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「う……うわぁぁぁぁぁ!」
思わず僕はその場にしゃがみ、声を大きく発してしまう。
それがダメだということも、危険に晒されるとわかっていても、これには耐えられない。
「⑤武運ヲ……願ヰ、マーす」
これは最悪だ。
こんな……こんなのゲームなんかじゃない。
「文楽、一旦ここから離れるぞ」
「う……うん。なんかごめんね」
「……別に良い」
何もかもが崩れてしまったかのような感覚に襲われ、額から流れる汗が止まらない。
僕たちは、とりあえずその場から去り、生い茂る草木を掻き分け森に着く。
一体全体ここはどこなのか、そう大声で問いたくなるほどこの空間は不気味で、息苦しい。
「なぁ轟君。先生や、皆は無事だと思う?」
「無事だろ。きっと」
「だよね」
会話、声を発すること自体が危険でも、それをしないと僕自身が崩壊する。
砂のお城みたいに崩れてしまう。
……今も尚、ヒーローとしての、ヒーローの卵としての威厳は、勇姿は壊れてしまっているのだろうか?
それを考えるだけ無駄だ。
僕は両手で力一杯自分の頭を叩いた。
少しでも渇を入れて、立ち上がらなくちゃならない。
「轟君。こっからどうする?」
とは云えど、僕にそんな考える力もないので、優等生に聞くとしよう。うん、それが一番。
「そうだな……人に見つからないように動きつつ、先生や皆を探そう」
「OK。まずはどっからにする?」
そう聞いてみれば、彼は俯き、深く沈みこんでしまう。
はい、僕も考えます。
「……人がいるところは避けたいよねぇ」
「そうだな……人が少ないであろう、この奥から探すか」
「んぇ?」
つまりは森ってことですねわかりました。
森は嫌……でも探さなくちゃだよね。
重い重い腰を起こして、僕たちはまた歩きだす。