っえ、??」
懐かしい温かさに包まれた。
首に巻きついていた指はすぐに剥がされた。
「はあ、お前はほんま俺がおらんとダメやな。」
「…ッ、ぐすッ、ぅ。」
「…、さっきはすまんかったな。いや、この話は今ちゃうな。」
ぎゅっと抱き締められる。
何年ぶりだろうか、この温かさは。
ずっと、ずっと。冷たい地下室にいた。
夜になると暗闇に包まれ、嵐の日には雷が聞こえた。
怖くて怖くて、嘔吐もしたし気絶したりもした。
そんなとき助けてくれる人はいなかった。
皆ウザイとかキモイとか、ciを殴って無理に起こした。
誰だっけ。思い出せ。
名前を呼ばねば。離れてしまう。
まだ覚えてるはずだ。
捨てられたくないって、思ってた。
忘れちゃいけないんだ。
「…ut、にい"、さんッ…」
ぽつりと出すことができたその名に、安心し、utの肩に頭を乗せて意識を飛ばした。
────────────
「…ut、」
「kn、ありがとな。もう大丈夫やで。」
utは意識を失ったciを背負って、個室から出た。
「ciが記憶をなくしてても、ちゃんと受け入れる。なんてったって、僕は兄やから。」
「…そうか、utがまた辛い目に合ったら俺がこいつシバくわ。」
「やめたってよ。僕にとってはただの兄弟喧嘩なんやからさあ。」
utは医務室のベッドにciを寝転がせた。
離れようとした時、きゅっと服を掴まれた。
「…い、かないでよぉ…、ut、にぃ、さ。」
顔を歪めて震えるciを見て、utは悔しい気持ちで溢れそうになった。
ciの頭を自身の膝に乗せて、ぽんっと撫でた。
「ごめんなあ…、ほんま、ごめん。」
「…ちゃんと、仲直りせぇよ。」
「うん、ありがとなkn。」
「……おう。」
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兄弟なんだ。
ずっとずっと昔から共に生きてきたんだ。
命の半分は兄弟であり、幸せの半分は兄弟で出来ている。
それくらい、兄弟という存在は素晴らしかった。
どちらかがかけてしまえば、崩れてしまう、弱い存在。
それなのに、強い力を秘めている。
兄弟は、共に掴み合わねばならない。
難しい世界だと思う。
でも、兄弟は今そこにいる。
手を伸ばせば届く距離にいる。
だからきっと、大丈夫。
ごめんなさい納得いかなかった😭
でも、8000文字!!セーフ!!