テラーノベル
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「舞、これからデートしないか?」
電話に出るなりそう声が飛んできて、相変わらず何の前ぶれもなく誘ってくるんだからと──。
「……今日? 今日は夜に打ち合わせが入ってるから会えないって、自分で言ってたでしょう?」
確かそう聞いていたはずなんだけどと思う。
「打ち合わせが延期になった。それで時間が偶然あいたんだよ」
「だからって……」
今夜は予定がないつもりだったから、もう家ですっかり着替えちゃったのに……。
「……会いたいんだよ、おまえに」
もうそんな言い方されたら、私だって会いたくなるじゃない……。
「用意できたら、俺のマンションまで来いよ。待ってるから」
言いたいことだけ言うと、電話は切れてしまった。
「ほんとどうしてこうも自分本位で……」口ではそうぶつぶつと言いながら、顔はむにむにとにやけてくる。
(あんな人ともし恋愛でもしたら、私までポジティブに楽しく過ごせそうだな……)
まだ彼と付き合ってはいなかった頃に、漠然と思っていたことが、その通りになったのを実感できて、出かける用意をしつつも頬は自然と緩みっぱなしになるみたいだった。
──マンションに着くと、エントランスに通じる階段に立って、既に彼が待っていた。
部屋に行くんじゃなかったんだと思っていると、階段を駆け下りてきた彼に、
「舞、こっちだ」いきなりぎゅっと腰が抱き寄せられた。
「ひぁ……っ」不意討ちで腰が捕まれて、びくりとする。
「ふっ……くく。なに変な声出してんだよ?」
「……そっちのせいでしょうーって、あっ……ん」
片手でぐいと顎が引かれて、そのままチュッと口づけられる。
「いろいろしたくなるのは、おまえが可愛いせいだろ」
「……も、やん」
「そんな可愛い声出すと、またキスするからな」
彼が耳元で囁くすぐそばを、マンションの住人が通り過ぎて行く。
「……もう、人いるし、ダメだってば……」
真っ赤になって、開襟の胸元を両手で押し返す。
「マスターのドライマティーニが飲みたくなってな。付き合ってくれるだろ?」
キスを解いて、彼が口にする。
コクッと頷くと、「おまえと飲むのが、やっぱり好きなんだよ」なんて臆面もなく言われて、ボッとまた耳まで赤くなってくる。
𝓗𝓪𝓶𝓾
809
#アイドル
ゲスト
26
「……好きとか、急に言わないでよね」
あんまりにも彼に翻弄されすぎな気がして、悪あがきとわかりつつ呟くと、
「……何、照れてんだよ。ここ、赤いぜ?」
耳たぶが指で摘ままれて、ふっ……と穴の奥に吐息が吹きかけられた。
「今夜はもう会えないと思ってたから、会えてうれしいよ。おまえに」
その上そんな甘いセリフを吐かれて、また「……ん」と耳へ口づけられると、一瞬でのぼせ上がりそうなほどに、頬は熱く火照った……。
コメント
1件
蒼乃月さん、第52話読了しました📖 電話いきなりの「デートしないか」からの流れ、もう彼のペースに完全に持ってかれてる舞ちゃんが可愛すぎますね……!「会いたいんだよ」の一言で全部許しちゃう感じ、すごくわかります。エントランスで待ってた彼にいきなり腰を抱き寄せられて「ひぁ……っ」ってなるところ、思わず声出そうになりました(笑) 耳元で囁かれて真っ赤になる舞ちゃんの描写がとても丁寧で、こっちまで照れてしまうような甘さでした。次の展開が気になります!