この職業を初めてどれくらいの月日がたっていただろうか
そんなことを考えながら俺はプライベートルームのソファーに腰をかける
お袋やジジイ、親父にこの事を知られたらなんと思われるのだろうか
考えるだけ無駄だろう
『承太郎さーん 指名入りましたー』
ったく、今休憩入ったばかりなのに
渋々ホールまで足を運ぶ
どうやら俺を指名したやつはこの世界に入るのが初めてらしい
小柄で童顔…なのだろうか 制服を着たら間違いなく学生と間違われるだろう
本当に20歳超えてるのか…? いや、ここに入れてるなら超えてるか
意味の無い妄想を繰り広げる
「まずは何飲むんだ 姫」
この業界では客のことを「姫」と呼ばなければならない
最初は抵抗があった俺でも今では慣れたもんさ
なんせ俺より年上のババアに言うよりはマシだからな
『えっと…場違いかもしれないんですけど…ビールってありですか?』
俺は心の中で失笑を漏らす
初の夜の店で? ビール? 俺でもこんな客は初めてだ
おもしれぇヤツ 俺だってシャンパンとかよりはビールの方が好きだ
「了解。 来るまで何か話すか」
『承太郎さんは…なぜこの業界に入ったんですか?』
初対面でそんなこと聞くか? 普通
何を聞かれても動揺しない それが俺のキャラだ
だが…これだけは… もう笑いを抑えることは不可能だ
「…ww 」
思わず失笑がこぼれる
『えっ…すみません! 初対面でこんなこと聞くの… 変なやつですよね! すみません!!』
…w 悪くねぇ こいつは俺を飽きさせない
「…詳細は言えないが… 家族のため だろうか?」
『へっ…!? あっ、そうなんですね! ……』
話題が無くなってしまった 普通この場合は俺から行くべきなのだろうか
「アンタは…なんでここに来ようと思ったんだ?」
『えっと… この質問に対してありきたりかもしれないんですけど… 友達に誘われて? みたいな』
ほぉん… この回答何回聞いたっけな…
『でっ…でも! 自分も少し興味あったんで… それも理由ですかね?』
「おもしれぇなアンタ、 もっと聞かせてくれよ」
両手の指に収まらないほどの回数言った誘い文句をこぼす
彼女に寄り添い、届いた酒を飲みながら他愛もない会話をするだけの時間が過ぎてゆく
ふと聞き捨てならない言葉を彼女は呟く
『承太郎さんって… 好きな人いるんですか…? 』
お袋とかそこら辺を考えずに、真っ先に出た答えが
「〇〇(あなたの名前)」
『…へ?』
あながち間違ってはいない 俺はこいつのことが好きだ 色んな意味で
どこのご都合ラブコメですか… と心の中で思う
口をぽかんと開けて俺を見つめる〇〇 自分の言ったことの重大さに気づいていないのだろうか
こんなことをしていたら午後0:00 もう終電に間に合わないだろうな
「俺はアンタ… いや、〇〇の事が好きだ」
「〇〇はどうなんだ?」
正直、胸の高鳴りが止まらない
今まで「好き」と営業で何度も言ってきたのに
コイツだけはマジで考えてしまう
『その…承太郎さんの「好き」って、 どういう意味で?』
痛いところを突かれた
「正直に言うと… アンタと付き合いたい だが俺はこの仕事を続けなければならない」
「俺が金を稼いで戻って来るまで待ってられるか?」
『……』
返事は… 無しか
コイツはもうリピートすらしないだろう
『私でいいなら、 ぜひ』
思わぬ返事だった
テラー始めたてなので下手かもです💦
続きます!
次回セン〇〇ィブかも
次回▶ ❤×1
コメント
1件
書き忘れたけどやってほしいキャラあったら書いてくださいね♪ 高確率で書きます