14000文字越えです。長いです。
医療知識ゼロなので変かもしれない
桃赤です
赤side
俺は苺ヶ丘病院の看護師だ。
大きな病院だから受け持つ患者が他の病院と比にならないくらい多い。
看「102号室の○○さんの点滴雑すぎてすぐ漏れちゃうんだよねー」
看「え、担当誰でしたっけ」
赤『あの、俺です。すみませんでした。』
今日も俺に聞こえるボリュームで陰口を言われる。
最近俺はミスが多い。
しっかりしなきゃと意識すればする程ミスが目立ってしまって自分自身のことを責める日々。
でも、陰口は少し傷付く。
直接言ってくれたらいいのにな。
看「赤くん、記録全然出来てないじゃない。」
赤『すみません!今すぐ書き直します。』
看「赤くん!これ頼んだよね?なんで出来てないの?」
赤『すみません…。』
ほら、怒られてばっか。
なんで周りと同じようにできないのかな。
俺だめだめだな。
看「ナースコール誰か出て!手が離せない!」
看「はーい!○○さんどうなさいましたか?」
看「わかりました!今すぐ向かいますね」
看「また点滴漏れたって」
そう言いながら俺の事を睨んできた。
赤『俺、○○さんの所行ってきますね』
看「ほんと何回目?看護学生からやり直せば?」
赤『本当にすみません。』
そう伝え涙が出そうな心を殺しながら急いで102号室へ向かう。
早くしなきゃ。
ちゃんとしなきゃ。
なんで上手くできないのだろうか。
〈ぎゅ、〉
赤『ぇ、?』
突然腕を握られて目線を後ろにすると桃色な髪の毛の男が居た。
赤『あれ、桃くん』
桃『何回も呼んだんだけど』
赤『ッあ、ごめん、俺急いでて』
桃『そっか、緊急?』
赤『点滴漏れちゃってるみたいでさ、』
桃『俺もいく、お前に用があったから』
赤『えぇ、1人で大丈夫だよ、笑』
桃『ほら、行くぞ。緊急だろ?』
赤『まぁ、そうだね、、ッ』
そんな会話をしているとあっという間に病室まで来てしまった。
赤『○○さんお待たせしました!』
赤『何度もごめんなさい!もう一度点滴刺し直しますね』にこ
患「はーい」
不気味な笑みを見せながら返事をする○○さんに会釈をし点滴を刺し直す。
赤『はーい、できました!』
赤『なるべく腕を激しく動かさないでくださいね!』
赤『失礼します!』
桃『失礼しました。』
あぁ桃くんには見られたくなかったな。
俺の下手なルートの取り方見られちゃう。
怒られちゃうかな。
桃『お前ルート確保すんの上手いな』
赤『えッ、?』
おかしい。
俺が下手なせいで何度も漏れてたはずなのに。
俺の事お世辞で褒めてるってこと?
いや、桃くんはそんなことしない。
桃『なにがそんな不安なんだ?』
赤『ぃや、なんも不安じゃない、よ』
桃『…そっか、』
桃くんにはいつもバレちゃう。
俺が不安な時も喜んでる時も嘘ついてる時も精神科医の桃くんには大概バレちゃうんだよね。
赤『そ、そういえば俺に用ってなに?』
桃『あー、今日飲みたいなって』
赤『まぁ、いいよ』
赤『どこいくの?』
赤『いつもの居酒屋?』
桃『いや、赤の家がいい』
赤『むりだよ部屋汚いし』
桃『そんな気にしない』
赤『絶対無理』
桃『はぁ、、』
なんでそんな怒ったような雰囲気で話すの。
部屋が汚いことは事実だけど部屋には見られちゃいけないものも沢山ある。
特に桃くんには見られたら困るものが沢山ね。
桃『お前最近寝れてないだろ』
桃『部屋も片付け手伝ってやる』
赤『寝れてる!』
桃『自分の目元見てから言え』
赤『やっぱ今日は飲まない。気分変わったから。』
桃『飲まなくていいけど赤の家は行くから。』
桃『なに、見られちゃいけないものでもあんの?』
赤『ッわかったよ。でも玄関入る前に桃くんだけ15分待つこと約束してくれる?』
桃『ん、わかった。』
看「あ、居た!赤くん!記録○○さんの終わってないよね?」
赤『…ぁ、すみません。』
桃『時間取らしてごめんな。また帰り迎えいく』
赤『うん、』
看「お疲れ様です。」
桃くんの姿が見えなくなった当たりでまた看護師さんが口を開いた。
看「いいわよね。赤くんは桃さんに好かれてて。だめだめなくせにいちゃいちゃできて羨ましいわー。」
赤『そんな、いちゃいちゃなんてしてないですよ、勤務中に関係ない話をしてしまって申し訳なかったです。』
そう、桃くんは顔も腕も良くて看護師にも医師にも好かれている。
俺と桃くんは高校からの友達で、桃くんが医師になりたいことを知った当時に死ぬほど勉強して看護師になった。
