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廊下は円柱形の電球が発する橙光に照らし出されていた。操縦の交代を受けると、休み時間の他の乗組員仲間と、ここでよく語り合ったものだ。彼らの肉体こそここにないが、魂は心の中で生き続けていると郷田は信じることにしている。
彼はベンチに身体を固定し、目を閉じた。瞼の裏にといおうか、心の中にといおうか、いろいろな自分が浮かんでくる。弱気な面、強気な面、慎重な面、冒険家の面、ネガティブな面、楽天的な面、頑張り屋の面、めんどくさがり屋の面、怖がり屋の面、優しい面、厳しい面、人見知りの面、従順な面、反抗的な面、なまけものな面……出るは出るは。これじゃあ仮眠もままならない。目を開けた。意識はすっかり冴えてしまった。こうなったら思い切って一枚一枚と向き合ってみることにしよう、と郷田は決めた。もちろん、全て心の中の作業である。