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# 第6章 凛が気づいたこと
「おはよー!美月!」
「凛、おはよ!」
いつものように、凛が笑顔で美月に駆け寄ってきた。
「昨日さー、帰ってから――」
凛が話し始める。
美月も笑いながら聞いていた。
いつも通り。
昨日と何も変わらない朝。
……のはずだった。
「美月?」
「……え?」
「どうしたの?」
「ううん。なんでもないよ」
美月は笑った。
でも、凛は少しだけ違和感を覚えた。
――まただ。
昨日もそうだった。
美月は何かあると、すぐに「なんでもない」と言う。
*
休み時間。
凛が美月のところへ行こうとした、その時。
「美月、ちょっと来て」
莉音の声が聞こえた。
美月の表情が固まる。
「……うん」
小さな声で返事をして、美月は莉音についていった。
「……?」
凛は二人の後ろ姿を見つめた。
なんとなく気になった。
でも、すぐに追いかけることはしなかった。
――ただの話かもしれない。
そう思ったから。
*
しばらくして。
美月が教室に戻ってきた。
「美月!」
凛が声をかける。
「……なに?」
「どこ行ってたの?」
「えっと……ちょっと呼ばれてただけ」
「莉音に?」
「……うん」
美月は笑った。
でも――
その笑顔は、少しだけ無理をしているように見えた。
「……美月」
「ん?」
「本当に大丈夫?」
「大丈夫だよ!」
返事が早かった。
凛は黙った。
……やっぱり変だ。
*
放課後。
凛は教室に忘れ物を取りに戻ってきた。
「……あれ?」
教室の奥から声が聞こえる。
凛は足を止めた。
「……美月?」
そっと覗いてみる。
そこには、美月と莉音たちがいた。
凛は思わず隠れた。
何を話しているのかは、全部聞こえない。
でも――
美月が俯いている。
莉音たちは、美月を囲んでいる。
「……」
凛の胸がざわざわした。
今まで見たことのない美月の顔。
怖がっているような。
困っているような。
泣きそうなのに、必死に我慢しているような顔。
その瞬間。
昨日までの小さな違和感が、全部つながった。
朝、莉音を見たときの表情。
「なんでもない」と言ったこと。
放課後に一人で帰っていたこと。
そして――今の美月。
「……まさか」
凛は小さく呟いた。
「……美月、いじめられてる……?」
その言葉を口にした瞬間。
凛はぎゅっと手を握った。
知らなかった。
ずっと隣にいたのに。
美月が笑っていたから。
「大丈夫」と言っていたから。
気づけなかった。
「……私、何も知らなかった……」
凛はその場から動けなかった。
でも、一つだけ決めた。
――明日、美月にちゃんと聞こう。
今度は、
「大丈夫?」
だけじゃなくて。
ちゃんと、美月の話を聞こう。
**――第6章 終**
コメント
4件
その前に助けろー
やっと違和感に気づいた!
うわあああ第6話読んだよ〜〜!!😭💕 凛がやっと、美月の「大丈夫」の裏にある違和感に気づいたんだね…! ずっと隣にいたのに気づけなかったって思う凛の心情、すごく切なくて胸がぎゅってなったよ…。 それにしても莉音たち、なに話してたんだろ…美月のあの表情だけで想像がつくのが辛い🥺 でも「明日ちゃんと話を聞く」って決めた凛の強さ、すごく好きだし、これからの2人の関係に期待が止まらないよ〜!! 次話が待ちきれない!!るあさん、ありがとうございます🌸✨
狐夜 月愛🩵🦊🌙
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