親友として彼のことを愛している。
そして彼も同じ気持ちなんだとこの前わかった。
桃side
今日も緊急外来の患者や入院患者の診察や処置をし慌ただしい1日が終わりかけている。
廊下を歩くと見慣れた後ろ姿があった。
桃『赤ー』
軽く声をかけるが反応はない。
桃『赤ー?』
考え事をしているのだろうか、
赤の足が止まる様子は無い。
桃『赤、』
そう呟きながら腕を握る
少しビクッとした後ゆっくりこちらを見た。
虚ろな目で目元には隈ができている。
なにかあったのだろうか。
点滴漏れで緊急だと伝えてくる赤。もし緊急だとしたら人は急ぐはず。でも赤の足取りはなんと言うか、心做しか重いように見えた。
桃『俺も着いてく。』
半強引に赤の行き先へ同行する。
ルートを取り直し患者と会釈する赤の顔は笑っているがどこか不安げで病室を出るとより顔色が曇った。
すっかり自信がなくなってしまったようにみえた。
学生時代はかなり優秀で周りがサボっていても真剣に取り組みその挙句体調を崩してしまう日もあったぐらいだ。
いまさっきルートを確保するところを見たが完璧だった。
患者のにたにたしたような不気味な笑みが気になる。俺には好奇心を持ってるように見えた。
そこらへんの話を聞くため飲みに誘った。本当は話を軽く聞いて寝かしたいだけで飲む気なんて無かったが赤のことだから飲むとでも言わないと了承してくれないだろう。
赤が家に来ることへ異常なほど嫌がっていた。焦ったような顔に隠し事をしている事を確信して赤にゴリ押しで家へ行く了承を貰う。
そんな会話をしていると看護師が赤を呼びに来てしまった。女性たちが俺に向ける視線や表情があまり好きではない。良く言えば気を使ってくれていて悪く言えば猫を被っている。どんなに俺のことを敬っても俺は赤しか見ないけどな。
赤は何に悩んでいるのだろうか。
赤の性格上 自分からSOSを発信できないため毎回キャパオーバーになり倒れるか、俺がその前に救えるかのどっちかだ。
家で沢山甘やかそう。
そんなことを考えながら記録整理やその他の事務仕事を終え帰る予定の赤の元へ行く。
桃『赤ー?』
ナースステーションを覗くとパソコンと見つめ合ってる赤が居た。
もう既に11時を過ぎてて看護師は日勤の赤と夜勤の看護師しか居ない。
赤が終わるのを待っていようとナースステーション横にあるソファーに座り携帯を弄り始めた。
赤side
桃くんと別れて愚痴を言われた後はいつも通り俺に当たりの強い看護師さん達と共に業務を行っていた。
もう23時を過ぎているが一向に記録が終わらない。
看護長に2ページ分必ず書きなさいって言われてしまっているから俺は他の人の倍時間がかかる。
俺のミスを2ページ書くことで許してもらっているから書かない訳にはいかない。
俺がミスをしなければこんなことにならないのにな。
・
やっと記録が終わり時計を見ると0時を回っていた。
なにか忘れている気がする。
とりあえず疲れた。
早く家へ帰って寝よう。
そう思いながら重い足を動かしながらナースステーションを出た時聞き覚えのある声がした。
桃『あか、』
赤『あれ、桃くん』
なんで桃くんが居るんだろう。
桃『お疲れ様。早く帰ろ』
赤『一緒に帰る約束なんてしたっけ?』
桃『え?』
桃『…赤が点滴漏れを治す時に約束した。一緒に帰って赤の家で飲むこと。』
そんな約束した覚えがあるようでない。
桃くんは俺に嘘をついた事がないから本当なんだろう。
赤『あはは、ごめんごめん思い出した』
桃『良かった、俺が奢ってやるから今日は電車じゃなくてタクシーで帰ろ』
心配そうな表情で俺と会話をする桃くん。
ダメダメな俺をこれ以上甘やかして欲しくない。
赤『いや、大丈夫だよ!電車で帰ろ?』
桃『だーめ。』
赤『なんでよ、、なんでそうやって否定するの!?』
赤『俺をこれ以上甘やかさないで!!』
桃『赤、落ち着いて』
赤『やめて、触らないで!』
俺のことを椅子座らそうとする桃くんが気に入らなくて暴れてしまう。
桃くんからの優しさからくる提案が今は辛かった。
桃くんの優しさを感じる度に俺のダメさ自覚して嫌気が指す。
桃『赤、大丈夫だよ』
桃『ゆっくり呼吸しようね』
そう呟きながら俺の太もも当たりを一定のリズムで優しく叩く桃くんの声に安心して仕舞いには涙がでてきてしまった。
桃『どうした、なにがあった?』
赤『…っ』
桃『ここで言いずらかったら家で聞く。』
桃『歩けそう?』
