テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
霞「⋯⋯⋯⋯⋯」←無言でキーボードを叩いている審神者
豊前江「⋯⋯⋯⋯」
秋田藤四郎「⋯⋯⋯⋯」
↑それを遠巻きに見ている2振り
豊前「⋯主のやつ、なんか苛ついてんな。」
秋田「何かあったんでしょうか⋯」
薬研藤四郎「どうした?」
秋田「あ、薬研兄さん⋯!実は、主君がどうにも荒れてそうで⋯」←極練度カンスト(Lv.199)偵察値112
薬研「⋯あー⋯確かに苛ついてんな。キーボード打つ手に出てやがる。」←極練度カンスト偵察値115
豊前「やっぱ極短刀の偵察値侮れねーな⋯そこまで分かんのか⋯」←極打刀Lv.41偵察値50
薬研「ま、ここは俺っちに任せてくれや。」
そう言い、審神者部屋に入る。
薬研「よぉ大将。今日も頑張ってんな。」
霞「⋯!あぁ、やげさん。お気遣いどうも。何かあったのかな?」←薬研が目に入った途端普段通りに直す審神者
薬研「いや。特に問題は発生してねぇさ。」
霞「それは何よりですな。⋯じゃあ、何でこっちに?」
薬研「⋯秋田らが大将の事を心配してんのさ。随分根を詰めてるようだしな。」
霞「あぁ⋯まぁ、百鬼夜行が近いからねぇ。⋯諸々心配なんですよ。今年は向こうが何してくるか分かったもんじゃない⋯後童子切さんが少しばかり心配なんよ⋯」
闇氷「童子切の旦那?」
霞「うん⋯童子切さん、去年の百鬼夜行で来たけど色々と訳ありじゃん?だから今年童子切さん大丈夫かなぁて⋯」
薬研「まぁ⋯そうだな。今の童子切の旦那は剥落⋯逸話の記憶の一切を失ってる状態だからな。」
霞「⋯マジで童子切さん(というか身内)に何かあったら俺前線出るかもしれんわ」
薬研「それはやめとけ。俺達と違って大将は手入れじゃ治らないんだ、もう少し体を大事に扱ってくれや。」
霞「⋯⋯⋯ムー」(ㅍ_ㅍ)
薬研「そんな顔しても駄目だ。」
霞「⋯チェー」
薬研「ちぇーじゃねぇ。」
霞「⋯自分これでも戦闘系審神者だよ?氷蒼桜の審神者たる者、仲間に害なす敵を斬れなくてどうします?」
薬研「それでも、大将が傷だらけになるのは見てられねぇんだ。頼むよ、大将。」
霞『⋯自分の部位欠損くらい改造改変能力でなんとか出来んだけどな俺⋯』
「⋯⋯⋯善処する」
薬研「善処じゃない、徹底してくれ。」
霞「⋯⋯⋯ムー⋯」←1人で戦闘してボロボロになる常習犯(ほぼ無傷で帰る事はあるけども)
薬研「⋯ところで、そんなにキーボードを叩いて何してたんだ?」
霞「え、政府から即日提出してくれというアホみたいな量の書類の打ち出しですが何か?」
薬研「⋯⋯⋯」
『あぁ、苛ついてる理由これか⋯』
霞「確かに百鬼夜行近くて向こうも忙しいのは重々分かってるけどこの量は一体何なのかなマジであの担当者なんで毎回毎回一気に持ってくんのかなぶった斬りたくなってきた後個人用だけど最近小説の構想思いつかんし終わる気配ないしネタはないしどうしろと?は?は??」←ここまでノンブレス(男士の手前ニッコニコではあるがキレてる気配を隠せてない)
薬研『⋯⋯こりゃ重傷だな⋯』
「⋯たぁいしょ、そんなにかっかしなさんな。焦れば出来るもんも出来なくなる。少し縁側で頭冷やそうや。」
霞「⋯⋯⋯」(¬_¬)
薬研「そんな顔しても駄目だ。そら、行って来い。」
霞「⋯10分」
薬研「おう、行って来い。秋田、豊前の旦那、縁側まで連れてってやってくれ。」
霞「え、おったん!?」
薬研「いたぞ。」
霞「マジかよ⋯」
薬研「じゃ、大将の事は任せた。」
