テラーノベル
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繁華街のネオンが滲む金曜の夜。終電を逃し、駅前のベンチに腰を下ろしたIfは、スーツの襟元を緩めてため息をついた。
「今日も疲れた……。」
ブラックな広告代理店に勤める彼は、毎日深夜まで働かされていた。クライアントからの無茶な注文、上司の圧、寝不足、そして誰にも気づかれない孤独。
そんな彼の視界に、ひときわ派手なスーツに身を包んだ青年が映った。
銀髪、ピアス、鋭い目元に妖艶な笑み。夜の街に完璧に溶け込む存在――初兎。
「お兄さん、大丈夫?疲れてる顔してるよ。」
その声が、Ifの夜を変えた。
「あの、別に酔ってませんけど……。」
「ん~?でも顔真っ赤だよ?お酒弱いの?」
ホストクラブ『DICE』のVIPルーム。
酔った勢いで連れられるままに足を踏み入れたIfは、なぜか目の前の初兎から手ずからカクテルを差し出されていた。
「……初対面の相手にこんな優しくしないほうがいいですよ。」
「俺、気になる人には優しいから。」
さらっと、初兎はそんなことを言う。
それがリップサービスだと分かっていても、Ifの胸はほんの少し、熱くなった。
「俺さ、こう見えても人を見る目あるんだよね。お兄さん、たぶん限界来てるでしょ?」
Ifは思わず、グラスを握る手に力を込めた。
「……なんで、そんなこと、わかるんですか。」
「夜の人間だから。朝から夜まで働いてる人の顔、すぐわかる。」
初兎の目が真っ直ぐにIfを射抜く。
その視線に、なぜか安心してしまう自分がいた。
コメント
2件
ホストと社畜、、、、、、、、 むっちゃくちゃいい題材じゃないですか!!!!!????? /////え、すっげえ! あの、15CMの身長差とか あざとかわいいうさぎさんとか、口実作って近づきたいとか、拝見させてもらってるんですけれども、 毎回 毎回天才過ぎます!!! これからも頑張ってください!