頷いていつもよりゆっくりめで歩く桃くんの後ろを着いて歩いた。
桃side
ナースステーションからでてきた赤は顔色が悪く足取りも不安定だった。
俺はここ最近夜勤続きでまともに赤の顔を見れていなかった。
見ていない間になにがあったのだろうか。
疑問が増えるばかり。
声をかけるとワンテンポ遅れて返事をしてきた。
「思い出した」と言ってはいるが、きっと俺との会話の記憶はないのだろう。
とりあえず帰らせた方がいいと判断して赤の緊張感を少なく感じて乗れるタクシーで帰ろうと提案してみるが拒否されてしまった。
疲労により切羽詰まってるのか呼吸は荒くヒステリックな反応を見せる。
10分ほどかけて赤を落ち着かせて今はタクシー乗り場まで歩いているところ。
ずっと下を向き手に力が入っている。
かなり赤の状態は良くない。
早く話を聞き必要な処置をして楽にしてあげたい。
そう思いながらタクシーへ乗り込んだ。
桃『○○のコンビニ前までお願いします。』
赤の家から徒歩2分ほどのコンビニを伝える。
隣に視線を向けると眠気に耐えられなくなったのかドアの方に体を預けて寝ている赤が居た。
睡眠欲がでてるということは強迫症状はあまり強くでていないのであろう。
何度か魘されていたが深い眠りなのか起きることは無かった。
コンビニへ着き赤をおぶりながらタクシーを降りて赤の家へ向かう。
桃『あかー?』
軽く身体ごと揺らすが起きる気配がない為仕方がなく数年前に交換した合鍵で家へ入った。
桃『うわ、、』
部屋に入るとそこにはエナドリや酒の缶、コンビニの弁当やカップラーメンのゴミなどが足の踏み場のない程散らばっており、思わず声が漏れてしまった。
何とかソファーまで行きテレビ前にある机を見ると目を疑うものが。
桃『はぁ、』
赤『…んぅ、』
桃『あ、りいぬ?』
赤『桃ちゃ…ッて、』
赤『なんで入ってきてんの、』
桃『約束したから。』
赤『出てってよ、』
桃『これ、どうしたの』
50枚ほどあるだろうか市販の薬の空になったシートが机の上にばら撒かれている。
赤『ぁ、いや、、その、』
桃『ゴミ箱見るよ?』
赤『だめ、』
桃『なんで見ちゃだめなの?』
赤『見て欲しくないから。』
桃『わかった、じゃあもう今日はとりあえず寝よ』
赤『俺一人で寝れるから桃くん家帰っていいよ。』
桃『こんな状態の赤を置いてのこのこ帰る訳ないだろばーか』
赤『…とりあえず泊まるならソファーで寝て』
桃『わかったわかった』
赤『俺寝るから、』
桃『着替えなくていいの?』
赤『明日着替える』
そう呟き寝室へ行ってしまった赤。
俺は明日休み貰ってるし話は明日聞くとして今は赤の部屋の掃除でもしてやろうかな。
そんなことを考え掃除を始めた。
・
掃除を初めてから2時間ぐらい経った時、寝室から聞きたくないような呼吸音と鼻のすする音が聞こえてきた。
桃『赤、入るよ。』
赤『だめ!!』
桃『俺は赤を傷付けないよ。』
桃『開ける。ごめん。』
返事を待たずにドアを開ける。
赤side
数時間前
部屋に入られた衝撃で桃くんにまた強く当たってしまった。
心配してくれたのに最低すぎるな俺。
寝ると伝えてしまったからにはちゃんと寝ようと思い布団に入って目を瞑る。
しばらく経っても寝れずスマホを開くと2時間ほど経っていた。
手に視線を向けると無意識に握ってるたカッターが目に映る。
そこからはいつも通りだった。
腕に赤い線を入れることへ夢中になり自分自身の涙も荒い呼吸も無視して腕を傷付ける。
今日は桃くんが家に居るのを忘れたまま。
桃『あか、入るよ』
その言葉にハッとした。
こんな姿見せたら俺が頭のオカシイ人だってバレちゃう。
ただでさえダメダメな俺がなんだか被害者見たいに見えてしまう。
それだけはダメだ。
必死に来るなと伝えても桃くんは入ってきてしまう。
赤『ぃや、、ッ、』
赤『こないで、ッ!』
部屋に入ってきた桃くんはやけに冷静だった。
より俺がおかしいことを嫌でも自覚する。
桃『赤、俺はこれ以上近かない。』
桃『赤が来れそうなら赤から来て欲しい。』
赤『…はっ、かひゅ、、』
涙がより溢れた。
息がしずらい。
自分の行動を自覚する前にカッターを投げ捨て桃くんの元へ飛び込んだことを桃くんに優しく包み込まれた時に知った。
赤『う”ぅ、、はっ、ッ』
桃『大丈夫大丈夫、落ち着いて。』
桃『手握りすぎて血が出るかもだから開こうな。』
俺の指の隙間に指を絡めてきたから勢いで桃くんの手を強く握る。