豊前「おぉ、わーったよ。」
秋田「主君、行きましょう!」
霞「はいはいはい⋯」
秋田に手を引かれ、霞は部屋を後にした。
薬研「⋯⋯⋯」
1振り残った薬研はパソコンの画面を見る。
薬研「⋯⋯何だ、大将じゃないと駄目な書類じゃないのか。この量ならちったぁ執務組に頼めば半日足らずで終わるだろうに⋯よし、あいつら連れてくるか。」
薬研は執務組の4振りを呼んだ。
へし切長谷部「急に呼び出して何の用だ、薬研」
薬研「即日の提出物があるんだとよ。大将でないと対処できない物ではないが、大将がまた1人でこなそうとしてたから、休ませてる間に執務組に大まかにやってもらおうと思ってな。」
山姥切長義「また彼女はこちらに書類を渡さなかったのか⋯」
薬研「今回はデジタルだがな。まぁ大将の事だから共有をかけてなかったんだろ。」
松井江「主は今どこにいるんだい?」
薬研「少し前に縁側に行かせた。俺もそっち行って大将の時間稼ぎしようかと思ってる。」
安宅切「⋯既に3分の1は終わっている状態ですね。この量なら数時間で終わらせられるでしょう。」
長谷部「見通しが早いな。早速取り掛かるぞ。」
長義「承知した。」
松井「分かったよ。」
薬研「⋯⋯こりゃあ⋯」
時間稼ぎをしようと縁側に赴いた薬研は少し驚いた。
件の霞と童子切が縁側付近の部屋で一緒に寝ていたからだ。
秋田「あ、薬研兄さん!」
声を抑えて秋田が呼ぶ。
薬研「あれだけピリピリしてた大将が寝てるたぁ一体何があったんだ?」
秋田「それが⋯」
霞「⋯⋯⋯⋯⋯」←表面上ただ膝立てて座ってるだけだが地面においてある右手の人差し指がずっと縁側の床を引っ掻いてる
豊前「そんなにイライラすんなよ、主。ずっと全力で走っててもどっかで動けなくなるんだからさ。」
霞「いやそれはご尤もなんだけどさ⋯何か落ち着かんのよ⋯」
秋田「そう言うと思ってお菓子を持ってきましたよ!疲れた時には甘いものです!」
霞「あぁうん、ありがと⋯」
そう言って金平糖を1つ放り込んで噛み砕く。
霞「⋯百鬼夜行⋯異去⋯平安京⋯遡行軍⋯戦鬼⋯腕⋯黒兄者⋯消費小判⋯経験値⋯三部隊⋯ビュッフェ⋯」
でも性懲りもなくまだ床を引っ掻きながら何かブツブツ言っている。
秋田「⋯主君、まだ怒ってますね⋯」
豊前「ただでさえ百鬼夜行でピリピリしてるってのに、政府から突然の即日提出の資料が来たもんな⋯気晴らしにたんでむつぅりんぐで外に連れてってやりてーが、書類提出で嫌がりそうだな⋯」
「⋯審神者」
その声に気づいて顔を上げる。
そこにいたのは件の童子切安綱 剥落だった。
霞「⋯あぁ、童子切さん。どうしました?」
童子切「⋯⋯⋯」
童子切は何も言わずにしゃがみ、右手を取る。
童子切「⋯爪が、痛む」
少しきょとんとすると、霞はすぐに笑った。
霞「⋯あぁ、お気遣いどうも。」
『まぁ自分元々深爪だから痛むも何もないんだけどね⋯』
童子切「⋯⋯⋯」
霞「⋯⋯?」
童子切は答えず、霞の右手人差し指をじっと見ている。
童子切「⋯痛く、ないのか」
霞「はい?」
童子切「ずっと⋯床を、引っ掻いていただろう」
霞「⋯⋯⋯⋯」
改めて見ると、人差し指の先がほんの少し赤くなっていた。
霞「あー⋯」
豊前「それ、無意識だったのかよ⋯」
霞「⋯どうやら」
秋田「主君⋯」
霞「いや、まぁうん、別に大したことじゃ⋯」
童子切「⋯痛いか」
霞「え⋯いや、別に⋯」
童子切「⋯本当か」
霞「⋯本当だけれども」
童子切「⋯⋯⋯⋯⋯」←じーっと見てる
霞「⋯⋯⋯⋯」
豊前「⋯⋯⋯」
秋田「⋯⋯⋯」
霞「⋯何でそんなに見るんですか」
