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#自探索者
ゆむ。
98
#腐向け注意!
テリー・オスト
130
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第3話「魔法少女ハント」
それは、例えば恋それは、例えば憧れ
それは、例えば不幸からの脱却
人々は皆、些細な事を願い、小さな事を望む
ーだが中には譲れない確かな願いが存在する
悪魔が囁く時、少女達の願いは無残にも踏みにじられる
果たして、カミガカリ達は彼女達の願いを護れるのか?
魔法少女に勧誘されインキュベーターに利用されていた脊古の隣人、マイちゃん。
彼女を説得するため、苑良は自身の話をする。
って感じです
✄——————-‐✄
「……君のおばあちゃんを助ける方法は他にもある。」
「…?」
「俺は、昔家族を全員失いかけたことがある。…最愛の妹が、大火傷で瀕死になったんだ。……っ、…その時、俺は、クシミタマっていう、アラミタマって悪霊を倒すと手に入るものを持ってた。クシミタマは、死んだ人を生き返らせることはできないけれど、小さな奇跡を起こすことが出来るものだ。だから、俺はそれを使って、妹の火傷を直した。小さな奇跡が起きて、瀕死の妹を救った。他の家族は失ったけど、妹だけは、救えたんだ。……だから、君の命をかける必要は無いし、おばあちゃんも助けられる。」
マイちゃんは、インキュベーターから天敵だと言われた苑良の言葉に揺れている。
信じていいのか、分からなくて困惑したように脊古を見つめた
「……マイちゃん、彼の言ってることは本当だ。クシミタマがあればおばあちゃんを救える。けど、そのインキュベーターは君の日傘に細工をしておばあちゃんを病気にした原因なんだ、だから、俺たちを…俺を信じてくれないか」
真っ直ぐで、力強くて、頼りになる声でマイを見つめてしっかりという
すると、横で黙って聞いていたインキュベーターが笑いだした
「ははっ、なぁーんだ、そこまでバレてたのか。なら、魔法少女と神我狩、総取りといこうじゃアないか!」
開き直ったように不敵に笑うとインキュベーターは本性を表した。
ラルヴァ達手下を呼び出した
こちらもすぐにマイちゃんを庇う形で体制を整えて迎撃準備をする。
まいちゃんを怖がらせないためにしまった愛剣を即座に取り出し構え、結晶変身によって戦闘準備を終えた。
───
──
─
張り詰めた空間に舞う土埃…
その中で駆け回るのは愛剣を持ちヒーロースーツに身を包む苑良だ
後方では悠と、銃を両手に構えたトールがそれぞれ能力を駆使し援護をしてくれる
2人を守るように立ち回る大きな背は脊古のもので苑良に確かな安心感を与えた
トールが周りにいる混沌の悪夢やラルヴァを一掃しようと乱射する…が、魔法が展開され放たれた銃弾がラルヴァ達に当たることはなかった。
全員、今までの戦闘になかった事態に少し動揺する。
「…チッ、」
いつものように、トールが掃討し、俺が残った大物に痛手を与える
そしてトールと二人でトドメを…そうなる流れを断ち切られ焦りで霊力の消費が荒れるのが感じられた
激しく消耗する精神と体力
範囲攻撃も、連撃も、あの魔法が封じてしまっては意味が無い
削れた体力を回復させようと悠が慌てて発動をするが、それも阻まれてしまった
まだ回復アイテムはある、まだ、大丈夫なはずだ
そう思っていても焦る気持ちは収まらず、霊紋のコントロールが上手くできない
そうして続く戦闘の中、とうとう悠が倒れてしまった
「い、いずみ…っ、?!」
しまった
ダメだ
あいつは、悠は、泉見悠は、伊沙奈の大切な人だから、死なせては…!!