桃『赤、手冷たいね。怖い?』
よく回らない頭で聞き取れた質問だけ頷きで答える。
桃『赤一緒に呼吸しよ』
桃くんと一緒に何回か深呼吸をして桃くんの声を聞いていると少しずつ落ち着いてきた。
赤『ッけほっ、、』
桃『ん、落ち着いたな。』
赤『…』
桃『とりあえず手当てさせて』
桃『電気つけるな?』
返事をする余裕もなくて黙っていたら部屋が一気に明るくなった。
桃『ちょっと待っててな』
そう俺に伝えてリビングへ行ってしまった。
帰ってきた桃くんの手元には俺がいつも手当しているものを収納している箱と桃くんの鞄。
視線を少し下げると俺の血が服に着いていた。
赤『ぁ、ぁ、、ごめんなさッ、』
桃『え?あ、服のこと?』
桃side
赤が落ち着き、手当をしてやろうとさっき部屋を掃除してた時に見つけた救急箱と俺の鞄を手に持ち赤の元へ足を運んだ。
俺の事を見た赤は驚いた顔を見せた後目に涙を溜め俺に謝ってくる。
赤『ぁ、ぁ、、ごめんなさッ、』
俺の血で汚れた場所を見て表情が一変した為きっとそのことだろう。
桃『服のこと?』
赤『ごめ…お金、払う、、ッ』
桃『いいよ気にしなくて』
桃『この間セールで買った安いやつだし』
全然安いなんて嘘だが今はつかせてもらおう。
赤のためなら服ぐらいどーってことない。
赤『、、んっ、ごめ、、なさ、』
桃『赤大丈夫だよ。』
涙が一向に止まらない赤の頭を撫でるとより涙があふれてしまったがこれは恐怖からの涙じゃないことに一安心。
桃『泣け泣け、後で話聞いてやるから。』
桃『腕触っていい?』
頷きで了承を得て処置をさせてもらう。
赤『、ぃッ、、』
桃『痛いな。ごめんな。』
反射的に手を自分の方へ引こうとする赤の腕をがっしり掴みながら3mmから5mmほど切られた傷を消毒をする。
消毒が終わりガーゼを乗せて包帯を巻く。
桃『よし、できた。』
赤『ぁ、ありがと…。』
桃『いいよ。』
桃『何があったか話せる?』
話を聞くところによるとここ最近勤務中のミスが目立ちよく叱られてたらしい。
赤のことだから自分のことをとことん責めたのだろう。
会話の中でも『俺が悪い』と何度でてきたか分からない。
ミスが出てきてしまってる原因があるはず。
ただ赤はミスをするイメージが全くと言っていいほどない。今日のルート確保だって完璧だった。
桃『今日怒られた内容は言える?』
赤『…ぇっと、』
赤『○○さんの、点滴ッ、何回刺しても漏れちゃって、、俺が下手だから…ッ』
桃『102号室の?』
赤『そう、受け持ち、』
桃『そっか、でも赤完璧だったぞ?』
赤『そんな嘘つかなくていいよ。』
桃『ほんとほんと。』
赤『じゃあ、なんで、っ、』
桃『勝手な推測だけどその患者自分でずらしてね?』
赤『勝手に…?』
桃『だって赤上手いじゃん。』
褒められたことが嬉しかったのかまたポロポロと涙をこぼす。
涙脆くなってしまってるなぁと思いながら小さく震える背中をさすった。
桃『後何か不安なことはある?』
桃『いやだったなってことでも大丈夫』
赤『誰にも言わない…?』
桃『赤が言って欲しくなければ言わない』
赤『ぁ、あのね、』
赤の話は酷かった。
世間一般的に言うと職場虐めだ。
赤へ嫌味を伝えたり、ミスを直接伝えず陰口を言うように赤へ伝えたり、相手のことを強く言わず自分自身を責める性格の赤を利用して好き勝手言っていたようだった。
赤『俺だめだめなんだ、』
桃『そんなことないよ。赤はよく頑張った。』
そう伝え赤を抱きしめると静かに涙を流し俺の肩に頭を埋めた。
桃『疲れたでしょ。寝ていいよ。』
一定のリズムで背中を叩くと直ぐに寝息が聞こえてきた。
俺も今日は疲れたから寝よう。
赤をベットに寝かし隣で俺も眠りについた。
赤side
目が覚めると日光が少し開いた遮光カーテンの隙間からさして眩しさから少し顔を顰める。
なんだか体が重い。
昨日のことなど一切覚えていないがこの頭痛はどこからきてるのだろうか。
どうでもいいかもしれない。
頭が上手く働かない。
桃『あ、起きた?』
桃『おはよ』
赤『…ぉは…よ』
桃『今の気分はどんな感じ?』
赤『頭、痛い』
桃『あー、泣きすぎかな』
赤『泣いてたの、?』
桃『覚えてないん?』
赤『うん、』
桃『そっか、最近忘れっぽいとかある?』
桃『俺との会話忘れたの2回目だけど。』
赤『ぇ、ご、ごめんッ』
怒られてもないのにじわっと涙が溜まって喉が閉まる。
桃『全然怒ってるとかじゃないよ、ごめんな笑』
