テラーノベル
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「お兄ちゃん、、?お兄ちゃんッ!」
まだ幼かった俺は、彼だと気づいた瞬間、すぐ駆け寄って、服に彼の血がついていることも考えず、ただ呼び続けた。そう、「彼」とは、「兄」のことだ。大事な人で、俺からすれば、最も大切な人だった。俺が死にたいのは、兄の後を追いたいからではなくて、俺が現実に存在していること自体を信じたくなくなったからだ。兄もそう、とは、確証できないけれど、似たような理由だろう。母は仕事であまり帰ってこず、父は酒に呑んだくれて、俺のことを殴り、蹴り、と。少しでも、母の負担を減らしたい。父を殺して、俺も死ぬか、俺だけが死ぬ。2択。どちらかさえ選べばいい。そこで俺は、俺だけ死ぬを選んだ。神様だって、きっと認めてくれる。神様にバレないように、10月、旧暦でいえば神無月。この月は日本にいる八百万の神たちが、島根にある出雲大社に集まることから、つけられている。綺麗な月を見て死にたい。その願望を叶えるために、十三夜に死ぬことにした。
コメント
1件
「大切な人。」第9話、読み終えたよ……。 お兄ちゃんの血まみれの姿、呼び続ける主人公の声が胸に刺さった。神無月に一人で月を見ながら死のうとする描写、すごく切なくて、でも綺麗だと思ってしまった自分がいる。家庭環境の厳しさと、それでも兄を思う優しさが痛いほど伝わってくる……。 この先、どうか希望が訪れてほしいな。作者さんの真摯な筆致、ちゃんと届いてるよ。続きが気になる😢💕
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