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1週間の間にマスコミの全ては狩人という組織を情報というもので袋叩きにしだした。その情報の大半は嘘という言葉が似合うような全く違うことが多かった。しかし、情報をTV及びSNSでしか得ることが出来ない一般人にはそれが本物だと思うだろ。連日、福島のボイドの正門前にはマスコミがうじゃうじゃと居る。ハリー軍曹と海斗は廊下を正門の方を見ながら歩いていく。
「毎日暇なのかねーマスコミの人達は」
「国の機関や人気者がミスをすればそれを美味しい餌だと思って群がり情報をねじ曲げて発信する。それが今の時代のマスコミだよ」
「ふーん……20年前はマシだった?」
「ガキンチョの頃の記憶なんか覚えていない」
「へいへい…そろそろ会議が始まるよ」
「ああ…また終わったら連絡する」
海斗は福島のブルーチーム全25部隊の会議に参加することになっている。海斗はこの会議にはあまり参加したくないと思っている。なんせ、古い考えを思っている年配の人が少なからず文句を言ってくるからだ。海斗は席につき、前にあるお茶の入ったペットボトルを開け、飲む。飲んでる時に隣に座ったのは第2部隊の近藤中尉だった。
「ふぅーいやーグレポン1ヶ月間使用禁止になっちまったよ!ハッハッハッ!」
「あたりめぇだろ…あんな火力高くしたら禁止になるよ」
「いやいや!あん時はすまんな!」
「俺はいいけど部下が危ないだろ…」
「悪い悪い!おっ、チームリーダーが来たぞ」
チームリーダーの犬次郎中将が席につき、カバンから紙を出す。イケおじといっていいほどに顔が整った犬島中将の口が開く。
「それじゃあ、今日の会議を始める。今回の内容はD6地区でのテロ行為だ。それじゃあ第10部隊の今井少尉、今回の件について話してくれ。」
「はい。まだ足の傷が癒えておらず歩くこと、立つこともできないため座った状態での報告よろしいでしょうか?」
「わざわざその傷で会議に出てくれているんだ。立てと言うのはおこがましい。座ったままでいいぞ」
「ありがとうございます。それでは、報告させてもらいます。我々第10部隊と第11部隊は爪鬼と針鬼の一味を討伐するため彼らがたむろしているD4地区に出動しました。出動後爪鬼と針鬼がD6地区に移動してることを確認しました。D6地区到着後第11部隊が1部の交通規制を行い、第10部隊で爪鬼と針鬼の居る場所に突入。突入と同時に店の中にいた爪鬼と針鬼の子分の鬼に奇襲を受けました」
「そして、今井曹長以外の隊員は捕まっていたということでいいかね?」
「はい、その通りです」
「うむ…今井曹長は救助に向かったのか?」
「いえ、私は民間人の避難誘導、本部へのSOSをしました。しかし、鬼がまだ潜んでいたためこのような結果になってしまいました」
「そうだな…確かにこの記録書には5回、SOS発信がされているな。よく頑張ってくれた」
「ありがとうございます…」
「犬島中将。1つよろしいでしょうか?」
手を挙げて口を開いたのは第23部隊隊長の中嶋少将だった。狩人の組織が結成されて2年後に配属され、大きな作戦となった「北海道奪還作戦」に参加したベテラン隊員だ。だが、海斗はこの人が苦手である。理由は少しネチネチとしいてるところだろう。
「なんだい?中嶋少将?」
「今回の件、確かにSOSを発信、交通規制もしていたことでかなり被害は最小限に出来ました。しかし、結果としては重傷者を出してしまった。これは如何せん大きな問題であり、狩人の存続に関わる。私が1番疑問なのは作戦に導入した部隊が2部隊しかない事だ。他の部隊には協力を要請したのか?」
「はい、要請はしましたが…」
「要請したのに作戦に参加して貰えないのはどうなんだい?そう言うが、我が第23部隊には一向に連絡は来ていないぞ?」
「そんなはずはありません!私は確かに連絡を…!」
「申し訳ないが我々、第24部隊の方にも連絡は来ていないぞ」
他の部隊長が連絡が来ていないことを発言している。海斗は少し呆れ始めていた。そして、近藤中尉もまた始まったという顔をしている。
「私にも発言よろしいでしょうか?」
痺れを切らした海斗が手を上げる。
「うむ、許可する」
「ありがとうございます。中嶋中将に対して発言させていただきます。本当に連絡は来ていないのでしょうか?」
「ああ…来ていないぞ?」
「それでは先月のチーム会議で今井曹長が発言した内容を覚えていますか?『2週間後に爪鬼と針鬼の掃討作戦がある。今現在第10部隊と第11部隊しか居ないため作戦をするのが難しい。なので残り1部隊、参加させてもらいたい』という連絡です。そして、その後あなたはある一言言いましたが、覚えていますか?」
「いや、全く覚えてないが?」
「俺は一言一句覚えていますよ?『そんな弱小鬼共に3部隊も出す必要性は無い。お前らだけでやれ』と」
「そ、そんなこと言った覚えは…」
「私は第1部隊、そして第2部隊、第3、第4、第5も参加できるといった矢先にあなたが我々に対して吐いた発言です」
「う…記憶に無い…」
「ほう?記憶に無い?それでは議事録及びに会議の録画を見てみましょう。そして、我々にも問題はあります。たった1人の脳みそがガチガチに凝り固まった隊員だけの発言で第10部隊と11部隊に作戦を任せてしまったこと。今は部隊数を少数で任せるべきではないんです。今この日本は鬼の連携に対応するためにはこちらも連携をするべきなんです!」
「この…若造が…!」
「中嶋少将。少し落ち着きたまえ」
犬島中将が重い口を開いた。とても目つきは獲物を見るような目をしている。中嶋少将は少し身震いをし、口を閉じる。
「私は今現在のブルーチームの問題は連携が取れていないことだ。このままでは例えいい性能の武器を手に持ったとしても簡単に返り討ちにあってしまう。そんなことあってはならないのだ。私にも課題は多い。いいか、他の部隊に責責任転嫁させてはならない。全部隊の責任だ」
その発言のあと、会議を着実に進んでいき1時間半以上及んだ。
「海斗少尉!貴様!さっきはよくも!」
「やめましょうよォー中嶋少将!」
「近藤中尉!邪魔だどけ!」
中嶋少将が俺に対して詰めよろうとしてたとこを近藤中尉がそれを阻止しようとしてくれている。相変わらず、おじさんの頭は硬い。怒られたら別のヤツに責めよろうとする。
「ふ、ふっふっ!お前も兄貴と同じだな!そうやった無駄口を挟み、鬼に無残に殺されたあの兄貴と!お前も同じ道をたどるんだな!」
「おい、あんた!何言ってやが…」
「おい、クソジジイ」
海斗には兄貴がいた、3歳離れた兄貴。その兄貴は死んでいる。それは絶対に触れていけないパンドラの箱のようなもの。
「二度と兄貴のことを喋るな。お前に俺の兄貴の何がわかる?次、知った口をしてみろ。お前の凝り固まった脳みそを両腕で潰してやる」
中嶋少将は口をガクガクとさせてその場に倒れ込んでしまった。海斗はその場を離れて寮に戻る。
「あら、怖い顔してるねぇー」
「ハリー軍曹…悪い、少しな」
「龍坊と威吹郎が稽古つけてくれって待ってるよぉ」
「アイツら…そうか…」
部下を持ってわかった。まるで息子のように感じ、成長を見れる。それはとても嬉しく、そしてどこか悲しい。海斗は部下のいる訓練所に行く。