視界の端で倒れていく悠の姿に、あの日、燃え盛る炎の中で横たわる家族が重なる
守れない
守れなかった
喉が張り付くように息が浅くなる
思考が停止しかけたところで、悠は起き上がった
ふらり、と…生気を絶やしていない力強い瞳が敵へ注がれている
そうだ、あいつは神我狩で、伊沙奈が惚れた相手だ
そう簡単に死ぬはずはない
そう気持ちを持ち直して、目の前の忌々しいマスコットに斬りかかる
中々終わらない戦闘に精神の消耗が限界に近づいてくる
苑良はもろに攻撃を受けふらついた
視界の端に走りよってくる脊古が見える
「苑良くん…!」
『苑良!!』
その姿がどうしても、昔慕っていた、憧れていた兄…槐の姿と重なる
再度降りかかる攻撃から、脊古の大きな背中に庇われる
少しよろける背中は暖かくて強くて、懐かしい感覚に瞳が揺れる
そんな背中が、目の前で地面へ沈む
「に、ぃさ…」
息が詰まる気がした
今度こそ停止した思考は、剣を強く握るしか出来ない
悠はボロボロになりながらも脊古の元へ駆けつけアイテムを使って回復をさせる
だがそんな瞬間を待ってくれるわけがないモノノ怪は起きたばかりの脊古とその近くにいる悠へ攻撃を浴びせる
「ッ泉見!!脊古さん…っ、!!」
脊古は大人としての責任からか、今までずっと苑良達に向く攻撃を自分に収束していた
今回も、悠へ向かった攻撃も自分にくるようにし、ギリギリのところで耐えているようだった
回復もろくに出来ず、苑良以外が満身創痍だった
遂にはトールまでも地面へ伏せる
『苑良、伊沙奈を守るんだよ』
懐かしい声が頭の奥で反響する
「くそっ、くそっ…ッくそったれ、」
仮面の中で無意味に繰り返す言葉は自分の耳にしか届かない
ふらりと立ち上がる少女が、再び銃を天へ掲げる
しかしまた、それは敵へ当たることはなかった
足が重い、手が震える、頭の奥が冷えていく
守れない
戦えない
役に立てない
「俺には、これしかないのに…」
こぼれた弱音は金属音にかき消される
霊紋を使いすぎて余力が少ない
視界の端にはふらついている仲間
兄を超えるために手に入れたはずの力は、大切な人たちを守るにはまだ足らないのか
ボロボロの仲間が、やはりあの日の光景と重なる
嫌だ
もう
「これ以上、だれも、」
愛剣を強く握り目の前の敵を睨みつける
自身が破滅してでも、あの人達だけは、失いたくない…!
その瞬間、大きな轟音がオズを貫いた
「はっ、おわ…た、?」
トールは天に掲げた銃をそのままに、肩で息をしながらつぶやく
「…あぁ、お疲れさま。よくやったね」
ぼろぼろのまま地面へ尻もちを着き、脊古はトールのつぶやきに答える
「ははっ、はぁー…今回は、なかなか危なかったですね…、」
困ったように眉を下げながらヘラりと笑う悠
終わった
勝った
なのに、苑良の心は冷えきっていた
守れなかった
役に立てなかった
みなを倒れさせてしまった
槐ならこんなことにはならなかっただろう
もっと早く片付いていた、トールにあんな無理はさせなかった、脊古に庇わせて倒れさせることも
悠が前線に出張る必要もなかった、槐なら、きっと…!
俺がまだ弱いから、何も守れなかった
こんなことでは、きっと伊沙奈を守りきれない
どうすれば槐のようになれる…
どうすれば…
「せんぱーい!大丈夫ですか?戦利品の確認を…」
「苑良くんもお疲れさま、今回もありがとうね」
脊古と悠がゆっくりこちらへ向かってくる
苑良は変身を解き、特に返事をするでもなく2人の方へ歩いた
「えんら、おつかれ……だいじょぶ?」
「…あ?」
疲れてるのは3人の方だろうに、なんでそんな言葉をかけれるんだ
もっと、役立たずとか、無能とか
そう言ってくれたら、この気分だって少しは理由がつけられたのに
「別に、疲れてねー…です。俺より、あんたの方が…」
「…えんら、ないてる?どうした?」
「苑良先輩…?そ、そんなにまだ痛みますか…!?」
「苑良くん、どうしたんだい?しんどかったらちゃんと言うんだよ。」
3人の綺麗な瞳がじっと見てくる
この黒く染まった心情を覗かれてるようで、視線を手元へ移す
土と血で汚れた手が少し歪み、小さな雫がその手に滴り落ちる
「……別に、泣いてない、ですから」
冷えていたところが、だんだん暖かくなるのを感じた
この暖かさを、優しさを、失いたくないと強く願った
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