2052年、日本政府は水面下で行っていた警衛隊と国家危機対策部隊の併合を正式に行った。
そしてそれに伴って、国家危機対策部隊は国家保安庁と改名した。
国家保安庁の役割、それは災害時の救助活動から、祭礼・イベント等における雑踏警備、空港や港湾施設などの重要施設の警戒・警備、テロ・ゲリラ行為の防圧・検挙、要人の警護など、社会の安全を維持するため、任務の遂行を主な任務とする。これまで警備警察が行ってきた任務が国家保安庁へと移行した。
これを受け全国47都道府県警察に設置されていた警備警察(機動隊、特殊急襲部隊SATなど)は全て解散となった。
国家保安庁の部署を大きくまとめると
警備科…災害時の救助活動から、祭礼・イベント等における雑踏警備、空港や港湾施設などの重要施設の警戒・警備、テロ・ゲリラ行為の防圧・検挙、要人の警護など、社会の安全を維持するため、任務の遂行が主な任務
衛生科… 患者の治療や医療施設への後送、隊員の健康管理、防疫及び衛生資材等の補給整備等を行うのが任務
監察科…国家保安庁職員、国保隊員の犯罪捜査や、取り締まりが主な任務
守衛科…国家保安庁、全方面隊の建物警備が主な任務
広報科…新規隊員の確保や国家保安庁の宣伝などが主な任務
航空科…上空からの日本領土警備に当たる
海上科…海上からの日本領土警備に当たる。
特殊科…特殊部隊などが属しているなどがある。
そして教育隊を西部方面隊、中部方面隊、東部方面隊に設置した。
そして東京都永田町に国家保安庁総監本部を設置し初代長官には長内貴也氏が就任した。
そして日本政府は2051年から行っている国内における民間軍事会社の制圧任務を国家保安庁に託した。
国家保安庁最初の重要任務は民間軍事会社の制圧だ。 ……………………………………………………………主要登場人物一覧
望月輝人(26)…3代目主人公 近畿方面隊警備科第4区域機動第1作戦班所属準隊員
片倉陵(21)…近畿方面隊警備科第4区域機動第1作戦班所属準隊員
河内慶六(23)…近畿方面隊警備科第4区域機動第1作戦班所属準隊員
松山和也(21)…近畿方面隊警備科第4区域機動第1作戦班所属準隊員
松浦風雅(33)…近畿方面隊警備科第4区域機動第1作戦班主任
水島慶太(30)…近畿方面隊警備科第4区域機動第1作戦班所属正隊員
赤木龍一(47)…近畿方面隊警備科第4区域第4区域機動第1作戦班班長
藤原克巳(30)…近畿方面隊警備科第4区域機動第1作戦班所属正隊員
三島和志(50)…近畿方面隊長
岸田正龍(38)…国家保安庁地方方面隊統括官
長内貴也(66)…国家保安庁初代長官
「来たかー笑第1期生」
松浦は笑顔で望月らに言った。
今日から後期教育が始まろうとしていた。
民間軍事会社の制圧任務を任されている国家保安庁各方面隊の中でも特に激務なのが近畿方面隊だ。近畿方面隊管轄内だけで2桁以上の民間軍事会社や民間武装集団がいる。
仕事はそれだけではない。
管轄内の警察通信指令部から出動事案についての連絡が入ればすぐに出動しなければならない。
近畿方面隊管轄内にある警察は兵庫県警、大阪府警、滋賀県警、奈良県警、京都府警、三重県警、和歌山県警の2府5県警だ。
「班長来たぞ」そう言いながら松浦が飛び込むようにして部屋に入ってきた。
「おい、直立不動だぞ。ちょっとでも動くな」そう言うと藤原はその場で直立不動の姿勢をとった。
「待たせたな。見ない顔の奴がいるが…」
「今日から後期教育の準隊員が4人来ました」松浦が言うと赤木は小さく頷いた。
「そうか。」そう言うと赤木は近くのソファーに腰かけた。
「今日の朝礼、お前がやれ。」赤木に言われ松浦はすぐに班員達の前に立った。
「はい。えっと、今日の夕方、ある民兵組織の制圧任務を我々の班に任されました。構成人数は56名。元警察官、元傭兵などが半数を占めており要警戒での制圧を行います。各自、装備品装着の不備が無いように気おつけて下さい」そう言うと松浦は赤木に目をやった。
「以上か?」
「はい」
「そうか。後期教育で来た連中達はどうするんだ?」
「あっ。えっとー。後期教育で来た準隊員の指導係ですが水島にお願いしたいと思ってます」
「えっまじ?あっわかりました」水島が言うと赤木はソファーからゆっくりと立ち上がった。
「水島、使い物にならないと判断したらすぐに辞めさせろ。使い物にならん奴が前線にいてもこちら側としては邪魔なだけだ。わかったな?」
「は、はい」水島が返事すると赤木は望月らを睨みつけながら部屋から出て行った。
「あー怖かったー。あの人、笑顔1つ無いからさー。」そう言うと藤原はソファーに寝転がった。
「俺、指導係とか無理だぜ?何で俺なんだよ」
「いや、赤木さんに言われて」
「なら受けるしかねーか。めんどくせーな」
「あのー1つ聞いてもいいですか?」河内が手を挙げた。
「ん?どした?」松浦が言うと、河内は去っていく赤木の姿に目をやりながら小声で聞いた。
「あの人、片目おかしくないですか?なんか……」
「ある任務中に左目を短刀で刺されてな。左目だけ義眼の状態だ。」
「そ、そうだったんですね」
河内は遠くへと小さくなっていく赤木の後ろ姿を見ながら言った。