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次の日、それぞれの部隊は魔獣の捜索と、信国の集落の調査に出た。武蔵帝都軍も二手に別れ調査に出ていた。
その中でメイたちはある集落に到着していた。しかし、その集落はすでに魔獣に襲われた後だった。
死臭が漂い、集落の中は無惨にも破壊され尽くしていた。小隊長からは生存者の確認と遺体の搬送の命令が下った。
メイは一軒の家に入り誰もいないことを確認し、外へ出ようとしたその時、
バキッという音が聞こえた。音の出所は奥の部屋からだ。
外には翔太が他の家を確認しているのが見えたので、仲間が近くにいることに安心し、
メイは奥の部屋へと進んだ。
ぎぃぎぃときしむ音が響く中、メイは慎重にドアを開け暗闇の中を見わたす、視界がぼんやりと広がる。
「誰かいますか?」メイの声は緊張で震えていた
その瞬間、何かが動いた。突如として首元をつかまれ、激しい力で壁に叩きつけられた。
ドン!!
「ぐはっ!!」メイは息が詰まり、何が起こったのか理解できないまま、苦しそうに喘いだ。
「はぁ…はぁ…」荒い呼吸を繰り返しながら、視界が徐々にクリアになっていく。
目の前には、恐ろしい姿の魔獣が立っていた。鋭い爪と赤く光る目が、闇の中で不気味に輝いている。
メイの横には無残な死体が転がっており、その死体には目がなかった。「!!」
恐怖と絶望がメイを包み込み、彼女の心臓は激しく鼓動していた。
メイの横に横たわっていた死体は、まるで遊ばれたかのように無惨にギタギタに切り裂かれていた。
その光景はあまりに残酷で、目を背けたくなるほどだった。
魔獣の手には目玉が握られていた、それをゆっくりと口に運び、飲み込む。
「うっ…」と吐き気が襲い、メイは一瞬息を詰まらせた。その瞬間、彼女の脳裏にリディアの姿が浮かんだ。
リディアはかつて村で魔獣に襲われ、楽しむように苦痛を与えられ、
もてあそばれた後に無惨にも右目をくり抜かれた。その話がメイの心に深く刻まれている。
もしかしたらこの目の前の魔獣が、リディアの目を奪ったあの魔獣なのかもしれない!その思いが、
メイの中に新たな恐怖を呼び起こす。
目の前の魔獣は、獲物が来てうれしいのか、冷酷な笑みを浮かべているようにも見えた。
魔獣の背後には唯一の出口があり、そこへ逃げるためには魔獣をなんとかしなければならない。
魔獣はゆっくりと近づいてきて、狙いを定めるように目を細めた。
その瞬間、メイの心臓は一瞬止まるかのように感じたが、同時に決意が固まった
獣が飛び掛かってきたその瞬間、メイは素早く剣を抜き、全力で魔獣を斬りつけた。
「ぎぃえぇぇ!!」魔獣の叫びと
吹き上がる血が視界を赤く染め、怯んだ魔獣が一瞬動きを止めた。
その隙を見逃さず、メイは全速力で出口へと走り、外に出ると合図の笛を吹いた。
「ピー!!」高く響く笛の音が、周囲に警告を発した。
笛の音を聞いて、部隊は家の方へと急いで集合した。
翔太が逃げてきたメイを受け止め、「無事か?」と心配そうに尋ねる。
「大丈夫、それより奥に魔獣が、リディアちゃんを襲った魔獣がいる」とメイは息を切らしながら答えた。
それを聞いた小隊長はすぐに「射撃の準備!」と命令を下した。部隊は一斉に銃を構え、
魔獣が出てくるのを待ち伏せた。全員の目が鋭く、緊張感が張り詰める中、
魔獣が再び姿を現すその瞬間、部隊は一斉に攻撃を開始する準備を整えていた。
そのころ、別の班で魔獣の捜索に出ていた蓮にも緊急の連絡が入っていた。
「集落に魔獣が出現し、警戒態勢」との報告を受けた蓮は、無線を手に取り、
「すぐに向かう、全員一旦撤退しろ」と指示を出し、集落へと急いだ。
本部にいる凌もまた、事態の進展を見守っていた。彼は無線を通じて蓮に報告を行った。
「蓮、集落にいる魔獣はリディアを襲った魔獣だ。警戒しろ。」
蓮は驚きと共に応答した。「リディアを襲った魔獣だと?あの時、始末したはずじゃなかったのか。」
凌は冷静に答えた。「詳細は不明だが、どうやら奴はまだ生き延びているようだ」
「了解」とだけ言うと、蓮は急いで馬を走らせ、集落へと向かった。