桃『ちょっと忘れっぽいね。』
桃『昨日赤の話聞いた感じ俺としては少し休んで欲しいなってのが本音かな。』
すっかり医者モードで俺と向き合ってくれる桃くん。
休日でもこんな状態の人間と話すなんて桃くんに迷惑だよね。
申し訳ないな。
桃『…ぁ…!』
桃『…ぁ…か!』
桃『赤』肩 叩
赤『へっ、』
桃『なんか余計なこと考えてただろ』
赤『申し訳ないなって。』
桃『それはどうして思っちゃったの』
赤『せっかくの休日なのにこんな奴の相手するなんてさ、迷惑だよ。』
桃『そんなこと考えなくていいの。』
桃『赤は特別な友達なんだからネガティブなこと何も思わないよ。寧ろ頼ってくれて嬉しいって思う。』
赤『そっか、ごめんね、』
桃『もう謝るの禁止』
桃『謝るんじゃなくてありがとうって言ってくれた方が嬉しいよ。』
赤『わかった…ッ』
桃『じゃあ朝食食べよ?食べれそう?』
赤『お腹すいてないかも、』
桃『ん、わかった』
桃『一口だけ食べれる?』
赤『一口なら、』
桃『じゃあ俺のサンドウィッチ食べて』
桃『好きな味1口食べていいよ』
そう言われてツナが挟まれたサンドウィッチを小さく1口かじりゆっくり食べる。
桃『ん、えらい』
桃『今日俺休みだから暇だしここに居ても大丈夫そう?』
桃『てか今の赤何やり出すかわかんないし居させて』
赤『わかった、』
自分でもたまに自分の行動が怖くなるから都合がいいかと思い了承してしまった。
・
ソファーでテレビやスマホを見る桃くんの横に座りぼーっとしていたらあっという間にお昼の時間になってしまった。
桃『お昼食べれそうなやつコンビニで買ってくるけど何がいい?』
赤『お腹すいてない、』
桃『うーん、なんか食べて欲しいな』
赤『ゼリーなら…食べれるかも、』
桃『了解、買ってくるから大人しく待ってろよ』
桃『外出ちゃダメ。わかった?』
赤『うん、わかった』
・
桃くんが帰ってくるまで大人しくソファーに座りスマホを見る気にもなれなかった為ぼーっとして過ごしていた。
そういえば今日出勤日じゃん。
桃くんに伝えるの忘れてた。
怒られちゃう。
早く行かなきゃ。
大急ぎで髪の毛を整えて着替えて靴を履く。
これから怒られる恐怖感で半泣きになりながら玄関を開けるとそこには見慣れた男が立っていた。
桃『赤、どうしたの。』
赤『し、しごといかなきゃ、ッ』
赤『おこられちゃうッ、やだッ、おこられちゃよッ、!』
桃『赤?大丈夫。今日は休みだよ。』
赤『休みじゃなっ、い、、ッ』
桃『俺が連絡した。体調が悪いのに休むのは当たり前なんだから赤のせいじゃないから安心して。』
赤『で、でもッ、迷惑が、、』
桃『とりあえず中入ろ。向こうで話そうな。』
そう桃くんに言われ履いたばかりの靴を脱ぐ。
桃くんに腕を持たれソファーに座らせられた。
桃『1回深呼吸しよ。』
桃くんの言葉でいつの間にか息が上がっていたことに気付く。
深呼吸をして落ち着いた後ももくんから説明を受けた。
体と心が落ち着くまで休職させるとのこと。
桃『友達としてでもそうなんだけど一人の医師としてそうした。』
桃『お前の心は休みたいって言ってる。』
桃『上手く頭が思うように動かないのもそのせいだよ。』
桃『もっと自分の心を大切にしてやれ。な?』
赤『ぅん、ッ』
俺の涙をそっとティッシュで拭ってくれた。
・
桃くんとお昼ご飯を食べてまたぼーっとして気が付けば外は真っ暗。
桃『俺風呂入りたいかも』
桃『借りていい?』
赤『いいよ』
桃『あざっす』
桃『行ってくるからなんかあったらドア叩きにきて』
そう伝えて風呂場へ行ってしまった桃くん。
しーんと静まったこの部屋で俺の鼓動と時計の秒針の音だけが耳に集まる。
桃くんに迷惑をかけてばかりだ。
俺はだめだめ。
頑張れない俺がどうしても許せなかった。
今頃職場の人達はいつも通り頑張っている。
ただでさえ人手が足りないのに俺が休んだら迷惑でしかない。
あぁ、消えたい。
俺の存在ごと消したい。
桃くんが悲しいと思わないように存在を消したいな。
赤『はっ…かひゅっ、ッ』
気が付くと目の前には薬の空き瓶と濡れたコップ。
俺またやっちゃった。
桃くんに怒られちゃう。
死にたい。
消えたい。
桃side
風呂から帰ってくると赤が床に座り髪の毛を掴みながら俯いていた。
桃『赤、何があった?』
赤『…ッなんもない。』
そう俯きながら呟く赤。
机を見ると薬の空き瓶が転がっていた。
近くに濡れたコップもある。
桃『水飲んだの?』
