テラーノベル
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圭ちゃんの手が俺の後頭部を支え、さらに深く貪るように口づけを重ねてくる。
何度も角度を変えながら、お互いの唾液が交わる音が静かな部屋にクチャリと淫らに響いた。
だんだんと息が苦しくなり、酸素が足りなくなって頭の芯がじんわりと痺れていく。
思考力が完全にゼロになったところで、ようやく唇が離された。
「ぷはっ、はぁ……圭ちゃん…はげ、しぃ」
繋がっていた銀の糸がぷつりと切れる。
息苦しさと、羞恥心と、認めたくないほどの気持ち良さのせいで
涙目になりながら彼を睨みつけるが、圭ちゃんは涼しい顔で、唇の端を吊り上げた。
「りゅうが誘ったんだろ?」
「ちがっ、これは…っ、その……」
「…なあ、今日セックスするか?」
「へ…?!」
直球すぎる言葉が圭ちゃんの口から飛び出し、俺の頭は真っ白になる。
ニヤニヤと楽しそうに俺の反応を観察する彼を見て、ますます羞恥心が増していく一方だった。
あまりの急展開にフリーズする俺をよそに
圭ちゃんはあっさりと俺の身体から離れて立ち上がった。
そして、迷いのない足取りでベッドの横にあるチェストへと向かう。
引き出しを開け、ガサゴソと探った後に取り出したのは──
Lサイズの文字が躍るコンドームの入った箱
水溶性ローションのボトル
そしてウェットティッシュだった。
「…!?け、圭ちゃんそれって……」
あまりにも準備が良すぎるその光景に困惑し、声が裏返る。
すると圭ちゃんは、手元の商品を持ったまま、少し呆れたように片眉を寄せた。
「おいおい。さっきまであんなに期待してたくせに、今さら怖気付いてんじゃねぇだろうな?」
「ち、ちがっ……!」
確かに期待していた。
圭ちゃんとそういう関係になれたらなんて、夢みたいなことを考えていたのは事実だ。
だけど──
(本当に〝しちゃう〟ってなると…ちょっと心の準備ができてないっていうか……!!)
あまりにもリアルに迫ってくる「その時」の予感に、心臓が破裂しそうなほどバクバクと騒ぎ立てる。
俺のそんな分かりやすい迷いや戸惑いを見透かしたかのように
圭ちゃんはベッドの上に、持って避妊具とローションの袋をポンと無造作に投げ置いた。
「とりあえず、シャワー浴びてこいよ。待ってるから」
「えっ、あっ」
俺の返事を待つ気なんて最初からなかったのだろう。
圭ちゃんはそのまま立ち上がると、クローゼットから白い無地のバスタオルを取り出し
俺の胸元を目がけてポンと投げつけてきた。
「…ぁ、ありがとう」
胸元に落ちてきたタオルの柔らかい感触に、反射的にそれを抱きしめる。
まだバクバクとうるさい心臓の音をバスタオルで押し殺すようにしながら
俺は完全に腰が引けたフラフラの足取りで、脱衣所のある方へと歩き出した。
背中に感じる圭ちゃんの視線が、やけに熱く皮膚を灼くようだった。
野々さくら
990
#ラブコメ
猫塚ルイ

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