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『都会の交差点で出会った君へ』
人が行き交う都会の夕暮れ、蓮翔は学校帰りに、駅 前の本屋に立ち寄った。
いつも通り静かな放課後になるはずだったのに– その日は違った。
店の前で、大きな紙袋を落として困っている女の子 がいた。
「あ、ごめん! 通せんぼしちゃってたよね?はは… ドジっちゃった!」
笑いながら頭をかくその子の名前は、璃蓮。 中学は違うけれど、どこか見たことのある顔。
「….. えっと、手伝おうか?」
「あ、いいの? 優しい〜ありがと〜!でも、これけ っこう重くて… はは、持ってみる?」
その瞬間、蓮翔は気づいた。
彼女のまわりだけ、なんだか空気が軽い。
おもしろくて飾らない言葉に、自然と笑ってしまう 自分がいた
なのに–
本人は、自分が周りの男子からどれだけ見られてる か、全然気づいてないらしい。
「それ、重いから俺が持つよ。」
「ほんま? じゃあ、お言葉に甘えて… あ! チョコ買 うの忘れてた~~!」
「チョコ…?」
「うち、毎日なんか甘いもん食べんと生きられへん ねん! 命のチョコ!」
蓮翔は思わず吹き出した。 こんな子、初めてだ。
… それが、ふたりの出会いの始まりだった。