赤『…喉、乾いて…ッ』
赤『はっ、はッ、』
桃『赤、俺の目見れる?』
赤の前で目線を合わせるようにしゃがみ伝えるが中々目が合わず視線が泳いでいる。
やっぱりODしたか。
桃『赤薬飲んだでしょ。』
赤『飲んでない…、ッ』
桃『顔に嘘って書いてあるよ』
桃『吐こうね』
そう伝え大きめの袋とゴム手袋をカバンから持ってきた。
赤はやることを察したのか立ち上がって俺から距離を置くように歩く。
桃『赤、こっち来て。』
赤『ゃ…、』
桃『気持ち悪くなる前に吐き出そ』
赤『んーん、ッ!』
桃『ほら、おいで。』
半強制的に俺の足の間に座らせ赤の太ももの上で胡座をかく。
動けなくなり観念したのか抵抗しなくなった。
桃『ほら、吐ける?』
赤『ん、ッ、ぉえ、』
嘔吐くだけで中々出てこなかった。
桃『ちょっと失礼するな』
そう伝え赤の口に指を入れベロの奥の方を軽く押すと白い錠剤がボトボトっと音を立て袋の中に落ちていった。
原型を保っているものが多くまだ消化されてなくて安心した。
赤『ぉえ、ッ、ん”っ、ごほっ、、』
桃『ん、上手上手』
何回か指を入れては吐かせてを繰り返し胃液だけになったことを確認してぐったりした赤を拘束から解放してあげた。
桃『今日はもう寝よっか』
赤『…ぅ…ぁ、』
言語能力が低下している赤を抱えてベッドへ寝かした。
赤『さぉ…ちゃ、っ』
桃『どうした?』
なるべく優しく柔らかい声色で赤のお腹辺りをとんとんと叩きながら接する。
赤『…ごめッなさ、』
桃『大丈夫大丈夫。迷惑だなんて思ってないから。』
桃『赤は俺の唯一の親友。家族みたいなもんだから。』
桃『このくらいさせて。』
赤『ひくっ…ぅ…』
安心したのかまた静かに涙を流す赤。
かなり情緒が不安定で心配になる。
桃『寝れなくてもいいから目を瞑ってゆっくり呼吸してみな。』
俺の言った通りに目を瞑り深呼吸のような深い呼吸をする赤。
ゆっくりとんとんと叩いていると20分ほどで寝息が聞こえてきた。
不眠症状は俺が補助をすれば改善しそうだな。
桃『おやすみ。赤。』
赤の家に来て3日目。朝起きて赤と顔を合わせると相変わらず鬱状態が続いていたが俺は今日出勤日な為病院へ向かわなくてはならない。
布団の中で縮こまる赤にinゼリーを持たせ支度をする。
桃『赤、何かあったら必ず連絡して。』
桃『動く気力が湧かなかったらずっと布団の中に居ていいよ』
桃『今の赤の状態は外に行くと疲れちゃうから家の中に居てな。』
桃『約束守れそう?』
赤『ぅ…ん…』
桃『ん、偉い』
桃『じゃあ行ってくるな。』
か細い声で返事する赤を見届けて家を出る。
上の人にお願いして定時で帰れるようにしよっと。
赤side
桃ちゃんが仕事へ行ってからどのくらい経ったのだろう。
時計を見るためにスマホを開くこともなんだか気が進まなくてずっと布団の中に居る。
赤『はぁ、、』
死にたいな。
働けない俺なんか生きていても仕方がない気がして頭の中が負の感情でいっぱいになる。
なんで頑張れていないのに泣いているんだろう。
桃くんが家に来る前は中々寝れなくてODしてやっと寝れてたのに今となっては眠くて眠くて仕方がなくなっている。
そっと瞼が閉じ眠りに落ちた。
・
目が覚めて視線を動かすとカーテンの隙間から指す光がオレンジがかっていて今が夕方なことがわかった。
赤『んぅ、、』
さっきは手足にダンベルが着いてたんじゃないかってぐらい体が重かったのに今は恐ろしく体が軽くてトイレついでにスマホを開く。
朝に看護長から電話が数件かかってきていた。
そうだ仕事にいかなきゃ。
何か忘れてる気がするが早く仕事へいかないと怒られてしまうから急いでタクシーを捕まえ病院へ向かう。
タクシーの人が心配そうな顔で話しかけてきたけど俺ってそんなにオカシイのかな。
「着きましたよ。4500円です。」
お金を払おうと財布を持ち中身を探る手が震える。
500円玉を取り出そうとしたが無理そうなので5000円札を取り渡した。
お釣りはポケットに雑に入れた。
赤『ありがとう…ございました、!』
着く頃には外が暗くなっていて焦りが増す。
怒られたらどうしよう。
病院の入口を入ってすぐ俺は恐怖から足が竦んでしまった。
赤『へ…、ぁれ、ッ』
早くしないともっと怒られてしまう。
そう思っても足が動かなくて自分の体が思うように動かないことへ困惑して無意識に涙が零れる。
泣いてはいけない。
なぜ泣くんだ。
赤『っ、はッ、かひゅっ、ぃや…』
