テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
32
62
設定
・ルームシェア
・大学生時空
とか
(なんでもありな方向け)
結城新二は、部屋で一人葛藤していた。
霊也が買っていたメイド服を着るかどうかだ。
メイド服自体は前から
「結城さんにいつか着てもらおうと思って⋯」
って言っていつの間にか購入されていたりした。
着せられそうになるたび全力で拒否していたわけだが⋯
というかそもそも何故葛藤しているのか。
それは今回、本人に教えてもらおう。
最近思っている事がある。
「霊也、俺の事ほんとに好きなのかな⋯」
いや、ちゃんと好かれていることは分かっている。
いっつもベタベタくっついてきて、一回ひっついたら最後できる限り離れようとしないから。
けれど何か、自分の中で疑っちゃうっていうか⋯
好かれている自信が持てない?感じがする。
この感覚の原因は何となくわかる。
霊也のメイド喫茶通いである。
俺と付き合う前から霊也がメイド喫茶好きってのは知ってたし、個人の趣味だと思うし、やめてほしいとも言ってないけど⋯
今日も霊也はメイド喫茶に行ってしまった。
俺以外誰もいない静かな部屋で、俺は呟いた。
「てか霊也も霊也で彼氏持ちでメイド喫茶頻繁に行くなよ⋯」
⋯そして冒頭に戻るという形である。
毎回断っていたということからわかる通り、新二にはメイド服を着る事に羞恥心がある。
まあこれが普通だろう。
羞恥心の上に不安もあるものだから、さらに葛藤は加速する。
悩んだ末、新二が選んだのは⋯
「ただい⋯えっ?」
メイド喫茶から帰ってきてすぐ、霊也は驚愕した。
「お帰りなさいませ⋯ご主人様?」
メイド服を着るのをあれだけ渋っていた恋人がメイド服を着て目の前に立っていたのである。
身長差の分上目遣いみたいになって可愛さにバフを掛けられている。
あまりに可愛すぎて脳がショートした。
一方新二は反応の無い恋人に不安を覚えていた。
やっぱり何か駄目だったか⋯?と。
不安のせいで俯いてしまって、恋人の口を開けたままの赤い顔は見えていない。
数秒の沈黙の後、たった一言が玄関に響いた。
「⋯可愛い」
「え?」
「可愛いです、結城さん」
あまりに失敗したと思い込んでいた新二は、霊也の言葉を聞いてしばらく呆然としていたが、すぐ笑って抱きついた。
「⋯だろ?」
霊也も手を相手の背中に回し、抱きしめ返した。
それはそれは素敵な時間だった。
新二は心の何処かを埋めてもらえた気がして満足していたが、霊也にはまだ疑問が残っていた。
「⋯結城さん」
「何?」
「あの⋯急にどうしたんですか?」
「⋯あっ」
急に手を離したかと思えば、今度はその場にしゃがみ込んで顔を押さえて唸り始めてしまった。
急に自分がやっていることを思い出して羞恥心が湧いてきたらしい。
霊也は目の前で唸り始めた恋人を前にしどろもどろしている。
まあ当然である。
「結城さん、どうし⋯」
「ぁの、⋯、」
「え?」
そっぽ向いて顔を抑えてる人の蚊みたいな声量の声が聞こえるわけない。
「⋯あの、⋯」
「⋯れーやは俺よりメイドさんのほうが好きなの?」
「えっ⋯」
「いっつもメイド喫茶行くじゃん⋯」
言い終わった途端、新二は泣き始めてしまった。
もともと弱かった声が、さらに弱くなる。
その後ろから、霊也がそっと抱きしめた。
「⋯ごめんなさい。恋人いるのにメイド喫茶って、ちょっとデリカシー無いですよね」
後ろから抱きしめたまま、ふわふわ頭を撫でる。
「ふぇ⋯」
恋人からのいつもより優しいスキンシップに少し心地よさを感じたのか、涙は止まっていた。
「⋯れーや」
「何ですか?」
「好き」
言い終わると同時に、霊也の唇に柔らかいものが優しく触れた。
「⋯今日ならいいよ」
照れながら言い終わった頃には、もう押し倒されていた。
昨夜の記憶がない新二が最後に聞いた言葉は、
「嫉妬するとか可愛いですね」
だったそうな。
霊新のいいところ→霊也がメイド喫茶好き
軽率にメイド服着せたり嫉妬させたりできる
以上です
こんな駄文ここまで読んでいただきありがとうございました!
閲覧Thanks!
コメント
4件
2026/06/01 エピソードの題名がとんでもない誤変換をしておりました。不快に思われた方、ごめんなさい。
あおいです🤍 読ませていただきました! 新二くんの「俺よりメイドさんの方が好きなの?」という不安、すごく切なくて…でもメイド服を着てまで霊也くんの気持ちを確かめようとする健気さに胸がぎゅっとなりました。最後の「今日ならいいよ」で、二人の距離がぐっと縮まった感じがして、とても温かい気持ちになりました。 短い中に感情の機微がしっかり詰まっていて、素敵なお話でした🌷