テラーノベル

テラーノベル

テレビCM放送中!!
テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する


「君、この体の持ち主じゃないだろう」


草をかき分け、合った途端について来いと言った彼女は、どこから取り出したのか、簡易食を口にしながら言う。見た目からして何かの肉を干したものだろうか。


「そうかもしれません」


一問一答できるものを、あやふやに誤魔化したのが気に食わなかったらしい。

彼女は後ろにいた私の方へ振り返り、眉間にシワを寄せてみせた。


「”プレイヤー”の事は以前の君から聞いている。言葉を曖昧にするな」


腰に手を当てて怒る姿はなんとも幼い。

以前の世界で若者に流行していると噂された漫画とやらを読んでみたが、どれも転生ものが大半で、力を隠す主人公の隣には女性を去勢するヒロインとやらが存在していた。

それならば、転生したと見られる私の前に現れた彼女が、ヒロインなのかと。


「すみません…そうですね。私は全くの別人です」


そう白状すると、彼女は頬の筋肉を緩め「よろしい」と笑顔を作った。

再度、森の中を優雅に進んでいく彼女の背中を追いながら質問を投げてみた。


「貴方はこの体の持ち主と仲が良かったとみられます、」


「あぁそうだろうね」


干し肉を噛みちぎる音が聞こえる。


「先程言っていた”プレイヤー”とは、?」


彼女の足が止まる。

下を向くと、自分より少し身長が小さい彼女のつむじが見えた。


「君は不老なんだよ」


またもや振り返る彼女。

”不老”…確かにそんな言葉を前世でも聞いたことがあるが、どういう原理で、どういう体の構造をすれば歳を食わないのか、酸素の影響を受けないのかなど理解に苦しんだものだ。

彼女の答えから、表情から、少し疑問が頭に引っかかる。


「…失礼を承知で伺います。貴方のご年齢は、?」


彼女は驚いたように目を見開かせるも、すぐ口端を持ち上げてみせた。


「いやぁ驚いた。私の違和感をこんな早く解いて見せるとは、」


クックッと笑う彼女の顔は見えない。

違和感…と言われればそうかもしれない。無理に頭を捻りたくない。

伏せていた頭を大きく持ち上げ、その満面の笑みに私は少し畏怖した。


「私の名は菊。君の体は”干草”と呼ばれていた青年だ」


彼女はまた、前を向き、草をかき分け歩みだした。


「私は生粋の美人で有名でな、これまでのプレイヤー達はこの美貌に翻弄され、話を聞くこともままならなかった未熟者ばかりだった」


ポケットからもう一つの干し肉を取り出す彼女。

今度は豪快に噛みちぎる音が雑草をかき分ける音に隠れる。


「今回は上物だ。特別に教えようじゃないか」


わざとらしく横を向いたその顔は楽しそうな笑顔だった。






【検証】色々混じらせた世界に転生させてみた

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

1,044

コメント

2

ユーザー

初コメ失礼します のりしおさんの作品を読むといつも想像豊かになります(?)その世界に入り込んだかぐらいいっつも釘付けになります、めちゃくちゃ文や言葉が変かもしれないんですけど…いつも楽しく読ませてもらってます! ありがとうございます!(?)

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