看「…だ…ょ…ぶ…か!」
誰かに触られてる。
俺の邪魔をしないで。
赤『やめてッください!!』
赤『いやぁぁぁッ!!』
桃side
定時に仕事を上がらせてもらい急いで着替えて病院の出入口へ歩くと誰かの悲鳴のような声が聞こえきた。
何事かと思い早足で向かう。
俺が働く場所は緊急の患者を直ぐに対応できるように割かし出入口から近い。
桃『大丈夫ですか?』
看「過呼吸を起こしてるんですけど接触を拒否して近ずかさせてくれなくて、」
桃『こんばんは、精神科医の桃です…って、』
パニックになっているその子をよく見ると家で寝ているはずの赤だった。
桃『赤?』
看「知り合いですか?」
桃『そうです。俺対応します。』
桃『緊急入院させたいので病棟の空きを確認してくれますか?』
看「精神科で大丈夫ですか?」
桃『はい、なるべく早くお願いします』
看護師にお願いをし赤の対応に戻る。
家に居ろって言ったんだけどな。
今朝鬱状態がかなり強かったから1人にしたが甘く見てたか。
桃『赤、俺だよ。』
赤『はっ、かひゅっ、、』
桃『赤触るね』
赤『やめて!!おれ仕事しなきゃ!』
桃『仕事しに来たの?』
赤『ッ…!』
突然走り出した赤の腕を慌てて握る。
赤『やめてッ!!離してッ!!!』
桃『大丈夫大丈夫、1回落ち着こ』
赤『おれッ死なないといけなくなっちゃう!!』
自殺願望があるのか、文面的には願望ではなさそうだが自分自身の中で自分を追い詰め自殺を実行するかもしれない。
桃『赤ちょっと落ち着く薬飲も』
赤『やだッ!やめてっ!!』
夜勤予定だった先生に薬を持ってきてもらい赤に使う。
赤『ねぇ!痛いッ!!やめてよッ!!』
注射を刺し抜いたタイミングで赤から蹴りを入れられ飛ばされてしまった。
赤『ぁ、、ぃやッ、ごめなさッ!!!』
赤『はっ、かひゅっ、、桃ちゃッ、』
俺の事認識してたのか。
俺がバランスを崩して飛ばされなければ赤のパニックが重くならなかったなと後悔しながら床に座り頭を抱えながら謝り続ける赤を抱きしめた。
医師としてじゃない。親友として。
桃『赤。俺は大丈夫だよ。』
桃『ゆっくり呼吸しような。』
赤『かひゅっ、う”ぅ…はッ、』
赤の背中を一定のリズムで優しく叩きながら「吸って〜吐いてー」と声掛けしながら深呼吸を数回続けた。
赤『ぅ…ぁ…、』
薬が効いてきたのだろう、がくっと脱力し俺にもたれかかってきた赤を抱えて緊急入院用の病室へ向かう。
夜勤の先生に今の状態などを共有し話し合った結果今晩は鍵付きの部屋で寝かして次の日の様子で病室を決める形となった。
先「とりあえずこっちで責任持って見るからお前は家でゆっくり寝ろ」
桃『はい、そうします。』
先「お前が主治医で大丈夫か?」
桃『それで大丈夫です。赤のこと今晩はよろしくお願いします。』
ベットで横にさせられる赤の姿を見届けてから家へ帰ってすぐ眠りについた。
赤のことが心配だ。
赤side
目が覚めるとよく分からない場所に居た。
夢なのか現実なのか分からない。
意識がはっきりしてきてから改めて辺りを見渡すと窓も時計も無くベットとトイレしかなくて刑務所みたいだった。
俺はずっと前にここの部屋を見たことがある気がする。
殺風景な景色が気持ち悪くて部屋から出ようとドアノブを回すも鍵がかかっていて開かない。
あぁ、思い出した。
ここは保護室だ。
俺って本当に頭がオカシイのかな。
赤『ぅ…ぐすっ…』
今の俺の現状を受け入れたくなくてまた涙が滲む。
俺どうしちゃったんだろう。
桃side
いつもより少し早く出勤して病棟の受け持ちの患者さんを回診する。
全員の回診が終わり赤が居る保護室へ向かう。
赤大丈夫かな。
桃『ッ、』
病室を覗くと床にぺたっと座りながら自分の髪の毛を引っ張ったり叩いたりしながら泣き喚く赤が居た。
自分の心を落ち着かせいつもの仕事モードに入る。
部屋から飛び出されたら困るから声をかけず静かに入って内側から鍵をかけた。
桃『赤。おはよう。』
赤『ッ!』
赤がはっとした顔で俺の事を見つめフラフラな足取りでこっちへ近ずいてきた。
赤『桃くんッ!!助けてっ!ここやだッ、!』
涙を零しながら俺に縋り付く赤の声が表情が病状の重さを感じさせる。
赤の心はとっくに壊れてたんだな。
もっと早く気付いてあげれたら良かったな。
ごめんな。
そんなことを思っていても過去の俺を責めても現状は変わらない。
赤に寄り添って少しでも楽にさせてあげるだけだ。
