テラーノベル
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こんにちは楓愛です!
今回は番外編のリクエストを貰ったので書かせてもらいます
リクエストは「lrが自我に一度戻るお話」です
初めてのリクエストに喜んでいたので気合いを込めて書かせていただきます!
ではどうぞ!
愛玩標本
番外編「一度だけ、目を覚ました日」
スタート
「」lr
()kz
〈〉fw
【】ib
⚠️このお話はご本人様に一切関係ありません⚠️
朝、目を覚ましたローレンは、
隣に寝ている不破湊の腕にしがみついていた。
もう何日こうして目覚めてきたのか、わからない。
寝室は一定の温度に保たれ、遮光カーテンは自動、朝食は完璧に整えられていて、
今日もきっと、葛葉が「おはよう、ローレン」と優しく微笑んでくれるだろう。
いつも通りの、同じ朝――
……だったはずなのに。
その日、ローレンの頭の中に突然「音」が鳴った。
《――逃げて。ローレン》
まるで、深く沈んでいた記憶の底から泡が立ち上がるように、
名前を呼ぶ声が脳の奥で響いた。
思い出したのは、あの人――叶。
記憶は滲み、映像は霞んでいるのに、
その声だけが鮮明に心に刺さってくる。
「あの人、俺を……助けようとしてたんだっけ」
そう呟いた瞬間、ローレンの喉がかすかに震えた。
言葉にしたのは、どれくらいぶりだろう。
リビングに降りると、葛葉がコーヒーを淹れていた。
「目覚めはどう?」と優しく問いかけながら、
彼はいつものように、薬の入ったグラスを差し出してくる。
でもローレンは、グラスを見つめたまま動かなかった。
「ねえ、葛葉。……俺、これ、毎日飲んでるよね」
葛葉の手が一瞬、止まる。
「どうしたの、ローレン。そんな顔、しないで?」
声はいつも通りだった。でも、その奥に警戒の音が混じっていた。
「この薬、何?」
(……ローレンのためだよ。君が壊れないようにするため。俺たちの愛を忘れないようにするため)
「でも、俺は……本当に、今、幸せなの?」
その言葉に、葛葉はグラスを静かにテーブルに置いた。
ローレンはその夜、屋敷の奥にある鏡の前に立った。
鏡の中にいたのは、“笑顔を作るだけの自分”。
「かわいいね」と言われたときの顔。
「お利口だね」と撫でられるときの頷き。
「誰が好き?」と聞かれたときの答え。
全部、“愛されるための顔”。
でも本当の自分は――。
「俺は、叶と逃げたかったんだ。
あのとき、手を握り返せなかったのを、ずっと後悔してるんだよ……」
ようやく言えた言葉だった。
だけど。
その夜、三人は何も言わずにローレンを囲んだ。
泣き叫ぶことはなかった。ただ、彼らは微笑みながら、いつも通りの手順で“愛”を注ぎ始めた。
(もう、考えなくていいんだよ)
〈お前は可愛くしてればいい〉
【俺たちだけを見て、生きていればいいんだ】
何もかもを“元に戻す”ための時間。
心の奥に目覚めかけた“自分”を、3人がゆっくりと塗りつぶしていく。
“自我”は、優しさという名の麻薬で再び深く沈められていった。
朝、ローレンは再び目を覚ます。
隣には不破の腕。
ドアを開ければ葛葉の微笑み。
薬の準備をするイブラヒムの背中。
そして――ローレンは何も疑問に思わなかった。
(おはよう、ローレン)
「……うん。おはよう」
その日は、完全に“元通り”の朝だった。
一度目覚めた心は、静かに、確実に閉じていた。
🔻To Be Continued…
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番外編をご覧いただきありがとうございます!
頑張った…ほんとに頑張った
番外編続くと思ってなかったからちょっと嬉しいですね
リクエストに関しては募集中なので全然ください!
次回
番外編…?
コメント
1件
リクエスト書いていただきありがとうございます😭めちゃくちゃ良かったです!!!😭