テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
これはみなさま、お立ち合いくださいまし。
私はちいとそこの寂れた街角で暮らしている、ええ、貧相なジジイでございまし。
私のことを蔑む目でいる人は大勢いるのは当たり前、
私は破けた茶色い着物を着て、メガネをかけて、頭は禿げておりまし、
そんな私に少々のおにぎりとお茶を分けてくれる人がおりました。
その人は、なんともまぁ美人なんでございまし。
髪は長くてツヤがあり、肌も白い、こまちでございます。
毎日、毎日、私にご飯をくださる。
ああ、ありがたい。と思っていたのです。
それから私と彼女は少しずつ、話すようになりました。
彼女の夢のこと、家族のこと、友達のこと、
特に友達のことについて彼女はいい笑顔で、私の自慢だとおっしゃっていました。
彼女が好きになりました。
ですがね。
ある日突然彼女が来なくなりました。
それから1週間ほどたったある日のこと、
彼女がきました。
ですが、彼女は泣いていました。
その彼女の後ろに笑っている女ども。
「こんなこ汚ねえオッサンに飯奢るとかやばー」
「パパ活じゃん」
彼女は私に付き合ってと、言いました。
付き合うことになりました。
こうして私と彼女は同じ屋根で過ごすことになったのですが、
彼女は全然笑いません。
ですが、私は興奮しています。
だって、こんなにも欲を発散させるところはないのですから。
コメント
3件
藤塚さん、第1話読みました。語り手の「私」の古風な口調と、弱々しい佇まいの描写が印象的で、最初は純粋に彼女への感謝と恋慕を綴っているように見えたのに、最後の「欲を発散させる」という一文でがらりと印象が変わるところにゾクッとしました。彼女の笑顔が消えた裏で、じわじわと何かが進行している予感——タイトルの「欲」が何を指すのか、続きが気になります。
藤塚 太陽
21
47
5