『……ふわっちさん』
よかった追いついたあ、と言って、
私と目を合わせてやわらかく笑う。
fw「コンビニで買いたいもんあったんよ。ついでに送るわ」
ふわっちさんの方が先に歩きはじめて、立ち止まっていた影が動く。
夜だ。ものすごい夜。
そういうにおいがする。
『なに買うんですか』
気まずくなるような気がして、沈黙になる前に話しかけた。
fw「ん〜そうやなぁ……じゃあクイズ!」
クイズ? と すごく間抜けな声で私は聞き返す。
もしかして この人もかなり酔っているのだろうか
顔には全然出てないけど……
『……オータ胃散』
fw「あ〜惜しい! どっちかっていうとチャプチャプやな」
『チャプチャプ!? コンビニの商品で!?』
fw「オータ胃散は固体やん、じゃなくて」
『あ、チャプチャプって液体のこと!!?』
確認ツッコミを入れているうちに、
口や鼻や喉に詰まっていたものが、ぽろりと取れていたようだ。
なんだか話しやすい。
もとからそういう夜だったみたいに。
fw「あとは……飲んだら元気になるやつ!」
『ええ……お酒しか思いつかない、、 お酒?』
fw「んはは、違いま〜す。菜央ちゃんお酒好きやねえ」
いや違…… と言ってから、いや違わないか と思い直して、
まあ好きですけど……と続ける。
fw「アキナも好きやしなあ」
お酒、 と言われて、ああそうかそうだよお酒のことだよね!! と、一瞬焦る。
私の気持ちが漏れているのかと思った
動揺のせいで、そうですよねとそうなんですねが入り混じった
よくわからない返事をしてしまう。
コンビニが見えてきた。と同時に、私の下宿先のアパートも見えた。
青く光る看板が、夜に浮いている。
本当は私のアパートの方が少しだけ手前にあるのだが、
それを知らないふわっちさんがコンビニへ一直線に向かっていくから、
私はなんとなくそれについて行った。
……よく考えたら、ふわっちさんって私の家 知らないじゃん。
送るって言ってくれたけど。
コンビニへ入り またずかずかと一直線にどこかへ向かうふわっちさんを追いかける。
リーチインのところで立ち止まった。
『……モンエナ?』
fw「んはは、当たり〜。ようわかったね」
明那から聞いた、という言葉をいったん飲み込んでから、「まあ、はい」と答える。
fw「チェイサーにするねん」
『…………水にした方がいいですよ さすがに』
fw「さすがにか」
ふわっちさんは笑いながらモンエナを持って、スイーツ売り場へ向かう。
fw「菜央ちゃん、こんなかでおすすめある?」
『え、えー……これとこれ』
fw「おぉいいねえ。ちょっと待っててな」
私が指さしたスイーツを一つずつ取り、ふわっちさんがレジに並んだ。
コンビニから出ると、ふわっちさんは袋からスイーツを取り出して、
どちらが今の気分か私に選ばせた。
fw「お金はいらんよ〜」
『や、でも』
fw「今日楽しかったし。誘ってくれてありがとね」
『こちらこそ……あの、じゃあ、いただきます』
ふわっちさんにお礼を言ってから、それを齧る。
お気に入りのスイーツはいつもと変わらず美味しかった。
食べている途中で、ふわっちさんが切り出した。
fw「菜央ちゃん、もしかしたらさ、」
それはほとんど確信の声色で。
fw「アキナとなんかあった?」
コメント
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ふわっち、ふわふわしてるくせに感いいしかっこいいの好き🫶 いつもありがとう~東雲様!頑張ってね~!