少々具合でも悪いのかと怪しまれたが、なんとかバレることなく茶をなるべく優雅に、姉っぽく飲み終えることができた。そして、今日は疲れたという理由で、侍女には下がってもらった。侍女とはいえ、たまには休憩も必要だろう。
俺は少し軽めの寝間着に包み、ベッドの上で転がっている。一日目から誤魔化すのがギリギリなこの世界で俺は二年も過ごせるのだろうか。誰もいない宮はしんとしていて、俺の布ズレの音がかすかにするくらい。家はいつも騒がしかったから、こういうのはある意味初だ。なんだか心地よくて、顔がにやけてしまう。
一人の気ままな時間は凄く気分が上がり、落ち着くため、読書をしてみることにした。急に侍女が入ってきてもにやけた顔を見られないように。俺が棚から取り出したのは最近流行りだという、現代で言う少女漫画みたいなもの。…俺はこの類が本当に苦手だ。少し過激すぎるのではと思ってしまう。だが!此処女の園ではこんなこと…と言っても口づけは必ずあるだろう。口づけの練習はいくらなんでもしていないので、心配すぎる。姉と似たような反応…できるだろうか。
「桜綾様、失礼いたします。」
「ええ、どうぞ。」
侍女の声。何かあったのだろうか。
「夜分に申し訳ないのですが、帝がお見えになられました。」
「へっ…?」
「…どうされました?」
「あっ、いいえ。なんでもないのよ。ありがとう。客間…準備できるかしら。」
「はい、只今。…寝具もご入用でしょうか?」
それって、帝と共に寝ろと⋯?帝がどんな人かもわからなければ、俺が人と一緒に寝るなどしたことがない。どうしようか。
「一応、準備しておいてくれる?私は少し着替えてくるわ。」
「はい、かしこまりました。桜綾様。」
そう言って侍女は部屋を出た。
…入れ替わり初日から帝が来るなんてっ…不運すぎではないだろうか…(泣)
俺が丁度入れ替わり入宮する2日ほど前、帝が亡くなられ、新しく就いた方らしい。姉のデータすらない。俺、大丈夫かな…?
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コメント
3件
帝がmf君であるように! dnちゃんがんばれー! これからも頑張ってください!
⋯mfくんであれ⋯ dnちゃん不運!!でも負けんな〜!!
先帝には申し訳ないのですが…! 新しく就いた帝…⁈⁈誰だろう…‼︎ワクワクが止まりません‼︎‼︎