童子切「⋯分からないからだ」
霞「何がですか?」
童子切「痛みがあるのか、ないのか」
霞「⋯⋯⋯」
童子切「審神者は、平気だと言う」
霞「まぁ痛くないからね。」
童子切「だが、赤くなっている」
霞「まぁ⋯床擦ってただけですし」
童子切「⋯それなら、もう擦るな」
霞「⋯⋯⋯」←気まずい
童子切「⋯⋯⋯⋯」←離す気0
霞「⋯善処します」
童子切「⋯⋯⋯⋯」
霞「⋯⋯⋯⋯」
童子切「⋯⋯⋯⋯⋯」
霞「⋯⋯⋯分かりましたよ⋯」
童子切「⋯それなら、いい」
ようやく、童子切が少しだけ頷いた。
豊前「おお⋯主が素直に言うこと聞いた。」
秋田「よかったです⋯!」
霞「いや、だって⋯」
ちらりと童子切を見る。
霞「⋯そんな顔で心配されたら止めるしかないじゃん⋯」←純粋な身内に弱い審神者
童子切「⋯⋯⋯⋯?」
豊前「本人は自覚ねぇみてーだな。」
秋田「ですね⋯」
霞「⋯⋯まぁ、確かにちょっと疲れてるのかもしれん」
豊前「やっと認めたか。」
霞「認めたくはないですけど」
秋田「でも認めたほうがいいですよ、主君。」
霞「⋯はいはい」
童子切「⋯⋯⋯⋯⋯」
童子切はまだ、霞の右手を握ったままだった。
霞「⋯童子切さん」
童子切「⋯どうした、審神者」
霞「手、もう大丈夫ですよ。」
童子切「⋯⋯⋯⋯、し」
霞「?」
童子切「⋯⋯もう少し」
霞「⋯⋯⋯⋯」
豊前「⋯⋯⋯」
秋田「⋯⋯⋯」
霞「⋯⋯しゃーないですなぁ。」
霞は少しだけ笑って、そのまま手を預けることにした。
数分経過して。
童子切「⋯審神者」
霞「何です?」
童子切「⋯暑く、ないのか」
※今いる場所 日の差す夏の縁側
霞「⋯暑くないと言ったら嘘になりますな。」
豊前「そりゃ暑いだろ。」
秋田「今日はかなり暑いですからね⋯」
霞「⋯まぁ、どうしてもってわけじゃなし⋯」
童子切「⋯審神者」
童子切は未だに握っていた霞の右手を、今度は軽く引いた。
霞「ん?」
童子切「⋯こっちへ」
霞「はい?」
童子切「⋯日が、当たっている」
霞「⋯そうですね。まだ日は出てますし、夏ですし⋯」
縁側には夏の日差しが容赦なく差し込んでいる。
霞自身はそこまで気にしていなかったが、童子切は気にしているらしい。
童子切「暑いなら⋯ここにいる必要は、ないだろう」
霞「いやまぁ、そうですけど⋯」
豊前「主、お前さっきから自分のこと雑に扱いすぎじゃね?」
霞「⋯否定はできない」
秋田「なら、早く中へ入りましょう!」
霞「はいはい⋯」
霞がようやく立ち上がった。
が。
童子切「⋯⋯⋯⋯」
霞「⋯⋯⋯?」
童子切は手を離さない。
霞「⋯あの、童子切さん」
童子切「⋯どうした」
霞「手⋯」
童子切「⋯⋯⋯⋯⋯」
霞「⋯⋯⋯」
童子切「⋯このままでいいだろう」
霞「え⋯まぁ、いいですけど⋯」
秋田「よっぽど心配なんでしょうね。」
霞「⋯何か、今日妙に距離近くないです?」
童子切「⋯そう、か?」
霞「そうですよ。」
童子切「⋯⋯嫌、か?」
少々悲しそうな顔でこちらを向く。
霞「え」
一瞬、霞が固まる。
霞「⋯⋯⋯いや」
霞は少しだけ目を逸らした。
霞「嫌ではないけれども⋯」←純粋な身内にとても甘い審神者
童子切「⋯なら、いい」
豊前「⋯⋯⋯」
秋田「⋯⋯⋯」
霞「⋯何なんだ今日は」
豊前「知らねぇよ。」
秋田「でも、主君が嫌じゃないならいいんじゃないですか?」
霞「まぁ⋯そうなんだけど⋯」
そう言いつつ、霞は童子切に手を引かれて室内へ向かう。
襖をくぐった途端、ひんやりとした空気が肌を撫でた。
霞「⋯あー⋯文明の利器って偉大⋯」
