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【執務室 ─ ポートマフィア本部】
コンコン──
控えめなノックの音が響いた。
森「どうぞ」
扉が静かに開き、黒い外套に身を包んだ少女が姿を現す。
梨奈だった。
梨奈「失礼します。森さん、ただいま戻りました」
書類に目を落としていた森が、手を止め、ゆっくりと顔を上げた。
数秒、言葉が出ない。
森「……おかえり、梨奈くん。まさか、本当に……君なのか?」
梨奈「ええ。間違いなく、私です……」
森「ふむ。君が死んだという報告は、組の者が直接確認していた。遺体も……ね。あれは、幻だったのか」
梨奈「いいえ、本当に死にました。でも──異能力で、戻ってこられました。“黄泉帰り《よみがえり》”。今の私は異能力でできています」
森「……死と生を繋ぐ力、か。それはまた……危険で、興味深い能力だ」
森は椅子の背にもたれ、観察するように梨奈を見つめる。
しばらくの沈黙ののち、微かに笑みを浮かべた。
森「君が戻ってくるとは思っていなかったよ。だが……喜ばしいことだ。ポートマフィアにとっても、私個人にとってもね」
梨奈「ありがとうございます。もう、簡単には死にませんから」
森「ふふ……それは頼もしい。だが、次に死ぬときは、戻って来られる保証は?」
梨奈「もう死んでますから……死ねないと思います」
森「……やはり、君は面白い」
静かに立ち上がった森は、梨奈に歩み寄り、軽く肩に手を置いた。
森「歓迎しよう、梨奈くん。ポートマフィアへ──再び、ようこそ」
梨奈「はい。ただいま戻りました、森さん」