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私と彼が出会ったのは、蒸し暑い夏の日
その日は汗がぽたぽたとこぼれ落ち、セミの音でさらにイラつかされたのははっきりと覚えている
カバンを握りしめ、早くクーラーの効いている家へといそいそと帰っていた。
クラスの委員長、私ですらイライラするほどの日だったのだから
あついコンクリートの上を歩いていた帰り道、乱暴な声が聞こえて私は思わずその声のする方へ駆け寄った。
見れば、まあまあ私は嫌な顔をしましたこと
だって、誰もが嫌うヤンキーくんが喧嘩をしているところだったもの
そのヤンキーくん…彼は、相手の胸ぐらをつかみ、なにかと乱暴な言葉を投げつけている
こんなの普通の人ならスルー…と行きたいところだけど、委員長はこれを見逃すことができない
委員長は辛い
私は美のスマイルを作ると(多分美)、その人たちに近づいた。
「ちょっと、東条くん?」
東条__そう、彼の名前は東条雅人
東条くんは不機嫌な顔をこちらに向けて、私を鋭い目線でとらえた
掴んでいた手をおろし、私に近づいてきた
あまりにも身長が高い東条くんと、身長が低めの私では結構シュールな光景になっていると思うが私は気にしない。
「喧嘩はやめた方がいいんじゃない?」
その言葉をできるだけ優しく言うも、東条くんはさらに私を睨みつけた
私、そんなにおかしいことを言っているのだろうか
私も同じように睨みつける
「喧嘩は良くないよ。何があったのか知らないけど、そこで止めた方がいいんじゃないの」
__私の必死な言葉も、東条くんには届いてないように見える
黙り続ける東条くんにさすがの私も苛立ちを感じ、カバンを握る手に力をこめる
「どうにか言ったらどうな__」
「あ?」
…いきなりの、低音ボイス
そんなに睨みつけるのはやめていただきたく
私のメンタルが折れそうよ
もう一度なにか言おうとした時、胸ぐらをつかまれていた男子がここぞと言って逃げ出した。
「よし…逃げてやったぞー!」
ボロボロの顔して何を言ってるのか
東条くんに対して怖さを感じてなさそうだ
東条くんは逃げ出した男子を見て舌打ちをした
あなたがなにかするたび私は恐怖に包まれるのでやめてほしい
私は早くここから抜け出したくて、早口で言葉をまとめた
「とにかくもう喧嘩はやめてね、次やったら校長先生に言っちゃうからね?東条くん退学になっちゃうから。それじゃあばいばい」
私はいたって真顔__を維持して、東条くんから離れた
が、
「おい待て」
…嘘でしょ
クラスのヤンキー、東条くんに腕を掴まれてる
私これもしかして喧嘩する感じ?
恐る恐る振り返ると、もう私を睨みつけてはいなかった
かわりに少し笑っている
せっかくのイケメンなのに、性格でみんな嫌っちゃってるということを分かっていなさそうな顔だ
私は少し寒気を感じ、早くここから去りたくて東条くんの手から抜けようとした
けど、もちろん握力つよつよの人から逃げれるはずがない
冷静になるのよ、天津莉瑠
私は、できるだけ冷静な顔を作って、口を開いた。
「…早く、要件をいって」
__少し声が震えてしまったのは、許して欲しい
東条くんは乾いた笑いをもらして、こう言った
「俺、お前のこと好きだよ」
は?
「…だからさ、好きなんだって」
何度も言ってもらっても、私の耳は反応しない
あれ、もしかして私、耳悪くなった?
黙りこくっていると、東条くんはさらに笑った
「なんだお前、照れてんのか?かわいいじゃん」
…絶賛困惑中
なんだこのケータイ小説のような言葉は…
クラスのかわいい子に向けられるような言葉じゃないの?
多分私の頬は真っ赤に染まっているんだろうけど、私は精一杯睨みつけた。
「…なんでよ」
「あ?」
その、あ?、というのは好きな人に向ける態度ですか?
というのはもちろん堪え、私は口を開いた
「ほんとに好きなら理由が言えるはずでしょ、言ってみなさいよ」
すると、東条くんはまさに驚いた、という顔をしてから、軽快に笑った
「あはは、お前面白!」
「…面白くない、早く言いなさい」
「あ?照れてんの?可愛いよな、お前」
「そういうセリフは今求めてないから」
もっと赤く頬が染まったけど、照れてない、いたって冷静の様子をたもって言ってみた
まだ軽快に笑っているけど、ついに観念したように口を開いた
そして、指で数えていく
「まず、そういう可愛いところだろ?で、あと真面目なところ、面白いところ」
「は?」
「あはは、いやだって俺に注意してくるやつなんかなかなかいねえよ?面白いじゃん」
「面白いの、それ」
「面白いよ。この3つがあるから好きなんだよ」
「なにそれ少ない」
「少ないからこそ1つ1つの愛が大きいよ?」
…こいつ、今サラッと恥ずかしすぎること言った。
私の体が、熱くなるのを感じる。
東条くんはそんな私の顔をみて悪魔のように笑い、私を抱きしめた
「そゆことだから。宜しくな」
東条くんの声が、私の耳にくすぐったく響く。
私は、抱きしめられているという恥ずかしさでいっぱいで、何も言えなかった。
東条くんの匂いで、包まれる私。
最後に少し言えたのは、
「…私は好きじゃないから……」
という小さい震えた声だけだった。
【悲報】まじめすぎ委員長、ヤンキーに激愛されました。