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「ボーッとして、どうしたの?」
美希が顔を覗き込んでくる。
相変わらず美人だな、と呑気に思う。
「何でもないよ」
「ほんとに?あんた最近変よ」
「そう?」
膝の上では、ニャオハが丸まって寝ている。
「ほら、早くお昼行こ。今日はお弁当?」
「ううん。パン買う」
「じゃあ早く購買行かないと、無くなっちゃうわよ」
ほら、と手を引かれ、教室を出る。
ニャオハもちゃんとついてくる。
購買の前は生徒で賑わっていて、大混雑だ。
人の波に飲まれないよう、2人は密着して前に進む。
「ニャオハ、ちゃんとついてきてね」
「にゃお!」
ニャオハがついてきているのを確認しながら、人を掻き分け受付に行く。
「何にしよう」
「早く買わないと押しつぶされるわよ」
美希に催促されながら、何とかパンを買った。
パンが潰れないように人の波を掻い潜り、何とか広い場所に出た。
「無事買えたわね」
「うん。教室戻ろう」
ニャオハ、と名前を呼んだ。
しかし、
「ニャオハ…?」
返事もなければ、姿もない。
「ニャオハ?ニャオハ!」
何度も呼ぶが、どこにもいない。
「ちょっと、あの子どこ行ったの?」
「わかんない、さっきまでそばに居たのに」
焦る雪乃。
もしかしてあの波の中に飲まれたのかもしれないと、混雑の中に戻ろうとする。
「無理よ、この中見つけるのは」
「でも…」
「人が少なくなるのを待ちましょう」
美希に止められ、待つことにした。
しかし、時間が経って人が少なくなっても、そこにニャオハの姿はなかった。
「ニャオハ…」
「もしかしたら教室に戻ってるかもしれないわ。一度戻りましょう」
そして2人は教室に戻った。
が、やはりニャオハはいない。
「私探してくる」
「ちょっと!もう授業始まるわよ!」
「だってもし何かあったら…」
心配で顔を歪ませる雪乃を、美希は引き止める。
「大丈夫よ、あの子あんたの事大好きじゃない。すぐに戻ってくるわよ。それに、何かあったら教師か誰かが見つけてくれてる筈よ」
「………」
「とりあえず少し待って、戻ってこなければ探しに行きましょう」
そこでチャイムが鳴った。
雪乃はこくりと頷き、自分の席に座る。
ニャオハ…。
今、どこにいるの…。