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#いるなつ
3e1
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# 梅雨の妖精
209
週明け。
なつはいつも通り学校へ向かった。
けれど。
頭の中にはあのアルバムのことが残っていた。
昔のお父さん。
離婚。
すちの表情。
何かがあったのは間違いない。
でも。
無理に聞くことじゃないとも思っていた。
🦈「おはよー!」
こさめが教室に飛び込んでくる。
いつも通りだった。
明るくて。
楽しそうで。
なつが考えていることなんて知らないみたいに。
🍍「おはよ」
🦈「聞いて!」
🍍「ん?」
🦈「今日すっちー寝坊した!」
なつは思わず笑った。
🍍「するんだ」
🦈「するよ!」
🍍「意外」
🦈「こさめもびっくりした」
どうやら平和な朝だったらしい。
少しだけ安心する。
昼休み。
こさめはいつものようにみことと屋上へ向かった。
なつは購買へ向かう。
すると途中で。
🍍「あれ?」
みことが一人で戻ってきた。
🍍「先輩?」
👑「こさめちゃん、お箸忘れたから取りに行ってる」
🍍「あー」
ありそうだ。
すごくありそうだ。
みことも同じことを思ったのか笑っていた。
🍍「昔から忘れ物多いんすか」
なつが何気なく聞く。
すると。
みことは少し考えた。
👑「多いねぇ」
そして。
👑「昔はもっとだった」
と付け足した。
🍍「そうなんだ」
👑「うん」
みことの笑顔が少しだけ柔らかくなる。
👑「こさめちゃん、小さい頃から甘えるの苦手だったんだよ」
🍍「え?」
意外だった。
今のこさめからは想像できない。
👑「なんでも一人で大丈夫って言うし」
🍍「へぇ」
👑「泣いてても大丈夫って言うし」
みことは苦笑した。
👑「全然大丈夫じゃないのにね」
なつは黙った。
その言い方が。
どこか引っかかった。
🍍「だから兄ちゃんたちが放っておけなくなったんですか」
みことは少し驚いた顔をした。
👑「そうかも」
そして。
少しだけ遠くを見る。
👑「守りたかったんだと思う」
静かな声だった。
その時。
🦈「みこ兄ー!」
遠くからこさめの声が聞こえた。
お箸を持って走ってきている。
🦈「忘れてた!」
👑「知ってる」
🦈「えへへ」
空気が一気にいつも通りになる。
みことも笑った。
👑「行こっか」
🦈「うん!」
二人は屋上へ向かう。
でも。
去り際。
みことが一度だけ振り返った。
👑「なつくん」
🍍「はい?」
👑「こさめちゃんのこと、よろしくね」
なつは少し目を見開く。
🍍「なんで俺に」
👑「なんとなく」
そう言って笑った。
それ以上は何も言わなかった。
放課後。
なつが帰ろうとしているとスマホが鳴った。
メッセージだった。
送り主はすち。
最近なぜか連絡先を交換していた。
🍵『買い物帰りなんだけど、会える?』
短い文章。
なつは少し迷ったが、
🍍『大丈夫です』
と返した。
数十分後。
駅前。
すちはスーパーの袋を持って立っていた。
🍵「ごめんねぇ」
🍍「別にいいですけど」
二人で歩き始める。
少し沈黙。
やがて。
すちがぽつりと呟いた。
🍵「アルバムの時、びっくりしたよね」
なつは足を止めそうになった。
🍍「まあ」
🍵「ごめんね」
🍍「謝らなくていいですよ」
すちは少し笑った。
そして。
🍵「昔ね」
静かに話し始めた。
🍵「こさめちゃん、よく泣いてたんだ」
なつは黙って聞く。
🍵「でもね」
すちの声は優しかった。
🍵「泣いてても、俺たちに隠そうとするんだよ」
少し笑う。
でも。
その笑顔はどこか寂しい。
🍵「小さいのにね」
🍍「……」
🍵「だから守りたかった」
なつは何も言えなかった。
すちは続ける。
🍵「らんらんも、みこちゃんもそうだけど」
少しだけ目を伏せる。
🍵「俺も…ね」
その言葉に。
なつは気付く。
すちは今でも。
昔の自分を責めているのかもしれない。
守れなかったと。
そう思っているのかもしれない。
🍍「でも」
なつが口を開いた。
🍍「今のこさめ、楽しそうじゃん」
すちは目を丸くした。
🍵「え?」
🍍「学校でも笑ってるし」
なつは少し照れながら言う。
🍍「毎日うるさいくらい元気だし」
🍵「ふふ」
すちが笑う。
🍵「確かに」
🍍「だから」
なつは言葉を探した。
🍍「ちゃんと守れたんじゃないんですか?」
その瞬間。
すちは立ち止まった。
少しだけ。
本当に少しだけ。
目を潤ませたように見えた。
でも。
次の瞬間にはいつもの笑顔に戻る。
🍵「ありがとう」
そう言った。
夕焼けの中。
二人はまた歩き出す。
その頃。
家では。
🦈「すち遅いね」
こさめが言う。
👑「買い物してるからじゃない?」
みことが答える。
すると。
らんが何かに気付いたように顔を上げた。
🌸「……なつくんか」
👑「ん?」
🌸「今、一緒にいる」
みことが笑う。
👑「なんで分かるの」
🌸「勘」
全然根拠がなかった。
でも。
なぜか当たっていた。
そして。
少しずつ。
なつは兄弟たちの過去に近付いていく。
まだ全部ではない。
けれど。
その扉はもう開き始めていた。
♡623希望
しっつも〜ん
次長編出すとしたら
鬱系のメリバとバトエンの練習用長編か、(その場合ハピエンも書くよ)
さわやかな安定の青春系か
ファンタジー系‥?(どっちかといえばミステリー的な‥?)
のどれがいいですか!
コメント
4件
どれも緑水ですか?
おおー、今回も沁みたわ…。 すちが「守れなかった」ってずっと抱えてる感じ、グッときた。でもなつが「ちゃんと守れたんじゃないですか」って言ったシーン、ほんと良かった。あれでちょっと救われたんじゃないかな。 兄妹の「守りたい」気持ちが皆違って、でも根っこは同じで、愛おしい回だった。次の扉が開くのが楽しみ🔥