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670
るぅ
79
いちご@やる気上昇中⤴︎
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部屋を飛び出した。
気付けばなつは街を歩いていた。
行く当てもない。
何をすればいいのかも分からない。
ただ一つ、
いるまに会いたい。
今はそれだけだった。
もし、いるまに会えれば、
『これ夢だよな。』
そう笑ってくれる気がした。
そうすれば、全部元に戻る気がした。
◇◇◇
何時間歩いただろう。
昼を過ぎた頃。
信号待ちをしていたなつは、不意に見覚えのある後ろ姿を見つけた。
歩き方まで見覚えがある。
暇72「……っ。」
鼓動が速くなる。
間違えるはずがない。
暇72「……いるま。」
思わず名前が漏れる。
その声に反応して、男がゆっくり振り返った。
いるま「……え。」
目が合う。
そこにいたのは、間違いなくいるまだった。
いつもと同じ少し鋭い目。
見慣れた髪の毛。
少し気だるげな表情。
暇72「いるま……!」
嬉しさが込み上げる。
何も考えず駆け寄った。
暇72「よかった……!いるま!」
息を切らしながら目の前で立ち止まる。
やっと会えた。
本当にいた。
それだけで涙が出そうだった。
けれど。
いるま「……えっと。」
いるまは少し困ったように首をかしげる。
いるま「誰?」
その一言で、時間が止まった。
暇72「……は?」
いるま「ごめん。」
申し訳なさそうに笑う。
いるま「どこかで会ったっけ?」
頭が真っ白になる。
暇72「何言って……。」
冗談だと思った。
だから笑いながら返す。
暇72「やめろって笑そういうドッキリ?」
いるま「ドッキリ?」
いるまは不思議そうな顔をしたまま首を傾げる。
いるま「いや……。」
「本当に分かんない。」
その目には、演技の色なんて一つもなかった。
いるま「俺……高校教師なんだけど。」
「今日も午後から部活あるし、」
「急いでるんだよね。」
高校教師。
その言葉になつは息をのむ。
この世界では、いるまは先生なんだ。
暇72「……いるま。」
震える声で名前を呼ぶ。
暇72「俺だよ。」
「なつ。」
「暇72。」
いるま「……。」
暇72「分かるだろ…?」
縋るような声だった。
いるま「暇72……?」
いるまは少し考え込むように視線を泳がせる。
いるま「……ごめん。」
「知らない。」
その一言が、胸に深く突き刺さった。
暇72「……そっか。」
笑おうとした。
でも上手く笑えない。
暇72「急に話しかけて悪かった。」
いるま「いや、」
いるまは少し申し訳なさそうに頭をかく。
いるま「人違いなら、ごめんな。」
そう言って軽く頭を下げると、そのまま歩き出した。
遠ざかっていく背中。
昨日まで毎日のように隣を歩いていた背中。
追いかけたい。
抱きしめたい。
手を伸ばしかけて、止めた。
その手を握る理由を、この世界のいるまは知らない。
でも、ここで引き止めないともう2度と会えない気がした。
暇72「いるま!」
思わず呼び止める。
いるまが振り返る。
暇72「…また会える?」
いるまは少しだけ笑って答える。
いるま「縁があれば。」
なつは少しだけ考えて言った
暇72「……ライン交換しない?」
いるまは驚いたような顔をしていた。
いるま「まぁいいよ。」
そういってスマホを取り出す。
そして、今度こそ歩き去っていった。
一人残されたなつは、その背中が見えなくなるまで動けなかった。
昨日まで恋人だった人が。
今日、この世界では、ただの”知らない人”になっていた。
昨日まで当たり前に隣にいた距離が、今は世界で一番遠く感じた。
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コメント
3件
恋人に忘れられるは本当に辛いだろうなぁ…っ😭 🍍くん諦めないでっ😭
読んだよ…「再会」編。 いるまがなつのこと、完全に忘れてて「誰?」って言ったシーン、心臓止まるかと思った🥀 昨日まで隣にいた人が、今日はただの他人…その距離感、描写がリアルで苦しかった。 「縁があれば」って他人行儀な言葉、刺さるよ。 それでもライン交換できたのは、なつの強さだと思う。 この世界で、どうやってまた繋がっていくんだろう…続きが気になる。