豊前「そこまでかよ」
秋田「ほら、やっぱり暑かったんじゃないですか!」
霞「⋯ハイ」
素直に認める。
そして霞はそのまま畳の上に座り込もうとすると、童子切がそれを止めた。
童子切「審神者⋯そこは、駄目だ」
霞「はい?」
童子切「⋯風が、当たりすぎる」
霞「⋯⋯⋯⋯」
豊前「⋯⋯⋯」
秋田「⋯⋯⋯」
霞「⋯童子切さん」
童子切「⋯どうした」
霞「今日どうしたんです?」
童子切「?」
霞「いや、なんか⋯めちゃくちゃ世話焼いてません?」
童子切「⋯⋯⋯⋯⋯」
少し考えるように黙る。
童子切「⋯審神者が、自分を大事にしないからだ」
霞「⋯⋯⋯」
童子切「薬研との会話を⋯聞いた。審神者が、わたしを心配している、と⋯」
霞「⋯⋯!」
『マジか童子切さんも聞いとったんか⋯』
一瞬、霞の脳裏に先程の会話が蘇る。
『童子切さんに何かあったら俺前線出るかもしれん』
『それでも、大将が傷だらけになるのは見てられねぇんだ』
『⋯善処する』
『善処じゃない、徹底してくれ』
霞「⋯⋯⋯⋯」
童子切「⋯⋯⋯⋯⋯」
霞「⋯どこから聞いてました?」
童子切「⋯最初からでは、ない」
霞「あっ、そうなん⋯」
童子切「だが⋯審神者が、わたしを心配している事は⋯聞いた」
霞「⋯⋯⋯」
童子切「だから」
童子切は、握ったままだった霞の右手を見下ろす。
童子切「わたしも⋯審神者を心配する」
霞「⋯⋯⋯⋯」
霞は気まずそうに黙ってしまった。
霞は視線を畳へ落としたまま、繋がれた右手をちらりと見る。
霞「⋯⋯いや」
童子切「?」
霞「なんというか⋯自分が心配される側になるの、慣れてないんですよね。基本いつも俺が心配する側だからさ。だから、こう⋯どう反応したらいいのか分からん。」
霞は困ったように笑う。
童子切「⋯⋯⋯⋯⋯」
童子切は少し考えるように霞を見る。
童子切「なら⋯何もしなくて、いい」
霞「はい?」
童子切「心配されることに⋯慣れる必要は、ない」
霞「⋯⋯⋯⋯」
童子切「⋯わたしが、守ろう⋯」
その言葉に、霞はますます何も言えなくなった。
霞「⋯そういうことさらっと言うんだもんなぁ、君⋯」
童子切「?」
霞「⋯わーったよ。今は大人しくする。」
童子切「⋯それで、いい」
霞は少しだけ苦笑して、握られた右手を見る。
霞「⋯俺が気ぃ張るはずが、立場逆転してるじゃん⋯」
豊前「⋯いや、これが本来の形だろ。」
霞「え?」
豊前「本来、審神者は守られる側の存在だからな?」
霞「⋯いや、そうかもだけどさ⋯自分、審神者やる前からこういう性格だったからなぁ⋯」
豊前「だからって、守る側に回りっぱなしになる必要はねぇだろ。俺達が戦うのは、主を守るためでもあるんだからな。」
秋田「主君が僕達を心配してくれるように、僕達も主君を心配したいんです。」
霞「⋯⋯はぁ⋯君らにゃ敵わんわぁほんま⋯」
少し照れ臭そうに、霞は視線を逸らす。
霞「⋯分かりましたよ⋯今日は大人しく守られときますよ。」
童子切「⋯⋯あぁ」
童子切の返事は短い。
けれどその手は、変わらず温かかった。
霞『⋯ん?温い?』
童子切は本来低体温だ。
だが、眠たくなると手が温くなる特徴がある。
ぱっと童子切の方を見る。
童子切「⋯⋯⋯⋯⋯」
その瞼は、ゆっくりと重たそうに瞬いている。
霞「⋯童子切さん?」
返事はない。
童子切「⋯ねむい」
霞「あー⋯」
豊前「こりゃ、完全に眠気来てんな。」
霞「やっぱりか⋯」
童子切「⋯審神者」
霞「はi⋯」
霞が返事を言い切る前に童子切は繋いだ手を軽く引き、そのまま霞ごと畳へと横になった。
霞「うわあっ!?」
