『…あ、まふゆ。今日も来てくれ__』
まふゆが私の病室に1歩足を踏み入れた途端、
バタンッ!! と物凄く大きな音で扉を閉めた。
『っ、……ビックリした…どうしたの、?そんなに勢いよく扉を閉めて。。』
「………奏、何回も何回も何回も何回も言うけど、何時…退院出来るの、?」
『へっ…?…………えっと、2日後だよ』
「……そう。あと、2日後…………♪」
『…、?』
まふゆの表情が少し明るくなった気がする。
そして、声のトーンも上がった様な……気が
「……奏、退院したら私が *全て* 管理してあげる…」
『うん。…………えっ、?す、全て…って?』
「?言葉の通り。「全て」私が管理してあげるよ。そしたら奏も無理しない程度に曲作りに没頭出来るから」
『え、えっと……気持ちは嬉しいんだけど…』
少しだけ嫌な予感がして、言葉に詰まっているとまふゆは私の言葉に被せてくるようにつらつらと話し始めた。
「奏のご飯を作るのは勿論、買い物にも行ってあげる。それから奏のジャージとカップラーメンのストック……でもそればかりじゃダメだから私が毎日料理を作ってあげるしトイレ掃除もするし奏の部屋も整理してあげるし家の中全部を掃除するしお風呂は風邪引かないように毎日温かく適温で、そして髪も身体も全て私が洗ってあげるし奏の髪の手入れは私がしっかりやるしちゃんと乾かす。後は奏が無理しないように見守るし生活リズムも整えさせるしもう二度と︎︎"︎︎こんな事︎︎"︎︎は起きない様にしっかり健康な物を摂らせるから……ね?」
「……ああ、後…」
『ちょ、ちょっと待って……!!?』
まふゆの言葉を上手く頭が読み込めない。
それどころか今にもパンクしてしまいそうだし頭がクラクラしてきた…様な。
『そ、そこまでして貰わなくても私は出来るよ…?食事もちゃんと摂るし、生活リズムも正しくするし……無理しないようにも気を付けるから…!だから__』
「ダメ。」
『……え、』
「私が全部管理しないと。私が。私が。私が。
……奏の全てを管理しないと」
『ひッ……!』
まふゆが私の腕をガッシリと掴む。
その力はかなり強く、腕が痛い、痛い……!
『ま、ふゆ……痛い…痛いよ……!!』
「奏は「いい子」だもんね。私の言う通りに出来るよね。…二度と入院何てさせない。体調不良にさせない。こんな事にはさせない……!」
『ち、違……まふゆ、!は、離して…!』
「ダメ。私が管理しないと……」
「………だって…昨日も奏の事が心配で眠れなかった。それに、…」
まふゆは服を捲り、私に腕を見せた。
真っ白で綺麗な腕。でも、そこには……痛々しい傷が沢山付いていた。
『ッ……?!』
「…私、心配で……。」
「だから、…奏もお揃いに、する、?」
まふゆはポケットからカッターを取り出し、私の腕にソッとあてた。
「これで、お揃い…………♪」
『ッ、まふゆ…!辞めて……!!!』
『はあ、はぁ…ッ………!!』
間一髪でまふゆを突き飛ばした。
物凄く大きい音がしたし、申し訳ない事をした……と思ってるけど、流石にこれは…
『ま、まふゆ…大丈……夫……、?』
「……」
『ご、ごめん!い、痛かった…よね……?
…………で、でも…今のは流石に…!』
「ふふっ、奏は私の心配してくれるんだね。」
『へ……、?』
「逃げればいいのに。そんなに怯えるなら。」
「…それなのに、奏は逃げない。……だって優しいもんね。それは私にだけしてくれてるんだよね……!!?」
『ッ、!?!』
まふゆは私に馬乗りになって、腕を掴んだ。
痛い、痛い、痛い。
カッターの刃を向けられていて、怖い。
『ひッ……ゃ、め…て…………』
「……それなら、私に全て管理させてくれる?」
『ぅ、うん…!』
「本当……!?…………ふふっ、ありがとう奏。私、嬉しい♪」
『っ……』
「これは私が 心配だからやってるんだよ?」
「勘違いしないでね」
『わ、わわ分かってるよ…!もちろん……』
「♪」
「退院、楽しみだね」
『うん…』
何時ものまふゆじゃないみたいだ。
__いや、これは夢、夢なんだ__
そう思わないと気が狂いそうで……?¿?¿?¿?
__奏は、私だけが管理していればいい。__
コメント
2件
愛が重いのって良い…!