エピローグ:二人の新しいハーモニー
若井と涼架の新しい日々は、穏やかに温かく流れていった。
涼架は、若井のそばで、猫として過ごしていた。
朝、若井がベッドから起き上がると、涼架は彼の足元に擦り寄っていく。
若井がギターを弾くと、涼架は彼の隣に丸まりその音色に耳を傾ける。
若井が新しい曲を作り始めると、涼架は彼に寄り添い、そのメロディーを世界で一番近くで聴いていた。
若井は、涼架に話しかけることが増えた。
「なぁ、このメロディー、どう思う?」
「お前も俺の音楽好きだろ?」
涼架は、若井の言葉に嬉しそうに喉をゴロゴロと鳴らした。
若井は、涼架と出会ってから、再び音楽への情熱を取り戻していた。
彼は、元貴の思い出の曲を涼架という新しい相棒と一緒に、新しいメロディーにアレンジした。
それは、過去を乗り越え未来へ向かう二人の新しいハーモニーだった。
若井の腕には、元貴との青いバンダナが巻かれ涼架の脚にも青いバンダナが巻かれている。
涼架が人間だった記憶は、若井の心にはない。
だが、若井は知っていた。
自分の音楽を一番近くで聴いてくれる、かけがえのない存在がそばにいるということを。
二人の秘密の物語は、若井の青いバンダナと、涼架のエメラルドグリーンの瞳が、再び巡り合った、あの夜から静かに、そして確かに続いて行くのだった。
ここまで、読んでいただきありがとうございました!!
コメント
2件
すごく素敵な物語で、愛読させていただきました!終わり方もめっちゃ好きです!