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sm × shk
軍パロ
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─俺を殺せ
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shk視点
「っはッ…」
夢を見た。何年も前の、俺がまだ軍に入りたての頃の、夢。
𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄
『訓練だるくね?』
『それな。サボる?どうせバレないでしょ』
sh(小)「そっ、そんなこと言っちゃダメ…だと思う、」
『は?俺らはお前と違って銃術も剣術も上手だからいーの。』
『お前は下手なんだから1人で練習でもしとけよ笑』
俺は人より体格が小さくて、力もない。軍に入った理由だって、「強くなりたい」から。
だから、こんなこと言われるのは当たり前。弱者は必要とされない。そんな世界で生きているから強くなきゃいけない。
悔しくて、悔しくて、俺はずっと練習した。
俺ら新人を指導してくれる先輩もずっと付きっきりで教えてくれた。質問すれば答えてくれるし、間違ったことがあれば訂正してくれる。
表情こそ変えることは無かったけれど、でもその目は真剣な眼差しで、いつしか俺はその瞳に惹かれていた。
数年間、その先輩に教えてもらった。途中俺の事をあしらった奴らは気づいたら軍から抜けていて、同期は俺一人だけになった。
だから、先輩と俺の1対1。
朝から夜遅くまでずっと2人。その先輩となら辛い練習も楽しくて、出来なかった事もできるようになったりして、俺自身も成長を感じたし、その先輩も「上手くなった」って言ってくれた。
そしてついに昇級がかかった実技の試験。
担当してくれるのは先輩だった。
『俺は贔屓しない。できていなければ容赦なく落とす。準備が出来次第俺の部屋に来い。』
そう言い残して先輩は部屋にこもった。
準備は出来てる。先輩に教えてもらったことをそのままやればいいだけ。きっと上手くいく。
そう信じて先輩の部屋をノックした。
『準備は出来たか?』
sh「出来ました。」
『じゃあ始める。』
先輩はそう言って、剣の握り方、銃の撃ち方、逃げ隠れの仕方、隙の狙い方などのテストをした。
チラと見えた俺の評価シートのようなものには全て合格の文字が書かれてあり、今までの練習の成果がようやく実った。そう思った。
『じゃあ、最後な。』
sh「はいっ、」
『俺を殺せ』
sh「はぃッ…っえ?」
『どうした、できないのか?』
sh「ゃ…でもッ、」
『それが出来なければお前は一生あの訓練から抜け出せないぞ。』
俺は手に持っていた銃を手放した。
俺にはできない。長い間付きっきりで教えてくれた先輩を、尊敬している方を殺せない。
足がすくんで立てなくなった俺は先輩の前に崩れ落ちた。
『不合格でいいんだな』
sh「っ…、」
パァァンッ…
『ッあッ…、ぅ゛ぅッ…、』
sh「っ、はぁッ、はぁッ…、」
sh「ぁ、俺ッ、、俺ッ…、」
『っ、ふはッ…、おめ、でとッ、う。』
『合格、だッ…、』
そう言って先輩は赤黒い血を流しながら意識を失った。
そしてそのショックで俺もその場で意識を失った。
目を覚ましたあと、先輩の死が告げられた。
初めて人を殺した、この手で大好きな先輩を殺した。
あとから聞いた。その先輩の名前は『スマイル』。もちろん本名じゃない。この軍で使われている名前で、俺も「シャークん」っていう名前を貰っている。
sh「スマイル…、さん、っ、」
酷い罪悪感に苛まれた。そんな素敵な名前を貰っていて、俺は先輩の笑顔を見たことがない。
ショックから何年も立ち直れず、もちろん今も今朝のようにたまに夢で見る。その度自然と目から涙が溢れてしまう。
< コンコン
< 総統様、ただいまよろしいでしょうか。
shk「あぁ、いいぞ」
“失礼致します。本日お客様がお見えになられています。お通ししますか?”
shk「客?…まぁ、いい。通せ」
“承知しました。”
俺に客人なんて珍しい。またどこかの国の総統だろうか。また意味も無い殺生をし、争いを生むのだろうか。
醜い。
<コンコン
<失礼します
『…大きくなったな、』
ノックの合図とともに部屋に入ってきてそうそうその一言。
父親の声かと思ったが、少し違う。顔を見るために俺は見ていた資料から顔を上げた。
shk「…まず、名を名乗れ。話はそれからだ。」
『…スマイル、って言ったらわかる?』
shk「…からかうのはやめてくれないか。それとも何かの冷やかしか?なら帰れ。目障りだ。」
『シャークんが総統になったって聞いて俺嬉しかった。あの時、殺せ、なんて言って申し訳ないと思ってる。あの時のシャークんが打った弾は俺の急所を避けて当たった。だから俺は命を…』
『…シャークん、?』
shk「スマイルさん、なのッ…?(泣)」
『だからそう言って…』
shk「スマッ、ぁッ…、(泣)」
shk「会いたかっ、た、ッ、しんだ、って、っ、ひぐッ、」
shk「いぎでて、よがっだ、ッ…(泣)」
shk「ねっ、せんぱッ…、また、一緒にッ…」
『ごめん。それは出来ない。』
shk「な、でッ…、」
『俺、軍抜けたから。』
shk「じゃ、じゃぁ、俺もッ…」
『ほんとにそれでいいの?』
shk「いいッ…、いいよっ、もう、っ!」
『…シャークんが率いるこの軍が無くなればこの街は終わる。そう言われてるの分かるだろう。』
shk「でもっ…!」
『シャークんが総統としている間俺は絶対死なない。約束する。たまに顔も出すから。もう争いが完全になくなったら、そしたらまた考える。、』
shk「っ…先輩ッ…、」
『じゃあな、シャークん。』
『あ、最後に…』
『俺、お前が頑張ってるのに惹かれたんだ。』
shk「へっ…、」
『待ってるから。じゃ。』
shk「先輩ッ!!!待ってよ、俺もっ、」
バタンッ
たった10分。その短い時間の中にたくさんの情報が押し寄せてしばらくの間俺は放心状態になっていた。
先輩が生きてた…?
軍を抜けていて一緒に入れない、
先輩は俺に惹かれていた…?
分からない、でも今しなきゃいけないことはわかった。
この意味の無い醜い争いを終わらせる。
俺の総統としての、軍としての最後の仕事。
待っててください、先輩。
必ず、この争い終わらせますから。
コメント
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読み始めの記憶なくて、読みながら「誰だこの神作を書くのは…フォローしなきゃ…」って思ってたらゆにだった 流石っす!!
こんな話が書きたかったわけではない