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第3話
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学パロ
付き合っている設定
第2話の続き
体育祭実行委員に選ばれたのは、ほとんど半ば強制のようなものだった。
「宇佐美と叢雲、お前ら頼むな」
担任の一言で、二人はペアにされてしまったのだ。
放課後の体育館。準備のために机を運び、ポスターを貼り、道具を整理する。
人の出入りが多い分、自然と二人が一緒に動く時間も増えていた。
「リト、あれ持って」
「おう」
リトが段ボールを軽々と抱え上げる。
その姿に「やっぱ宇佐美頼りになるな」と周囲の声が上がる。
――そのたびに、隣にいるカゲツへも視線が注がれるのを、彼自身が一番よく分かっていた。
「なんかお前ら、仲いいよな」
「実行委員って言い訳にしてサボってイチャついてんじゃね?」
軽口まじりの囃し立て。
クラスメイトの視線は、からかい半分、本気半分。
昼休みの悪ノリ事件を覚えている連中なら、なおさらだ。
カゲツの背筋がこわばる。
「ち、違うから……!」
慌てて否定する声は、余計に熱を帯びてしまう。
そんな中、リトは平然としていた。
「まあ、いいペアだろ」
にやりと笑い、余裕を見せる。
――どうして、そんなことが言えるんだ。
カゲツの胸はざわついていた。
***
休憩時間。誰もいなくなった体育倉庫の影で、カゲツはリトの胸ぐらを軽く掴んだ。
「宇佐美……! あんな言い方するなよ!」
「ん? 俺、何か変なこと言ったか?」
「“いいペア”とか……っ。あれじゃほんとに、ぼくたち……」
言いかけて、喉がつまる。
“付き合ってる”なんて口にできるはずがない。
でも、誰かに気づかれるのが怖くてたまらなかった。
「……バレてもいいんじゃないの?」
リトの低い声。
驚いて顔を上げると、真剣な瞳がこちらを見つめていた。
「リト……何言ってんの」
「俺は、隠す必要ないと思う。だって、お前は俺のだろ」
「だめ……っ! そんなん、絶対…」
感情がぶつかり合い、空気が張りつめる。
カゲツは必死に首を振った。
「もしバレたら……みんなに笑われる。変な目で見られる。……ぼく、耐えられない」
小さな声は震えていた。
リトはしばらく黙ってカゲツを見つめ、やがてため息を吐いた。
そして大きな手で、そっとカゲツの頭を撫でる。
「悪かった。お前が嫌なら、俺は絶対に無理させない」
「……ほんとに?」
「本当だ。俺にとって大事なのは、カゲツが俺の隣にいてくれることだけだから」
静かな言葉に、胸の緊張がほどけていく。
俯いたまま「……ばか」と呟くと、リトが小さく笑った。
「仲直りのキス、していい?」
「ここ、倉庫……っ、誰か来たら……」
「来なきゃいい」
有無を言わせず、唇が重なる。
短く、でも甘く熱い口づけ。
昼間のざわつきも、周囲の視線も、その一瞬は全部溶けて消えた。
「……ずるい」
顔を赤くして呟くと、リトがまた微笑んだ。
「そう言いながらも、離れないくせに」
強く抱きしめられて、カゲツは抵抗する気力をなくしていた。
リトの胸に顔を埋めながら、心の奥で小さく願う。
――どうか、二人の秘密がまだ守られますように。
しかし、すでに教室の一部では「やっぱり二人は怪しい」という噂が囁かれ始めていた。
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