桃『赤、昨日のことは覚えてる?』
赤『…?』
桃『あんま記憶にない?』
赤『おれ、仕事したいの、』
桃『そっか、それはなんで?』
微妙に会話が噛み合ってないが赤の気持ちが知りたいので話させよう。
赤『怒られちゃうから、』
桃『俺昨日さ、仕事行く前に休みの連絡したって伝えたよ?』
赤『おぼえてない、』
桃『そっかそっか。』
昨日の赤は身支度が全くできてなく今朝見たまんまだった。
赤『俺お家帰りたい…』
桃『んー、難しいなぁ。』
赤『なんでっ、!』
桃『赤一人にしたら死にたくなっちゃうでしょ?』
桃『いま赤の脳は正常な判断をくだせなくなってる。』
赤『俺頭おかしいの…?』
桃『んーん、おかしくないよ。でも心が疲れて脳が上手く動けてないかな。』
桃『俺が付きっきりで家に居れたら帰れるけど赤はそれだと申し訳なく思っちゃうだろ?』
赤『めいわく…かけたくない、』
桃『うん、だから暫く入院して少し今より良くなってから帰ろうな』
赤『ここはやなの、!』
桃『今ちゃんと会話できてるしここの部屋じゃなくて大丈夫かもな。』
赤『ほんと、?』
桃『部屋移動しよっか。』
桃『今から看護師くるから一緒に部屋移動してね』
赤『ぇ…ぁ…やだ…はっ…』
桃『どしたどした、大丈夫大丈夫』
急に顔色を変えて困惑しながら息が荒くなる赤。
看護師というワードがいけなかったのか。
だとしたら入院するにあたって中々厄介かもしれない。
赤『やだっ、やなのッ、、はひゅっ、』
桃『赤に酷いことした人は来ないよ。大丈夫。』
赤『くるかもッしれないじゃん…っ!』
桃『赤はどこの病棟で働いてたの?』
赤『内科…、』
桃『赤は精神科の病棟に来たことある?』
赤『ない…っ、』
桃『ならあの看護師達も来ないな。』
赤『ほんとに大丈夫、?』
桃『あぁ、大丈夫。』
桃『赤のこと絶対に傷付けないよ。』
赤『わかんないじゃん…、ッ』
桃『じゃあ何かあったらすぐ俺に教えて?』
赤『…ぅん、』
桃『じゃあまた昼飯の時に顔見せにくるからな。』
まだ不安そうな表情のままだったがこの会話に終わりが見えないので外来の診察をする為病室を後にした。
・
外来の診察が終わり
俺は休憩中だが赤に顔を出すと伝えてしまった為あかが居る病室へ向かった。
コンコンっとノックする
桃『赤ー、入るぞー』
ドアを開けるとぼーっと外を眺める赤が居た。
昼食を運びに来た看護師が俺と別れた後辺りからアパシー状態が続いてると教えてくれた。
桃『赤、飯きたよ』
赤『…』
桃『赤こっち見れる?』
赤『…』首 動
ゆっくり首を動かし俺の顔を見てくれたが焦点が定まってなく目が合わない。
桃『ほら、ごはん食べよ』
桃『箸持てる?』
ゆっくり箸を持って鶏肉を掴もうとするが手が震えて上手く掴めない。
赤『…ッ、』
桃『手震えちゃうね』
桃『スプーンなら食べれそう?』
スプーンを持たせすくわせようとするが上手く動かないのかすぐ落としてしまう。
桃『ほら、食べて』
スプーンを握る赤の手を握り補助してあげるとゆっくりだが食べてくれた。
桃『自傷行為をしちゃう人も居るからフォークは無いんよね。食べずらいよな。』
赤『…』
半分ほど全体的に食べるともうお腹がいっぱいなのな口を開けてくれなかった。
桃『お腹いっぱい?』
赤『ぅん、』
桃『ん、わかった』
病院食のトレーを配膳車に戻し再び赤の元へ行き軽い診察をすることにした。
桃『いつから手が震える症状が出てるかわかる?』
赤『わかんないけど、タクシー乗った時も…なった、』
桃『そっか』
桃『今赤は死にたいって思う?』
赤『…わかんない、』
桃『ん、わかった。』
赤『薬欲しい…カッターも、』
桃『んー、それは難しいな。』
桃『今赤は気持ちがすごく下がってる状態だから気持ちを安定させる薬出そうと思ってるんだけど大丈夫そう?』
赤『…やっぱおれ頭おかしいんじゃん、』
桃『少しずつ良くなるよ。大丈夫。』
赤『桃ちゃんッ離れていかないでね、』
桃『急にどしたん。俺が離れるわけないだろ?』
赤『でも…ッ』
桃『赤こそ離れんなよ。』
桃『絶対助けてやるから。』
・
続くかもしれない
コメント
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初コメ失礼します! やばい涙で前が見えない… 続き楽しみに待ってます
初コメ失礼します( . .)" 最高すぎました!続き欲しいです😭
お話凄く好きです! 初コメ&フォロー失礼します!