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3年前、彼氏と別れた。いや、私が逃げたって方が正しいのかもしれない。
はじめから仲違いが起きたんじゃない。
むしろ最初の方は、たまにみかけるように「愛してる」だとか「大好き」だとかありきたりな言葉を投げ合っていた。いわゆる、バカップルってやつだった。
毎日幸せだった。この時のために私は生きてきたんじゃないかって思うくらい。
彼氏は進学した大学の同級生。初めて会った時はチャラい人だと思ってたけど、話してみたら案外気が合うもんで、よく話してた。居心地が良かった。だんだんそれが恋心って自覚して、今までできてたのも照れくさくなってしまった。
告白は彼からしてくれた。もちろん断るなんて頭の片隅にもなかった。
付き合ってからは、より一層仲良くなってずっと一緒にいた。いろんなところにデートしに行った。
初めて旅行に行った日。一日の終わり、疲れ果てて荷物の整理もせずに気絶するように眠った時の彼の顔。今でも鮮明に覚えてる。あんまりマヌケな顔してたから笑ってしまった。
数年経って二人とも就職した頃、私たちは同棲していた。
仕事が忙しくて勤務時間も違うからなかなか会えない。でもその時は、自分のことで精一杯だった。そのときのこと、あまり覚えていない。
私の仕事は落ち着いて、リモートワークになっていたからご飯とか一緒に食べれるようになった。でも、この頃からかな。ちょっとしたすれ違いとか、ケンカが多くなった気がする。
「ご飯できたよ。」
‥
「美味しい?」
「俺、まずかったらちゃんというよ?」
「おかわり」
「あ、うん」
付き合いはじめの頃は私の作ったお弁当、美味しい美味しいって言ってくれてたのにな。
最近会話も続かないから無言が辛い。
「ねぇ、洗濯物はちゃんと出してよ。」
「コートとか鞄。ちゃんとしまって。」
「はいはい。てゆうか、そんなに気になるんなら自分でやれば?」
「はあ?いつも私がやってんだからやってよ。」
「そもそも自分のでしょ?」
頼んだらやってくれたのに。ことあるごとにケンカして、まともに話すらしていない。もうとっくに、「愛してる」なんて言葉は出てこない。
久しぶりに大学の時の友達のカフェで会うことになった。メンバーには私の親友のゆいもいて、彼と同じ会社で働いている。
女子会で一番盛り上がるのは恋バナじゃなく、グチ。
上司、同僚、友達、彼氏、みんなのグチを適当に聞いてたとき、
「ミホも彼氏となんかないの?」
「え、私?」
まさか私に話を振られるとは思わなかったから驚いてしまった。
まぁ、お世辞にも上手くいってるとは言えなかったから、にごしながら話した。
「そうなんだぁ〜。大変だね。」
「まぁ、明日は朝から出張行くみたいだから。」
「え?」
ゆいがおっきい声で聞き返した。
顔が明らかに青ざめてて嫌な予感はしたんだけど。
どうやら、明日出張なんて予定はどこにも無いらしい。
代わりに彼は二日間有給をとっていたらしい。
そんなの知らなかった。嘘つかれたんだ。
そんな嘘をつくなんて、理由は一つしかない。
浮気