「仲良くなりたい」
俺が住むマンションには、エレベーターが一基しかない。何だか薄暗いし、定員は5名となっているが、3人も乗ると窮屈に感じるような手狭なもんだ、、
俺が内心狙っている、清楚な感じの女子大生っぽい女の子がいるんだけど、彼女なんか扉が開いて俺が中に乗っているのに気づくとすごい顔で見てくる。
俺がなんか悪いことでもしたか?と聞きたくなるが、視界にも入れたくないとばかりにこっちに背を向けてしまう、
でも、俺は心に決めていた。いつかちゃんと彼女に声をかけよう。話しかけて会話を交わせばきっかけになる、経験からわかっていた。
その日は3回に住むカップルと7回の老夫婦と一緒だった。彼女も2人きりでなければいいのか、こちらを睨むようなことは無かった。
彼女は自分が住む最上階まで乗らず、夫婦の後を追うように7回で降りてしまった。
俺は思わずそれを追いかける。
非常階段を上る彼女に下から声をかける。
「なんでそんなに僕を避けるんですか?」
「ねぇ、あなたと仲良くなりたいんです」
「僕がなにかしましたか?」
「聞いてくださいよ。見えてるんでしょ?」
結局彼女は俺と会話を交わしてはくれなかった、 。
なんだ。ルールを知ってたのか