霞も引っ張られる形で横向きになり、童子切のすぐ隣へ倒れ込む。
豊前「おぉ!?」
秋田「しゅ、主君!?」
霞「ちょっ童子切さん!?ちょっと−!?」
童子切「⋯⋯⋯⋯」
霞の手を離さないまま、そのまま静かに目を閉じる。
霞「⋯寝る気ですか?え、この状態で?」
童子切「⋯少しだけ」
霞「いや、自分巻き込まれてんですけど⋯」
童子切「⋯1人では、ない方がいい」
霞「⋯⋯⋯⋯」
その一言で霞は抗議の言葉を飲み込んだ。
豊前「ははっ。」
秋田「童子切さんらしいですね。」
霞「いやまぁ⋯別に嫌じゃないけどさぁ⋯」
童子切は霞の手をそっと握り直す。
童子切「⋯審神者も、休め」
霞「いや俺はまだ眠く」
童子切「休め」
短い一言。
だが、その声はどこか柔らかかった。
童子切「⋯休んで、ほしい」
霞「⋯⋯はいはい⋯」←純粋な身内にものっそい甘い審神者
観念したように返事をすると、霞もそのまま横になる。
童子切の隣はひんやりしているはずなのに、繋がれた手だけはじんわりと温かい。
霞「⋯何でだろうなぁ⋯さっきまで自分が童子切さんのこと心配してたのに逆に自分が休まされてるって⋯」
童子切「⋯それで、いい」
霞「⋯そういうもんですかねぇ」
童子切「あぁ⋯」
その返事を最後に、童子切の呼吸はゆっくりと寝息へ変わっていく。
霞「⋯寝るの早いなぁ」
豊前「主、お前も少し休めよ」
霞「えー⋯」
とは言うが、肩の力がふっと抜ける。
霞「⋯じゃ、目だけ瞑っときますか⋯」
そう呟くと、童子切を起こさないよう静かに目を閉じた。
秋田「それで結局、主君も寝ちゃったってわけです。」
薬研「なるほどな。ま、あれだけ根詰めてりゃ、横になった時点で限界だったんだろうさ。」
薬研が襖の向こうへ視線を向ける。
そこには、並んで横になっている霞と童子切の姿があった。
2人は完全に眠っている。
豊前が持ってきた大きめの掛布の中ですっかり寝入っていた。
しかも、霞の右手は未だに童子切に握られたまま。
薬研「⋯随分しっかり捕まえてんな、童子切の旦那。」
秋田「よっぽど心配だったんでしょうね。」
薬研「まぁ、大将も嫌がってねぇみたいだし、そのままでいいだろ。」
そこへ長谷部がやってきた。
長谷部「薬研。」
薬研「どうした?」
長谷部「全て片付けたぞ。」
薬研「もう終わったのか?」
長谷部「あぁ、確認も済んでいる。あとは提出するだけだ。」
薬研「そいつぁ助かった。大将が起きたら伝えとくぜ。」
豊前「主、絶対『えっ、もう終わったの!?』ってなるぞ。」
薬研「だろうな。」
薬研は小さく笑い、眠っている霞をもう一度見た。
薬研「⋯今日はこのまま寝かせとこうや。」
豊前「賛成。」
秋田「僕もです。」
四振りは静かにその場を離れる。
襖を閉める直前、薬研がもう一度だけ振り返った。
薬研「⋯おやすみな、大将」
そう呟いて、襖をそっと閉める。
今日も本丸は平和です。
ま、その百鬼夜行(レイド)今日の5時から始まるんですけどねアッハッハッハッハ
コメント
1件
氷蒼桜さん、読ませていただきました!第1話、すごく良かったです…! 霞ちゃんのイライラがキーボード叩く音とか床を引っ掻く仕草でひしひし伝わってきて、でも薬研さんや秋田くん、豊前さんが心配してる様子が優しくて。特に童子切さんの「審神者を心配する」って言葉と、無自覚に手を握ってるシーンが刺さりました…!あの距離感、めちゃくちゃ好きです。 最後みんなで寝ちゃうところもほっこりして、本丸の空気が温かくて、続きがすごく気になります🥀
73
毒林檎
月山来夏
222